腎移植後は日に日に改善
腎移植後の子はもちろん透析からすぐに離脱できますし、少しずつ口から食事が摂れるようになります。生活の質は大幅に向上し、顔色はよくなって背も伸び始め……、何よりも活発になっていくんですよ。
かつて私は小児科医としての研修を終えた後、腎臓を専門にしようと当院に戻りました。そのときに初めて、3歳の子の腎移植に関わったのです。生まれてからずっと透析を受けていた子が劇的に回復し、腎移植が非常にダイナミックな治療であることを肌で感じました。その子はもう高校生になりましたが、今も元気に過ごしています。
小児の腎代替療法においては、移植に勝るものはないと実感しています。
患者さんとご家族に選択肢を伝えるときは
私は患者さんとご家族に腎代替療法について説明するとき、その選択肢に移植と透析、それからコンサバティブマネジメントとして保存的に診る方法も含めて提示しています。それでも選べる状況にあるならば、移植が一番だと伝えています。
移植後の外来診察で心がけていること
移植後は患者さんに小児科外来へ通ってもらいますが、泌尿器科と一緒に診ています。
まず気を付けているのは服薬管理です。幼少期は親が管理していますが、成長するにつれて本人が管理するようになると、ノンアドヒアランスに陥ってしまうケースがあるんです。免疫抑制剤の怠薬は拒絶反応を引き起こし、移植腎の廃絶につながる恐れがあります。
私たちが「薬は飲んでいるはずだ」と思っていても、その子の理解が不十分だったりすると、「実は飲んでいなかった」と言われることも起こり得ます。
ですから小児科医や泌尿器科医だけでなく、移植コーディネーターや看護師など複数のスタッフが関わることによって、そのうちの誰かにその子が本音を話せるような環境づくりを心がけています。そうしてスタッフ間で情報共有することによって、きちんと服薬管理できるよう留意しています。
回復した姿を皆に伝えたい
一般に、「腎移植」と聞いてもピンとこない医療従事者はいらっしゃるでしょう。私も当院で腎臓を専門にするまではそうでした。透析患者が腎移植後に劇的に回復する様子を見る機会がありませんでしたから。
透析を受けていた子が当院で腎移植を受け、また地元に戻って主治医のもとへ行くと、「あまりにも元気になっていて驚きました。腎移植ってすごいですね」と大変驚かれます。
また親御さんも、透析を離脱した子どもの世話が楽になり、日常生活に余裕が出てきます。子どもが透析を受けていたときは、自分の服装なども構っていられない様子でしたが、診察室でも笑顔が見られるようになるんですよ。
密な連携で
北海道の土地は広大ですが、患者さんがどの地域に住んでいても遅延なく腎移植を受けられるよう、医療機関同士で密なコミュニケーションを図り、相談しやすい環境をさらに整えていければと考えています。