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骨髄抑制

骨髄抑制

Ⅱ.重大な副作用:骨髄抑制

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key Points

  • 臨床試験において骨髄抑制関連事象の発現が認められていることから、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。

本剤の電子化された添付文書(抜粋)

注意喚起の設定根拠

重大な副作用

EV-301 試験とEV-302 試験における骨髄抑制に関連した副作用として、好中球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、リンパ球減少、発熱性好中球減少症等の発現が認められております。

重要な基本的注意

本剤を用いた国内外の臨床試験において、骨髄抑制が認められていることから、本剤の投与前及び投与中の定期的な検査や臨床症状の十分な観察を促すために設定しました。

発現機序

  • 非臨床試験の結果1)からは、エンホルツマブ ベドチンによる血液学的影響が MMAE に起因していることが示されました。

<出典>

  1. パドセブ点滴静注用30㎎ 申請資料概要 2.6.6 毒性試験の概要文. PMDA.
    Available at: https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20211011002/800126000_30300AMX00454000_J100_1.pdf#page=7
    (2024年10月アクセス)

本剤投与前及び投与時のお願い

  • 臨床試験において骨髄抑制関連事象の発現が認められていることから、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。

臨床症状

  • 自覚・他覚症状から貧血が疑われた場合には血算、生化学検査を実施してください。網赤血球の測定は必ず行うようにしてください1)
  • 好中球減少症は無症状であることが多いため、定期的な血液検査を実施することが重要です2)
  • 好中球数が減少すると発熱する危険性が高く、急速に重症化することがあるので注意が必要です3)
  • 血小板減少は出血傾向などの臨床症状が認められますが、出血傾向が必ずしもすべて血小板減少によって引き起こされる訳ではないことも留意してください4)

【参考】

国際共同第Ⅲ相試験において、白血球数、血小板数、好中球数、赤血球数及びヘモグロビンは以下のとおり測定しました。
 • EV-301試験:スクリーニング時、サイクル1のday1(エンホルツマブ ベドチン群ではday1、day8、day15)及びそれ以降の各サイクルのday1投与開始時5)
 • EV-302試験:スクリーニング時、各サイクルのday1及びday8投与開始時6)

患者指導

  • 貧血の症状(易疲労感、頭重感、動悸、息切れ、顔面蒼白など)や好中球減少症に関連する症状(発熱、悪寒、咽頭痛など)、血小板減少症に関連する症状(皮下・粘膜の出血など)が患者もしくは家族により認識された場合、速やかに受診するよう指導してください1,2,4)
  • 好中球減少症はほとんどの場合、血液検査により指摘された時点で無症状であるか、あるいは感染症状が発現した時点で血液検査を行ってはじめて好中球減少症が発見されます。敗血症に進展すると高熱、悪寒戦慄、意識障害などの症状がみられるようになりますので、注意が必要です2)

<出典>

  1. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性貧血(溶血性貧血、メトヘモグロビン血症、赤芽球ろう、鉄芽球性貧血、巨赤芽球性貧血)(平成19年6月;令和3年4月改定)
  2. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)(平成19年6月;令和4年2月改定)
  3. 日本臨床腫瘍学会編:発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第2版, 南江堂, 2017
  4. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 血小板減少症(平成19年6月;令和4年2月改定)
  5. Powles T, et al. : N Engl J Med. 2021;384(12):1125-1135. [本試験はアステラス製薬の支援で行われた。著者には同社より助成金等を受領している者、同社の社員が含まれる](PMID: 33577729)(PEV-00057)
  6. Powles T, et al. : N Engl J Med. 2024;390(10):875-888. [本試験はアステラス製薬及びSeagen社(現Pfizer社)の支援で行われた。著者には同2社より講演料等を受領している者、同2社のコンサルタントを務める者又は社員が含まれる](PMID: 38446675)(PEV-00470)

対処

  • 骨髄抑制に関連する副作用が認められた場合は、休薬、減量又は中止等の適切な処置を行ってください。

【本剤の電子化された添付文書】 (抜粋)

  • 好中球数500/μL未満、あるいは1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される状態で、腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合は、個々の患者の状態や背景を考慮して経験的抗菌薬治療を行うべきかを判断してください1)
  • 発熱を伴う好中球減少症が認められた場合は、血液培養を含めた細菌学的検査を行い、広域スペクトラムの抗菌薬を十分量用いた感染症の治療を直ちに開始することを考慮してください2)

【参考】骨髄抑制のGrade分類(CTCAE v4.03準拠)

<出典>

  1. 日本臨床腫瘍学会編:発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第3版 がん薬物療法時の感染対策, 南江堂, 2024
  2. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)(平成19年6月;令和4年2月改定)

発現頻度

電子化された添付文書

電子添文に記載された副作用発現頻度は以下の通りです。
好中球減少(14.0%)、貧血(12.5%)、白血球減少(5.0%)、血小板減少(3.9%)、リンパ球減少(2.7%)、発熱性好中球減少症(0.8%)等があらわれることがあります。

臨床試験等における副作用の発現状況

【単剤投与時】
国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)における骨髄抑制*1の発現頻度(1%以上)は以下のとおりでした1)

【併用投与時】
国際共同第Ⅲ相試験(EV-302試験;エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群 n=440)における骨髄抑制*1の発現頻度(1%以上)は以下のとおりでした2)

発現時期

【単剤投与時】
国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群)における骨髄抑制(有害事象)の初回発現時期は以下のとおりでした。

【併用投与時】
国際共同第Ⅲ相試験(EV-302試験;EV+Pembro群)における骨髄抑制(有害事象)の初回発現時期は以下のとおりでした4)

<出典>

  1. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210032)
  2. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR240023)
  3. 【承認時評価資料】2.7.4.8.2 付録2 注目すべき有害事象の検索方法(DIR240025)
  4. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR240205)
  5. 【承認時評価資料】2.7.4.8.2 付録2 注目すべき有害事象の検索方法(DIR240025)

製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書をご参照ください。

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