骨髄抑制

骨髄抑制

Ⅱ.重大な副作用:骨髄抑制

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key Points

  • 臨床試験において骨髄抑制関連事象の発現が認められていることから、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。

本剤の電子化された添付文書(抜粋)

注意喚起の設定根拠

重大な副作用

EV-301において、骨髄抑制に関連した副作用として好中球減少(16.6%)、貧血(11.5%)、白血球減少(6.1%)、血小板減少(4.1%)、リンパ球減少(3.0%)、発熱性好中球減少症(0.7%)等の発現が認められております。

重要な基本的注意

本剤を用いた国内外の臨床試験において、骨髄抑制が認められていることから、本剤の投与前及び投与中の定期的な検査や臨床症状の十分な観察を促すために設定しました。

発現機序

  • 非臨床試験の結果1)からは、エンホルツマブ ベドチンによる血液学的影響が MMAE に起因していることが示されました。

<出典>

  1. パドセブ点滴静注用30㎎ 申請資料概要 2.6.6 毒性試験の概要文. PMDA.
    Available at: https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20211011002/800126000_30300AMX00454000_J100_1.pdf#page=7
    (2023年3月アクセス)

本剤投与前及び投与時のお願い

  • 臨床試験において骨髄抑制関連事象の発現が認められていることから、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。

臨床症状

  • 自覚・他覚症状から貧血が疑われた場合には血算、生化学検査を実施してください。網赤血球の測定は必ず行うようにしてください1)
  • 好中球減少症は無症状であることが多いため、定期的な血液検査を実施することが重要です2)
  • 好中球数が減少すると発熱する危険性が高く、急速に重症化することがあるので注意が必要です3)
  • 血小板減少は出血傾向などの臨床症状が認められますが、出血傾向が必ずしもすべて血小板減少によって引き起こされる訳ではないことも留意してください4)

【参考】

国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験)において、白血球数、血小板数、好中球数、赤血球数及びヘモグロビンはスクリーニング時、サイクル1のday1(エンホルツマブ ベドチン群ではday1、day8、day15)及びそれ以降の各サイクルのday1投与開始時に測定しました5)

患者指導

  • 貧血の症状(易疲労感、頭重感、動悸、息切れ、顔面蒼白など)や好中球減少症に関連する症状(発熱、悪寒、咽頭痛など)、血小板減少症に関連する症状(皮下・粘膜の出血など)が患者もしくは家族により認識された場合、速やかに受診するよう指導してください1,2,4)
  • 好中球減少症はほとんどの場合、血液検査により指摘された時点で無症状であるか、あるいは感染症状が発現した時点で血液検査を行ってはじめて好中球減少症が発見されます。敗血症に進展すると高熱、悪寒戦慄、意識障害などの症状がみられるようになりますので、注意が必要です2)

<出典>

  1. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性貧血(溶血性貧血、メトヘモグロビン血症、赤芽球ろう、鉄芽球性貧血、巨赤芽球性貧血)(平成19年6月;令和3年4月改定)
  2. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)(平成19年6月;令和4年2月改定)
  3. 日本臨床腫瘍学会編:発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第2版, 南江堂, 2017
  4. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 血小板減少症(平成19年6月;令和4年2月改定)
  5. Powles T, et al. : N Engl J Med. 2021;384(12):1125-1135.(PMID: 33577729)(PEV-00057)

対処

  • 骨髄抑制に関連する副作用が認められた場合は、休薬、減量又は中止等の適切な処置を行ってください。

【本剤の電子化された添付文書】 (抜粋)

  • 好中球数500/μL未満、あるいは1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される状態で、腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合は、個々の患者の状態や背景を考慮して経験的抗菌薬治療を行うべきかを判断してください1)
  • 発熱を伴う好中球減少症が認められた場合は、血液培養を含めた細菌学的検査を行い、広域スペクトラムの抗菌薬を十分量用いた感染症の治療を直ちに開始することを考慮してください2)

【参考】骨髄抑制のGrade分類(CTCAE v4.03準拠)

<出典>

  1. 日本臨床腫瘍学会編:発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第2版, 南江堂, 2017
  2. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)(平成19年6月;令和4年2月改定)

発現頻度

電子化された添付文書

電子添文に記載された副作用発現頻度は以下の通りです。
好中球減少(16.6%)、貧血(11.5%)、白血球減少(6.1%)、血小板減少(4.1%)、リンパ球減少(3.0%)、発熱性好中球減少症(0.7%)

臨床試験等における副作用の発現状況

国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)における骨髄抑制*1の発現頻度(1%以上)は以下のとおりでした1)

発現時期

  • 国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群)における骨髄抑制(有害事象)の初回発現時期は以下のとおりでした。

<出典>

  1. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210032)

アステラス製薬株式会社の医療関係者向け情報サイトに​アクセスいただき、ありがとうございます。​

本サイト(Astellas Medical Net)は、日本国内の医療提供施設にご勤務されている医療従事者を
対象としています。該当されない方はご登録・ご利用いただけませんので、予めご了承ください。

ご利用にはアステラスメディカルネット利用規約への同意が必要です。
ご同意頂ける場合は以下の該当ボタンをクリックしてお進み下さい。

本サイトでは、利便性向上、利用履歴の収集・集計のためCookieを利用してアクセスデータを取得しています。
詳しくは利用規約をご覧ください。オプトアウトもこちらから可能です。

アステラスの企業サイトをご利用の方はこちらからご覧ください。 

アステラスメディカルネット会員の方

会員登録されていない方

医療従事者の方は、会員限定コンテンツを除いたアステラスメディカルネットサイトの一部をご覧いただけます。
会員登録すると、製品に関する詳細な情報や領域ごとの最新情報など、会員限定のコンテンツが閲覧できます。

会員向けコンテンツをご利用の方

会員になると以下のコンテンツ、サイト機能をご利用いただけます。 

会員限定コンテンツの閲覧

ニュースや読み物、動画やWEBセミナーなど、
日々役立つ豊富な情報が閲覧可能になります。

情報収集サポート機能の利用

ブックマークやWEBセミナー予約など、手軽に、
効率的に情報を収集・共有いただける機能を
ご利用いただけます。