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心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害〈効能共通〉

心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害〈効能共通〉

Ⅱ.重大な副作用:心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害〈効能共通〉

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key point

  • グラセプターの電子化された添付文書には、「1. 警告」に心不全の記載があります。致死的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤についての十分な知識と経験を有する医師が使用してください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「8. 重要な基本的注意」に心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心筋障害(心機能低下、壁肥厚を含む)等に関する記載があります。使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態をよく観察してください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「11.1 重大な副作用」に心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害の記載があります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「11.2 その他の副作用」に循環器の副作用に関する記載があります。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「10. 相互作用」に不整脈等に関する記載があります。

電子化された添付文書記載内容(抜粋)

1. 警告
〈効能共通〉
1.1 本剤の投与において、重篤な副作用(腎不全、心不全、感染症、全身痙攣、意識障害、脳梗塞、血栓性微小血管障害、汎血球減少症等)により、致死的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤についての十分な知識と経験を有する医師が使用すること。

8. 重要な基本的注意〈効能共通〉
8.4
心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心筋障害(心機能低下、壁肥厚を含む)等が認められているので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態をよく観察すること。[11.1.2 参照]

10. 相互作用
本剤は主として薬物代謝酵素CYP3A4及びCYP3A5で代謝される。[16.4.1 参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等

臨床症状・措置方法

機序・危険因子

抗生物質
 エリスロマイシン
 ジョサマイシン
 クラリスロマイシン
アゾール系抗真菌剤
 イトラコナゾール
 フルコナゾール
 ボリコナゾール

カルシウム拮抗剤
 ニフェジピン
 ニルバジピン
 ニカルジピン
 ジルチアゼム

HIVプロテアーゼ阻害剤
 リトナビル
その他の薬剤
 ブロモクリプチン
 ダナゾール
 エチニルエストラジオール
 オメプラゾール
 ランソプラゾール
 トフィソパム
 アミオダロン
飲食物
 グレープフルーツジュース

腎障害、不整脈等の副作用が発現することがある。併用開始後数日以内に本剤血中濃度が上昇し、副作用が発現した症例も報告されていることから、患者の状態を十分に観察するとともに、本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ減量・休薬等の処置を行う。

CYP3A4で代謝される薬剤又はCYP3A4の阻害作用を有する薬剤や飲食物との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。

レテルモビル

腎障害、不整脈等の副作用が発現することがある。併用開始後数日以内に本剤血中濃度が上昇し、副作用が発現した症例も報告されていることから、患者の状態を十分に観察するとともに、本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ減量・休薬等の処置を行う。

CYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する。

※ 併用により相互に代謝が阻害され、ニルバジピンの血中濃度も上昇する可能性がある。

11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用〈効能共通〉
11.1.2 心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害
(各0.1~5%未満)
心筋障害(ST-T変化、心機能低下、心内腔拡大、壁肥厚等)、心不全、心室性あるいは上室性の不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留があらわれることがある。[8.4 参照]

11.2 その他の副作用
循環器 血圧上昇(5%以上)、浮腫、頻脈、動悸、心電図異常、血圧低下(0.1~5%未満)、徐脈(0.1%未満)

注意喚起の設定根拠1)

警告

「重大な副作用」の項にも記載しているとおり、本剤の投与により、腎不全、心不全、感染症、全身痙攣、意識障害、脳梗塞、血栓性微小血管障害、汎血球減少症等の重篤な副作用が発現することが知られている。これらは致死的な経過をたどることもあるため、安全性を考慮し緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤についての十分な知識と経験を有する医師のもとで本剤をご使用いただくよう記載した。

重大な副作用

本剤と同一成分を含むプログラフによる心症状として、心筋障害(ST-T 変化、心機能低下、心内腔拡大、壁肥厚等)、心不全、心室性あるいは上室性の不整脈、狭心症、心膜液貯留が報告されている。
また、文献報告では、肝臓あるいは多臓器移植後にプログラフを投与した小児患者において可逆的な心室壁肥厚が観察されたとの報告2)、また腎移植患者を対象としてプログラフ投与開始から24週間にわたり心血管系副作用発現の有無を観察した結果、心血管系副作用が高頻度で発現しタクロリムスの血中濃度上昇に伴いトロポニンT上昇及び胸痛等が認められたとの報告3)などがある。本剤の使用に際しては、心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど、患者の状態をよく観察し、異常が認められた場合には減量あるいは休薬等の適切な処置を行うこと。

重要な基本的注意

プログラフの臨床成績及び市販後にて、心症状(心不全、不整脈、狭心症等)が認められたことから、本剤においても投与に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態をよく観察すること。(「Ⅷ.8.(1)重大な副作用と初期症状」の項参照)

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム
  2. Atkison P et al. Lancet 1995;345(8954):894-896
  3. Seino Y et al. Cardiovasc Drugs Ther 2003;17(2):141-149 

発現機序

不明
国内の腎移植68症例におけるタクロリムス投与後の心血管系副作用について検討した報告では、タクロリムスによる冠血管攣縮又は微小循環障害(微小血管狭心症)が、無症候性心筋虚血やその他の症候性イベントの原因として推察されている。1)

<出典>

  1. Seino Y et al. Cardiovasc Drugs Ther 2003;17(2):141-149

定期的な検査の実施

血圧測定、心電図、心エコー、胸部X線検査など
タクロリムス血中濃度

対処法1)

参考に本剤と同一成分を含むプログラフ(カプセル・顆粒・注射液)の承認時までの臨床試験及び市販後の調査(移植領域)における心臓障害に対するプログラフの処置について掲載する。

項目

発現率(%)

程度

処置(プログラフ)

 

肝移植

骨髄
移植

腎移植

高度

中等度

軽度

不明

中止

休薬

減量

経路変更

継続

その他

不明

胸痛

0/39

11/190
(5.8)
34/328
(10.4)

5

11

29

0

10

2

7

1

24

1

0

項目

発現率(%)

悪化の程度

処置(プログラフ)

 

肝移植

骨髄移植

腎移植

〔中央値(min~max)〕

中止

休薬

減量

継続

不明

高カリウム血症

7/39
(17.9)
58/188
(30.9)
66/327
(20.2)
5.8mEq/L
(4.4~7.4)

4

7

28

80

12

<出典>

  1. グラセプター 再審査結果及び使用上の注意改訂のお知らせ(2016年2月). 社内資料.

発現頻度

電子化された添付文書

11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用 〈効能共通〉
11.1.2 心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害
(各0.1~5%未満)
心筋障害(ST-T変化、心機能低下、心内腔拡大、壁肥厚等)、心不全、心室性あるいは上室性の不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留があらわれることがある。[8.4 参照]

11.2 その他の副作用
循環器 血圧上昇(5%以上)、浮腫、頻脈、動悸、心電図異常、血圧低下(0.1~5%未満)、徐脈(0.1%未満)

グラセプター 承認時までの臨床試験及び市販後の調査1)

グラセプターの承認時までの臨床試験及び市販後の調査(再審査終了時、ただし腎移植は1年観察終了時)で認められた心臓障害に関連する副作用の発現頻度を以下に示した。

電子
添文
用語
発現
症例数(%)

 

副作用等の種類
(MedDRA PT)

 

承認時までの
臨床試験
発現症例数(%)

 

市販後の調査 発現症例数(%)

腎移植

骨髄
移植

腎移植

肝移植

骨髄
移植

肺移植

膵移植

市販後
調査合計
狭心症
1(0.16)

胸痛

-

-

1(0.28)

-

-

-

-

1(0.18)

動悸
1(0.16)

動悸

-

-

1(0.28)

-

-

-

-

1(0.18)

頻脈
2(0.33)

頻脈

-

-

1(0.28)

-

-

-

-

1(0.18)

頻脈性不整脈

-

-

-

-

-

1(14.29)

-

1(0.18)

 

心肺停止

-

-

1(0.28)

-

-

-

-

1(0.18)

MedDRA PT:ICH 国際医薬用語集 基本語(Ver.14.1)

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム

発現時期

グラセプター 市販直後調査報告1)

心血管系の自覚症状及び検査値異常は、国内の腎移植患者にタクロリムス投与開始早期に発現したという報告がある。

 

移植前

移植日~
移植1週以内
移植1週超~
4週以内
移植4週超~
8週以内
移植8週超~
24週以内

心血管系症状

2例

5例

2例

3例

1例

心血管系検査値異常

-

9例

8例

3例

1例

Seino Y Cardiovascular Drugs and Therapy. 2003より改変

<出典>

  1. Seino Y et al. Cardiovasc Drugs Ther 2003;17(2):141-149

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