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患者さんと心通わすコミュニケーション ~より良い治療の実現のために~ Vol.3

患者さんと心通わすコミュニケーション ~より良い治療の実現のために~ Vol.3

患者さんに寄り添う診療の秘密 ―「3段階のコミュニケーション体制」とは?

泌尿器科の診察において、患者さんが抱える悩みを的確に聞き取り、最適な治療へと導くためには、限られた診療時間の中でどれだけ充実したコミュニケーションが取れるかが鍵となります。西野クリニックでは、医師の診察の前後に看護師・受付スタッフが患者さんとコミュニケーションを取る「3段階のコミュニケーション体制」を確立しています。今回は、この体制の具体的な運用方法、そして治療目標に向かって患者さんと「伴走する」姿勢の大切さについて解説します。

西野クリニック院長
西野好則先生

<プロフィール>
1990年高知医科大学医学部卒業。95年岐阜大学医学部助手。その時に同大学附属病院で排尿障害専門外来を開設。その後、同大学講師や東海中央病院泌尿器科部長、岐阜市民病院泌尿器科副部長を歴任。2005年に医療法人好誠会西野クリニックを開院。岐阜大学非常勤講師、泌尿器科学会専門医・指導医。ベストドクターズ社の「The Best Doctors in Japan™」(医師間の相互評価)に5期連続で選出された。

医療は、コミュニケーションを基盤として成り立つものです。限られた診療時間の中で、いかに患者さんと向き合えるか、開院当時からその点を重視し、なんとか患者さんとの時間をしっかり確保しようと考えを重ね、辿りついたのが、看護師・受付スタッフ皆で作り上げる「3段階のコミュニケーション体制」です(図1)

当院ではタブレット端末による問診表を導入しています。これにより、受付スタッフなど誰の目にも触れずに患者さんの訴え、症状などの情報が入力後すぐに医師の電子カルテ画面に転送されますので、恥ずかしく感じる悩み事でも伝えやすくなるメリットがあります。看護師は問診票に入力された内容をもとに問診を行いますが、笑顔で話しやすい雰囲気を作るよう心掛けています。そして「そういう症状で困っていらっしゃるんですね」などと、患者さんの気持ちに共感するような尋ね方をして、また雑談も交えながら、患者さんの悩み事を引き出します。症状や基礎疾患、服薬状況といった基本事項に加え、患者さんの生活上の困りごとや希望を詳しく伺い、さらに看護師としての見解も付け加えて医師に伝えます。

看護師が記録したカルテを基に診察を進めます。わずか10~15分の診察時間で患者さんの症状や悩み全部を把握することはできないため、看護師からの見解がとても参考になります。ここでも患者さんの気持ちの細部にまで寄り添い、「自分のことがしっかりと理解されている」と感じてもらうことを大切にしています。

診察後、再び看護師がフォローします。最初に対応した看護師から「聞き漏らしたことはありませんか」「先生に言い忘れたことはありませんか」と確認してもらいます。患者さんの多くは「思い切って受診してよかったです」という反応を示してくださいますが、「こんなことを聞きたかった」「言い忘れていた」「もっとお薬も出して欲しかった」「もう少しくわしく話を聞いて欲しかった」などと言われる方も結構いらっしゃいます。それに対し、看護師の対応で解決する場合もありますが、私がもう一度お話を伺う場合もあります。この最後のステップが非常に大事で、なかなか一度では理解できなかったり、後から疑問が浮かんだりということもありますし、「もっと聞いていいんだ!」「もっと遠慮せず言えばよかったかな、次は言おう!」という患者さんの気持ちの変化、診療に対する学習にも繋がります。
このようなフォローを徹底しているためか、「何度も説明してもらえるのでわかりやすい」「看護師さんとまず話をしたい」「症状や希望を、遠慮なく言えるようになった」と、好評の声をいただいています。
その後次回診察の予約についてご案内し、お帰りいただくのですが、受付スタッフには患者さんの表情に注意するよう、満足して帰られているかどうか観察、確認してもらうよう指導しています。
一連のステップの中で、一見理不尽と思われることを患者さんから言われることも中にはありますが、そう言わせてしまわない対応が何かあったのではないかと医師とスタッフでミーティングを行い、原因を分析して改善策を検討しています。患者さんから問診をよく聴収できていたスタッフには感謝し、褒め讃えます。人と人とのコミュニケーションは完璧なものはありませんが、一方の気遣いだけでもとても良くなります。
開院当初から掲げている「一人でも多くの患者さんに診療に満足していただく」というモットーのもと、診察後に患者さんが疑問点や不満を残さないよう徹底しています。
こうして看護師が問診に関与することで問診スキルは次第に向上していきます。患者さんと「直接コミュニケーションを行う機会が多いことが負担になっていないか」看護師に尋ねたことがあるのですが、「患者さんと接することで気持ちを把握しやすくなり、学びも多い」との声が多く聞かれました。このように多くの看護師は患者さんとの関わりの中で「やりがい」を求め、感じていると思います。

治療目標を設定する際は、患者さんの一番の困りごとの解決を第一目標にします。一番の困りごとは、「受診を決断された理由の聴取」で聞き取っています(Vol.1参照)。夜間のトイレ、尿漏れでグループ活動を楽しめないことなど、人それぞれの悩みがあり、治療目標も個々に異なりますが、若い時と同じレベルに改善・・・というのはなかなか難しいこともあり、理想の目標には到達できない場合もあります。でも、それが予測できても、不可能でなければ、まずは目標に向かって治療に取り組みます。病状を見て、薬の継続か切り替えかを丁寧に判断し、「もう一度だけ、このお薬を継続してみましょう!」「今度は別の薬剤を試してみましょう!」と熱意を持って説明します。患者さんの多くは症状の改善のために努力することを求めていますので、われわれが一緒に取り組む姿勢が大切だと思います。
また、行動療法は非常に重要であると考えており、薬物療法の前に必ず行います。膀胱訓練や骨盤底筋トレーニングはもちろんですが、日常生活における様々な行動が尿の悩みの原因になっている可能性についてもきちんと説明しています。例えば、生活習慣病と過活動膀胱・頻尿の関連については、糖尿病や高血圧と同じく、膀胱も細かい血管がダメージを受けて進行する病気なので、尿の症状の改善のためにも食生活、飲酒、喫煙、睡眠、運動など、生活習慣を改善しましょう、などと話します。
膀胱訓練や骨盤底筋トレーニングについては、家事をする際にペットボトルを脚に挟む方法、ピラティスやヨガで骨盤底筋の強化に繋がりやすいやり方など、患者さんの負担にならない方法、生活に取り入れやすい方法を指導します。行動療法は、患者さん1人1人にしっかり向き合えるクリニックであるからこそできる治療だと思います。
このように治療目標達成に向けて、薬物療法・行動療法を色々と織り交ぜながら治療を進めていきますが、それでも目標が達成できない場合があります。例えば、目標は夜間排尿回数4回→0回であったけれど、治療の結果として2回までの減少だったといった場合です。これは理想のゴールではないのですが、患者さんから「これだけ頑張った結果だから。今の状態は満足です」など、現状に納得する言葉が得られれば、現実的なゴールに到達したと考えています。この“納得”は非常に重要です。ですから、私は現実的なゴールをはじめに提示せずに、熱意を持って、患者さんが納得できるゴールに到達できるまで、あの手この手でサポートしながら伴走しています(図1)

「このままの状態が10年後もずっと薬を服用し続けなくてはいけないのでしょうか・・・」と長期的な不安を口にされる方もいらっしゃいます。そんな方には、「お薬なしでも症状が良くなってくるときもあるでしょう」と説明し、薬物療法の継続を強要するようなことはしないようにしています。「薬をやめてみたい」と希望される患者さんには、「最近の状態が良いので、試してみましょう」と同意しつつ、「調子が悪い時は絶対に早めに来てくださいね。悪くない場合も、私が経過をしっかり診ていきますから3カ月毎に来院してください」と伝えます。医療関係者から「服薬をやめた患者さんが受診されるのですか?」と質問されますが、ほとんどの患者さんはいらっしゃいます。自己判断ではなく、合意の上の服薬中断ですので、皆さんうしろめたさもなく定期的に来院され、経過観察を継続したり、治療を再開されたり、その他の疾患の相談へ発展したりもしています。
基本的には、「トイレのトラブルを一生診ていきます」という気持ちですべての患者さんに接し、長期的な不安の解消を目指しています(図2)

今回は「3段階のコミュニケーション体制」と患者さんと共に治療目標に向かう姿勢や心構えについてお話ししました。より良い治療の成果を出すことは勿論ですが、そのゴールに向かって“一緒に”取り組む過程がとても大切だと考えています。この体制が、患者さんの満足度向上に繋がっていると実感しています。

図1 3段階のコミュニケーション体制

情報提供・監修:西野好則先生

図2 治療目標に向けて患者さんと共に歩む

情報提供・監修:西野好則先生


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