皮膚反応及びそう痒症

皮膚反応及びそう痒症

Ⅲ.その他の副作用:皮膚反応及びそう痒症

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key Points

  • 本剤の標的であるNectin-4が皮膚に発現していることから、本剤の薬理作用に起因して皮膚反応が発現する可能性が示唆されています1)
  • 本剤を用いた国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群)において、皮膚反応が高頻度(47.0%)で認められています2)。特に投与開始最初の1サイクルに発現しました(発現時期中央値は0.46カ月)1)
  • 初期症状の早期発見のために、看護師、薬剤師及び患者家族の協力が得られるよう指導してください。
  • 皮膚反応の程度に応じて、薬物治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤等)による適切な処置を行うとともに、発疹の対処法として無香料の保湿剤塗布も必要に応じて考慮してください3)

発現機序

  • エンホルツマブ ベドチンはNectin-4を標的とする薬剤であり、Nectin-4は皮膚組織に発現していることから、本剤によって皮膚障害が生じると考えられます。

<出典>

  1. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.1 皮膚反応(DIR200261)
  2. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210069)
  3. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9.(PMID: 33739346)(PEV-00067)

臨床症状

  • 本剤投与中(特に投与開始最初の1サイクル)は患者の状態を定期的に観察し、皮膚反応の発現又は増悪に注意してください。
  • ほとんどの皮膚反応は軽度かつ一過性です。ただし、重篤な症状(粘膜症状、水疱、皮膚剥脱など)がみられた場合は、まず原因の特定と正確な診断を行い、適切な対処をする必要がありますので、早急に皮膚科専門医に相談してください1)

患者指導

  • 最も一般的に起こる皮膚反応は斑状丘疹状皮疹及びそう痒症で、以下のように様々な所見がみられます1)
臨床試験(国内)で発現した皮膚反応例
  • 本剤に関連した皮膚反応は、屈側部及び肢端部に好発するとの報告もあります2)
  • 皮膚反応は軽度の段階で適切な治療を行うことで、重度の皮膚障害の発現を防ぐことが可能となります1)
  • 皮膚反応は全身に起こる可能性があります。初期症状の早期発見のために、看護師、薬剤師及び患者家族の協力が得られるよう指導してください。

注意が必要な患者

  • 本剤の標的であるNectin-4が皮膚に発現していることから、本剤の薬理作用に起因して皮膚反応が発現する可能性が示唆されています3)
  • 一般に皮膚疾患、発疹/そう痒症、アレルギー、皮膚乾燥、免疫抑制状態及び/又は高い日光曝露の既往歴を有する患者では皮膚反応が発現しやすいため、注意してください1)

<出典>

  1. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9.(PMID: 33739346)(PEV-00067)
  2. Hirotsu KE. : J Am Acad Dermatol. 2020 Dec 7;S0190-9622(20)33156-X. doi:10.1016/j.jaad.2020.11.067.(PMID: 33301805)(PEV-00081)
  3. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.1 皮膚反応(DIR200261)

対処

  • 本剤投与により皮膚障害が発現した場合には、以下のとおり、重症度に応じて休薬、減量又は中止等の適切な処置を行ってください。

【本剤の電子化された添付文書】 (抜粋)

  • 本剤投与により皮膚反応が発現した場合には、必要に応じて皮膚科専門医に相談してください。
  • 軽度~中等度の皮膚反応があらわれた場合は、休薬、減量又は中止、薬物治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤等の局所使用)等の適切な処置を行ってください。
  • 二次感染の治療には、必要に応じて抗菌薬や抗真菌薬の局所投与を行うことが望ましいとされています1)
  • 薬物治療のほか、発疹に対しては、無香料の保湿剤を1日2回(理想的には入浴後15分以内)塗布することや、無香料で低刺激性の軟膏や白色ワセリンなどを1日2回以上塗布することが発疹の予防や発疹の発現後に効果的であることが報告されています1)
  • 痒みを伴う発疹には、鎮痒成分を含む軟膏が効果を示すとの報告があります1)

【参考】皮膚反応及びそう痒症のGrade分類(CTCAE v4.03準拠) 

<出典>

  1. Pace A, et al. : Clin J Oncol Nurs. 2021;25(2):E1-E9.(PMID: 33739346)(PEV-00067)

発現頻度

臨床試験等における副作用の発現状況

  • 国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群 n=296)における皮膚反応*1及びそう痒症*2の発現頻度(2%以上)は以下のとおりでした1-3)
  • 皮膚反応(発疹又は重症皮膚副作用)(47.0%)*1
    • 斑状丘疹状皮疹(16.2%)*2
    • 発疹(15.2%)*2
    • 薬疹(8.8%)*2
    • 口内炎(7.1%)*2
    • 結膜炎(3.0%)*2
    • 紅斑性皮疹(2.7%)*2
    • 皮膚剥脱(2.4%)*2
    • 水疱性皮膚炎(2.0%)*2
    • 紅斑(2.0%)*2
  • そう痒症(32.1%)*2

発現時期

  • 皮膚反応は、特に本剤投与開始最初の1サイクルに多く認められ、国際共同第Ⅲ相試験(EV-301試験;エンホルツマブ ベドチン群)における皮膚反応(有害事象)の初回発現時期は以下のとおりでした1)

<出典>

  1. 【承認時評価資料】2.7.4.2.1.6.1 皮膚反応(DIR200261)
  2. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210069)
  3. 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験(DIR210032)

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