FLT3リガンドがFLT3受容体に結合すると、チロシンキナーゼが活性化され、正常な血液細胞の分化・増殖が正に制御されます。FLT3は白血病細胞では過剰発現がみられ、またAML患者の約30%にFLT3-ITD変異が認められます。FLT3はITD変異やTKD変異等の活性化変異が生じると、リガンドが結合しなくとも、常に活性化し下流シグナルの活性化を介して、白血病細胞の増殖を促進します。
ゾスパタはチロシンキナーゼ阻害作用を有し、FLT3-ITD変異、FLT3-TKD変異のいずれの変異のあるFLT3に対しても阻害活性を示します。これらの作用によりFLT3を介したシグナル伝達を阻害し、FLT3遺伝子変異を有する白血病細胞の増殖、生存を抑制すると考えられます。
ギルテリチニブは、FLT3に対して阻害活性を示し、IC50値は0.29nMでした。
一方、c-KITに対しては阻害活性が低く、そのIC50値は230nMでした。
n=1、duplicate
NPM1:nucleophosmin 1(ヌクレオフォスミン 1)、ALK:anaplastic lymphoma kinase(未分化リンパ腫キナーゼ)、LTK:leukocyte tyrosine kinase(白血球チロシンキナーゼ)、AXL:AXL tyrosine kinase(AXLキナーゼ)、TRKA:tropomyosin receptor kinase A(トロポミオシン受容体キナーゼA)、ROS:ROS tyrosine kinase(ROSキナーゼ)、RET:RET tyrosine kinase(RETキナーゼ)、MER:MER tyrosine kinase(MERキナーゼ)、EML4:echinoderm microtubule-associated protein-like 4(棘皮動物微小管結合蛋白質様4)、KIT:KIT tyrosine kinase(KITキナーゼ)
【方法】 79種のチロシンキナーゼに対するギルテリチニブフマル酸塩(1又は5nmol/L)の阻害活性を調べた。処置濃度は、ギルテリチニブ換算値で記載した。
1)承認時評価資料
2)Mori M, et al.: Invest New Drugs. 2017; 35(5): 556-65.
本論文の研究資金はAstellas Pharmaから提供を受けたものである。
ギルテリチニブは、FLT3-ITD変異、FLT3-TKD変異のいずれの変異のあるFLT3に対しても細胞増殖を抑制しました。
Ba/F3細胞(C3H系統マウス由来IL-3依存性proB細胞株):
マウスproB細胞由来の細胞株であり、サイトカイン依存性に増殖する。
遺伝子導入により様々な造血モデルに利用されている。
【方法】 変異型FLT3(FLT3-ITD、FLT3-TKD又はそのいずれも併せ持つFLT3-ITD-TKD)を発現させたBa/F3細胞の増殖に対する作用を調べた。また、FLT3リン酸化に対するギルテリチニブフマル酸塩(0.1、1又は10nmol/L)の作用を溶媒対照群と比較した。処置濃度は、ギルテリチニブ換算値で表記した。
社内資料(変異型ヒトFLT3発現細胞(マウス由来)・薬理作用)
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