高血糖

高血糖

Ⅱ.重大な副作用:高血糖

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key Points

  • 本剤を用いた国内外の臨床試験において、糖尿病の有無によらず、死亡例を含む高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスの発現が認められていることから、本剤投与開始前の血糖値のコントロール、定期的な血糖値の測定及び臨床症状の十分な観察をお願いします1)
  • 高血糖、糖尿病を有する患者(既往歴を含む)や、BMIが30kg/m2以上、HbA1cが6.5%以上の患者では、高血糖の発現又は増悪のリスクを考慮し2, 3)、本剤投与前に専門医のコンサルテーションを検討してください。
  • 本剤を用いた国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群)における高血糖の発現頻度は6.4%であり4)、発現時期中央値は19.0日でした1)

本剤の電子化された添付文書(抜粋)

注意喚起の設定根拠

重大な副作用

EV-301において、高血糖に関連した副作用として高血糖、耐糖能障害、2型糖尿病、血中ブドウ糖増加、コントロール不良の糖尿病をあわせて6.4%の発現が認められております。

重要な基本的注意

本剤を用いた国内外の臨床試験において、高血糖の発現が認められている。本剤の投与を開始する前に血糖値を適切にコントロールしておくこと及び投与中の定期的な検査、臨床症状の十分な観察を促すために設定しました。

発現機序

  • エンホルツマブ ベドチンによる高血糖の発現機序は不明です。

<出典>

  1. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.3 高血糖(DIR200263)
  2. Powles T, et al. : N Engl J Med. 2021;384(12):1125-1135.(PMID: 33577729)(PEV-00057)
  3. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9.(PMID: 33739346)(PEV-00067)
  4. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210070)

臨床症状

  • 本剤の投与期間中は、口渇、悪心、嘔吐等の症状の発現や血糖値の上昇に十分注意してください1)。特に糖尿病の既往を有する患者、BMIが高値の患者については、観察を十分に行ってください。
  • 血糖値がいくつ以上になるとこれらの症状が発現するのか、明確な閾値は示されていません。高血糖の症状の発現には個人差があり、症状がないことも多々あります。したがって、症状は高血糖の重篤さを必ずしも反映しませんが、以下のような自覚症状及び身体所見に十分注意してください1)

患者指導

  • 高血糖が発現した直後は症状が出ることは稀で、早期発見には血糖値測定が必須ですが、高血糖が増悪した際に発現する以下の症状が患者もしくは家族により認識された場合、速やかに受診するよう指導してください1)
  • 口渇(最も頻度が高い) • 多飲  • 多尿  • 体重減少  等
  • 患者には、高血糖の症状に注意するとともに、食生活や適度な運動など生活習慣の改善に努めるよう指導することが勧められています2)

注意が必要な患者

【参考1】

国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験)において、初回投与前3カ月以内にコントロール不良の糖尿病の既往を有する被験者は対象から除外されました[コントロール不良の糖尿病:HbA1c≧8%、又は7%≦HbA1c<8%で他に説明できない糖尿病症状(多尿又は多飲)が随伴している状態]4)

  • これらに該当する患者は高血糖の発現又は増悪リスクが高まるおそれがありますので注意していただき、必要に応じて専門医のコンサルテーションを検討してください。

定期的な検査の実施

  • 高血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、定期的に血糖値の測定を行い、高血糖の症状に注意してください。
  • 以下のようなリスクを有する患者では十分に注意してください1)

【参考2】

  • 国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験)において、血糖値はスクリーニング時、サイクル1のday1(エンホルツマブ ベドチン群ではday1、day8、day15)及びそれ以降の各サイクルのday1投与開始時に測定しました3)。なお、各施設においては血糖値管理のために、投与毎に血糖値の測定が必要とされていました。
  • 国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験)において、HbA1cが6.5%を超えて上昇した場合は、1サイクルの間に患者を専門医に紹介し、適切な血糖値管理を行うよう規定されていました3)

診断・鑑別診断

詳細な問診や自覚症状・徴候・身体所見などのチェック、さらに種々の検査所見を総合して、高血糖に関連する原疾患*の増悪なのか、本剤投与に起因する高血糖なのかなどを判別する必要があります1)

* 糖尿病、耐糖能障害のほか、糖代謝を悪化させやすい膵外分泌疾患や内分泌疾患、肝疾患や感染症、免疫機序による特殊な病態や遺伝的症候群など。

【参考3】

国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)におけるベースライン特性(高血糖の病歴の有無、BMI、HbA1c)別にみた高血糖の発現頻度は以下のとおりでした5)

<出典>

  1. 厚生労働省:重症副作用疾患別対応マニュアル 高血糖(平成21年5月;平成30年6月改定)
  2. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9.(PMID: 33739346)(PEV-00067)
  3. Powles T, et al. : N Engl J Med. 2021;384(12):1125-1135.(PMID: 33577729)(PEV-00057)
  4. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR200247)
  5. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.3 高血糖(DIR200263)

対処

  • 高血糖[血糖値250mg/dL超(随時・空腹時採血問わず)*]が認められた場合には、以下のとおり本剤を休薬し、血糖値が正常な値になるまで、インスリン製剤の投与等、適切な処置を行ってください。
  * 本剤を用いた国内外の臨床試験では空腹時血糖値は規定されませんでした1)
【本剤の電子化された添付文書】 (抜粋)
  • 高血糖が発現した場合は、必要に応じて専門医に相談してください。

【参考】高血糖のGrade分類(CTCAE v4.03準拠) 

<出典>

  1. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.3 高血糖(DIR200263)

発現頻度

電子化された添付文書

電子添文に記載された副作用発現頻度は以下の通りです。
高血糖(6.4%)
高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがあります。異常が認められた場合には、インスリン製剤の投与等、適切な処置を行ってください。

臨床試験等における副作用の発現状況

国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)における高血糖*1の発現頻度は以下のとおりでした1)

  • 本剤の投与により高血糖があらわれ、死亡や糖尿病性ケトアシドーシスに至った例が報告されています。
  • 重篤な副作用として、国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)において高血糖が3例(1.0%)、2型糖尿病が1例(0.3%)に認められました2)

発現時期

  • 国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群)における高血糖(有害事象)の初回発現時期は以下のとおりでした2)

症例紹介

①  77歳男性(海外:Grade5)3)

  • 身長167cm、体重94kg(BMI*:33.7)
  • 糖尿病関連既往歴:なし

②68歳男性(国内)4)

  • 身長166cm、体重70kg(BMI*1:25.4)
  • 糖尿病関連病歴:糖尿病併存

<出典>

  1. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210070)
  2. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.3 高血糖(DIR200263)
  3. 社内報告書:症例報告書 高血糖 海外(DIR200272)
  4. 社内報告書:症例報告書 高血糖 国内2(DIR200274)

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