初期治療は十分な輸液と電解質の補正およびインスリンの適切な投与です。
①輸液と電解質の補正
- 体重の変化から脱水の程度を大まかに推定し、直ちに生理食塩水点滴静注(500~1,000mL/時)を開始する。
- 最初の数時間は水分欠乏量により250~500mL/時程度で輸液し、尿量を見ながら調節する。
- 血清カリウムが5.0mEq/L以下の時は輸液によりカリウムを補充し、適切に濃度を維持する。
- 重炭酸塩(HCO3-)によるアシドーシス補正は、pH7.0以上では原則として行わない。
②インスリン投与
インスリン少量持続静注法が原則である。速効型インスリンを0.1単位/kg体重/時の速度でポンプを用いて静脈内持続注入する。
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023, p81, 文光堂, 2022より引用
正常血糖ケトアシドーシス治療に関しては初期からの積極的なブドウ糖投与も考慮ください。
正常血糖ケトアシドーシスの治療法として、海外では以下のプロトコールが使用されています。
STICHプロトコール
STop SGLT inhibitor:直ちにSGLT2阻害薬の服用を中止する
Inject bolus insulin:速効型インスリンを投与する
Consume 30 g carbohydrates:炭水化物を30g摂取する
Hydrate (drink water):水分を補給する
Garg SK, et al.: Diabetes Technol Ther. 2018;20(9):571-575より引用
STOP DKAプロトコール
Symptomatic →STOP SGLTi:直ちにSGLT2阻害薬の服用を中止する
Test ketones and glucose every 2-4 hours:2~4時間毎にケトン体と血糖値を測定
Oral ingestion of fluid and carbohydrates:2時間毎に水分を250~500mL、2~4時間毎に炭水化物を30~60g摂取
Protocol instructions for supplemental insulin and carbohydrates:STOP DKA tableに従ってインスリンおよび炭水化物を補給
Goldenberg RM, et al.: Diabetes Obes Metab. 2019;21(10):2192-2202より引用