血管外漏出

血管外漏出

Ⅲ.その他の副作用:血管外漏出

  1. 注意事項
  2. 対処法
  3. 発現状況

本剤投与前及び投与時のお願い

  • 静脈内投与に際し、本剤が血管外に漏れると、投与部位における皮膚又は軟部組織障害があらわれることがあるので、薬液が血管外に漏れないように注意してください。
  • 投与時には、適切な血管確保部位の選択、確実な穿刺・注入・固定などを行い、血液の逆流や点滴の滴下速度を確認するなど、血管外漏出の回避や早期発見をお願いします1, 2)

初期症状への注意と患者指導

  • 血管外漏出による症状は直後に発現するものから数日経過後に発現するものもあり、一般に、点滴部位周囲に以下のような症状があらわれます。進行すると、水疱、硬結、潰瘍、壊死が起こり、漏出部位によっては拘縮による運動障害や神経障害をきたす場合もあります1, 2)
  • 違和感(不快感) • 疼痛 • 腫脹 • 灼熱感 • 圧迫感 • しびれ • 紅斑 • 浮腫  等
  • 上記の症状がみられる場合や、点滴の滴下速度が遅くなった時はすぐに報告するよう、患者に指導してください1, 2)

【参考】血管外漏出時の組織障害性分類

  • 国内外の主なガイドラインにおいて、エンホルツマブ ベドチンの血管外漏出時の組織障害性分類は定められていません3,4,5)
  • エンホルツマブ ベドチンの組織障害性については、非臨床試験における局所刺激性6)を参考にしてください。

<出典>

  1. 日本がん看護学会編:外来がん化学療法看護ガイドライン 2014年版 ①抗がん剤の血管外漏出およびデバイス合併症の予防・早期発見・対処, 金原出版, 2014
  2. 国立がんセンター中央病院看護部編:がん化学療法看護スキルアップテキスト, 南江堂, 2009
  3. 日本がん看護学会/日本臨床腫瘍学会/日本臨床腫瘍薬学会編:がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版, 金原出版,2022
  4. Perez Fidalgo JA, Garcia Fabregat L, Cervantes A, Margulies A, Vidall C, Roila F. Management of chemotherapy extravasation: ESMO-EONS Clinical Practice Guidelines. Ann Oncol. 2012;23 Suppl 7(1569-8041 (Electronic)):vii167-73.
  5. West MEAG for SA-CT (SACT). Guidelines for the Management of Extravasation of a Systemic Anti-Cancer Therapy including Cytotoxic Agents. NHS England.
  6. パドセブ点滴静注用30mg 申請資料概要 2.6.6.7 局所刺激性試験. PMDA. (DIR210018) Available at: https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20211011002/800126000_30300AMX00454000_J100_1.pdf#page=25. (2023年3月アクセス)

対処

  • 保存的治療として一般的に次のような処置が知られています:針を抜く、冷却又は加温、ステロイド剤局注、ステロイド剤の塗布など1)
  • 血管外漏出が生じた際には適切な処置が必要であり、不適切な対策では非可逆性の重篤な皮膚障害に至ることがあります2)。血管外漏出後に保存的治療を行っても症状が悪化し、潰瘍や壊死が生じた場合はデブリードメントの実施も考慮してください3)

【参考1】血管外漏出のGrade分類(CTCAE v4.03準拠)

【参考2】抗腫瘍薬の血管外漏出時における一般的な対処法

抗がん剤の血管外漏出時、まずは保存的治療を行い、それができなければ外科的治療を行うことになり、患者のQOL を著しく損ないます1)。保存的治療のみで軽快させるために適切かつ迅速な対処が重要です。
保存的治療の手順は以下のとおりです1)。疼痛があれば鎮痛剤の投与も検討してください。

  1. 吸引しながら針を抜く。
  2. 患部を約15 分間、抗がん剤の種類によって冷却又は加温する。
  3. ステロイドの局所注射(ステロイドを局所麻酔薬と混和し漏出部よりやや広範囲に局注)を検討する。漏
    出後1 時間以内に行うのが望ましい。
  4. ステロイド軟膏を塗布する。
  5. 特定解毒薬(アントラサイクリン系抗がん剤の場合のデクスラゾキサンなど)を投与する。

<出典>

  1. 池末裕明ほか編:がん化学療法ワークシート第5版, じほう, 2020
  2. 日本病院薬剤師会:日本病院薬剤師会雑誌. 2011;47(8):983-1002.
  3. 日本がん看護学会編:外来がん化学療法看護ガイドライン 2014年版 ①抗がん剤の血管外漏出およびデバイス合併症の予防・早期発見・対処, 金原出版, 2014

発現頻度

臨床試験等における副作用の発現状況

  • 国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)における血管外漏出*の発現頻度は以下のとおりでした1)

<出典>

  1. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210072)

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