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胃腸障害(下痢、悪心、嘔吐)、食欲減退及び味覚不全

胃腸障害(下痢、悪心、嘔吐)、食欲減退及び味覚不全

Ⅲ.その他の副作用:胃腸障害(下痢、悪心、嘔吐)、食欲不振及び味覚不全

  1. 注意事項
  2. 対処法
  3. 発現状況

本剤投与前及び投与時のお願い

  • 下痢、悪心、嘔吐、食欲減退、味覚不全などが発現し、栄養障害や脱水症状をもたらす可能性があるため、注意して使用してください1)
  • 悪心、嘔吐に対しては、個々の症例に応じた予防的対処を考慮してください2)

初期症状への注意と患者指導

  • 胃腸障害に関連する下痢(重度の下痢は下表)、悪心、嘔吐、食欲減退、味覚不全(症状は下表)などの症状が患者もしくは家族により認識された場合、速やかに受診するよう指導してください。
  • 薬物性の味覚不全は高齢者に多く、高齢者は複数の薬剤を服用しており、また発症までの時間や症状もまちまちであるため、多くの場合、初期の症状を捉えることは困難です4)
  • 患者に対し、本剤の投与により味覚の変化や食欲減退をきたす場合があることを事前に説明しておくことで、味覚不全に対する忍容性が高くなる可能性があります1)

定期的な検査の実施

  • 定期的な臨床検査や理学的検査などを行い、体液や電解質の状態を評価してください1)
  • 必要に応じて、栄養相談などを考慮してください1)

【参考】エンホルツマブ ベドチンの催吐リスク

  • 日本癌治療学会の『制吐薬適正使用ガイドライン第3版』では、エンホルツマブ ベドチンは「軽度催吐性リスク(low emetic risk)」に分類されています2)
    * 軽度催吐性リスク(low emetic risk):10~30%の患者に発現する。
  • ASCO のAntiemetics: ASCO Guideline Update においてエンホルツマブ ベドチンはLow emetic risk (10~30%)に分類されています5)
  • MASCC の制吐剤ガイドライン、あるいは悪心・嘔吐の予防に関するガイドラインに、エンホルツマブ ベドチンの記載はありません6,7)

<出典>

  1. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9. [著者にはアステラス製薬より謝礼金等を受領している者が含まれる](PMID: 33739346)(PEV-00067)
  2. 日本癌治療学会編:制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版, 金原出版, 2023
  3. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 重度の下痢(平成22年3月;令和3年4月改定)
  4. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害(平成23年3月)
  5. Hesketh PJ, Kris MG, Basch E, et al. Antiemetics: ASCO Guideline Update. J Clin Oncol. 2020;38(24):2782-2797.
  6. Davis M, Hui D, Davies A, et al. MASCC antiemetics in advanced cancer updated guideline.Support Care Cancer. 2021;29(12):8097-8107.
  7. Ruhlmann CH, Jahn F, Jordan K, et al. 2016 updated MASCC/ESMO consensus recommendations: prevention of radiotherapy-induced nausea and vomiting. Support Care Cancer. 2017;25(1):309-316.

対処

  • 胃腸障害、食欲減退、味覚不全などが発現した場合は、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行ってください。

【本剤の電子化された添付文書】 (抜粋)*

  • 下痢が発現した場合は感染性腸炎との鑑別が必要で1, 2)、血便や粘液便を伴う場合には、内視鏡検査による炎症性腸疾患との鑑別が重要であるとされています2)
  • 重度の下痢が発現した場合は、適切な補液などによる循環動態の安定、電解質異常の補正などが対処法の1つと考えられています。循環動態や電解質異常を伴わない程度の下痢(あるいはコントロールされた後)では、止瀉薬による対症療法も選択肢の1つになります2)
  • 味覚不全が発現した場合は、亜鉛サプリメントが効果を示すとの報告があります1)
  • 休薬によっても、味覚不全の症状の回復がみられない場合は口腔外科や耳鼻咽喉科等、味覚検査が可能な専門医に相談してください3)

【参考】胃腸障害、食欲不振及び味覚異常のGrade分類(CTCAE v4.03準拠)

TPN:非経口栄養

<出典>

  1. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9. [著者にはアステラス製薬より謝礼金等を受領している者が含まれる](PMID: 33739346)(PEV-00067)
  2. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 重度の下痢(平成22年3月;令和3年4月改定)
  3. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害(平成23年3月)

発現頻度

臨床試験等における副作用の発現状況

【単剤投与時】
国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)における胃腸障害、食欲減退及び味覚不全の発現頻度は以下のとおりでした1)

【併用投与時】
国際共同第Ⅲ相試験(EV-302試験;エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群 n=440)における胃腸障害、食欲減退及び味覚不全の発現頻度は以下のとおりでした2)

<出典>

  1. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210032)
  2. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR240023)

製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書をご参照ください。

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