※1:初回治療後に再発、又は初回治療に難治性
※2:FLT3遺伝子変異検査にはリューコストラットCDxFLT3変異検査が使用された。
※3:日本人:ゾスパタ群33例、サルベージ化学療法群15例
■目的
初回治療後に再発又は初回治療に難治性のFLT3遺伝子変異陽性のAML患者におけるゾスパタの有効性
及び安全性をサルベージ化学療法と比較する。
■試験デザイン
多施設共同、非盲検、無作為化試験
■対象
再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性のAML患者 371例
〈選択基準・除外基準〉
文書による同意が得られ、全ての選択基準を満たし除外基準のいずれにも該当しない成人の男女を組み入れた。女性の場合は妊娠の可能性がないこと又は妊娠する可能性のある患者は、本試験期間中及び治験薬の最終投与後180日間は妊娠しないことに同意している等を条件とし、男性で女性パートナーに妊娠の可能性がある場合はバリア法に加えて、各地域で認められた基準に基づく非常に効果的な避妊法を使用することとした。ECOG PSのスコアが2以下、あらかじめ選択されたサルベージ化学療法に適格であること等を組み入れ基準として設定した。
■投与方法
ゾスパタ群又はサルベージ化学療法群に2:1の割合で無作為に割り付けた。
〈ゾスパタ群〉
ゾスパタ120mgを空腹時に1日1回、28日サイクルで連日経口投与した。
〈サルベージ化学療法群〉
以下のいずれかを選択した。
・LoDAC:シタラビン20mgを1日2回、皮下又は静脈内注射で10日間投与した。
・AZA:アザシチジン75mg/m2を1日1回、皮下又は静脈内注射で7日間投与した。
・MEC:ミトキサントロン†8mg/m2/日、エトポシド100mg/m2/日、シタラビン†1,000mg/m2/日を静脈内注射で5日間(Day 1~5)投与した。
・FLAG-IDA:G-CSF† 300μg/m2/日を皮下又は静脈内注射で5日間(Day 1~5)、フルダラビン30mg/m2/日及びシタラビン2,000mg/m2/日を静脈内注射で5日間(Day 2~6)、イダルビシン†10mg/m2/日を静脈内注射で3日間(Day 2~4)投与した。
†:本邦における承認用法・用量は下記の表をご参照ください。
■評価項目
主要評価項目:全生存期間(OS)、ゾスパタ群のCR/CRh割合*
主要副次評価項目:無イベント生存期間(EFS)、CR割合
副次評価項目:寛解持続期間、CR/CRh割合、CRh割合、CRc割合、輸血非依存移行割合及び輸血非依存継続割合、移植割合、無白血病生存期間(LFS)、簡易倦怠感尺度(BFI)、安全性
その他の評価項目:CRp、CRi、PR割合、最良効果、寛解までの期間
*:第1回中間解析時の主要評価項目であり、最終解析時の主要評価項目として設定されていない。
CR:完全寛解、CRh:部分的血液学的回復を伴う完全寛解、CRc:複合完全寛解(CR+CRp+CRi)、CRp:血小板未回復の完全寛解、CRi:好中球未回復の完全寛解
■有効性の解析計画
片側検定での全体の有意水準(片側検定:0.025)を2つの主要評価項目(CR/CRh割合及びOS)に割り当て、CR/CRh割合に対して0.0005、OSに対して0.0245とした(両側検定では、CR/CRh割合:0.001、OS:0.049)。
ITTを解析対象集団として、AMLの初回治療に対するレスポンス及びあらかじめ選択されたサルベージ化学療法により層別したlog-rank検定を用いてOSを解析することとした。また、主要評価項目及び主要副次評価項目について、年齢、性別、ECOG PSスコア、人種、地域、AMLの初回治療に対するレスポンス及びあらかじめ選択されたサルベージ化学療法などのサブグループ解析を実施した。輸血状況についてはベースラインの輸血状況別に解析を実施した。
なお、サブグループ解析については、事前に規定し実施した。
■主な解析対象集団
有効性はITT(無作為化されたすべての患者)371例(ゾスパタ群247例、サルベージ化学療法群124例)を解析対象集団とした。
安全性はSAF(治験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての患者)355例(ゾスパタ群246例、サルベージ化学療法群109例)を解析対象集団とした。
サルベージ化学療法群の本邦における承認用法・用量(成人)
G-CSF:本邦における適応症及び承認用法・用量は製品電子化された添付文書をご参照ください。
OSの中央値は、ゾスパタ群で9.3ヵ月、サルベージ化学療法群で5.6ヵ月であり、ゾスパタ群のOSの中央値はサルベージ化学療法群と比較して長かったことが示されました(ハザード比=0.637、片側P=0.0004:層別log-rank検定*)。
*:AMLの初回治療に対するレスポンス及びあらかじめ選択されたサルベージ化学療法を層別因子とした。
+:打ち切り(追跡調査の終了時までに死亡が確認できなかった患者は、最終連絡日で打ち切りとした。)
*:AMLの初回治療に対するレスポンス及びあらかじめ選択されたサルベージ化学療法を層別因子とした。
HSCT時点で打ち切りとした場合のOSの中央値は、ゾスパタ群で8.3ヵ月、サルベージ化学療法群で5.3ヵ月であり、ゾスパタ群のOSの中央値はサルベージ化学療法群と比較して長かったことが示されました(ハザード比=0.575、片側P<0.0001:層別log-rank検定*)。
*:AMLの初回治療に対するレスポンス及びあらかじめ選択されたサルベージ化学療法を層別因子とした。
+:打ち切り(追跡調査の終了時までに死亡が確認できなかった患者は、最終連絡日で打ち切りとした。ただし、HSCTを受けた患者についてはHSCT時点で打ち切りとした。)
*:AMLの初回治療に対するレスポンス及びあらかじめ選択されたサルベージ化学療法を層別因子とした。
OSの中央値のサブグループ解析の結果は以下のとおりでした。
COX比例ハザードモデル
※:日本人:ゾスパタ群33例、サルベージ化学療法群15例を含む
†:per IRT(Interactive Response Technology)
サブグループ解析については、事前に規定し実施した。
CRc:複合完全寛解(CR+CRp+CRi)、CR:完全寛解、CRp:血小板未回復の完全寛解、CRi:好中球未回復の完全寛解
EFSの中央値は、ゾスパタ群で2.8ヵ月、サルベージ化学療法群で0.7ヵ月でした。
CR割合は、ゾスパタ群で21.1%、サルベージ化学療法群で10.5%でした。
CR/CRh割合及びCRc割合はそれぞれ、ゾスパタ群で34.0%、54.3%、サルベージ化学療法群で15.3%、21.8%であり、いずれもゾスパタ群でサルベージ化学療法群と比較して有意に高いことが示されました。
ゾスパタ群の寛解持続期間の中央値は、CRで14.8ヵ月、CR/CRhで11.0ヵ月、CRcで4.6ヵ月でした。
CR:完全寛解、CRh:部分的血液学的回復を伴う完全寛解、CRc:複合完全寛解(CR+CRp+CRi)、CRp:血小板未回復の完全寛解、CRi:好中球未回復の完全寛解、NE:推定不能
寛解までの期間は以下のとおりでした。
移植割合は、ゾスパタ群で25.5%、サルベージ化学療法群で15.3%であり、両群間に有意差が認められました。
【移植実施基準】
特定のドナーが存在し、奏効が得られ、各施設でHSCTの実施が可能と判断された場合、HSCTを実施した。
ゾスパタ群では、本試験を中止することなくHSCTを実施できることとした。
サルベージ化学療法群では、中止基準の1つに「サルベージ化学療法群に割り付けられHSCTを受ける場合」を設定した。
なお、移植の実施は各実施医療機関の基準に従って実施できることとしたため、プロトコールでは移植実施基準を設定しなかった。
ゾスパタ群において、ベースライン輸血依存患者の34.5%は輸血非依存へと改善しました。
また、ベースライン輸血非依存患者の59.2%は輸血非依存の状態が持続しました。
ITT解析対象集団247例のうち、ゾスパタを1回以上投与した患者を評価した。
※1:それぞれの患者集団を以下のように定義した。
ベースライン輸血状況: ベースライン期間(初回投与28日前から初回投与28日後までの期間と定義、投与期間が28日未満の患者は初回投与28日前から投与終了までの期間と定義)中に赤血球輸血や血小板輸血を行っていない患者を輸血非依存、それ以外の患者を輸血依存と分類した。
ベースライン後輸血状況: 初回投与29日後から最終投与日までの期間に8週間連続で赤血球輸血や血小板輸血を行っていない期間が1回あった患者をベースライン後輸血非依存と分類した。
※2:ベースライン輸血依存患者と非依存患者のサブグループ解析を行った。サブグループ解析については、事前に規定し実施した。
ゾスパタ群の有害事象発現率は100%(246/246例)であり、主な有害事象は貧血116例(47.2%)、発熱性好中球減少症115例(46.7%)、発熱105例(42.7%)等でした。
ゾスパタ群で10%以上に発現した有害事象及び曝露期間の異なる2群間を曝露期間で調整した有害事象発現率は以下のとおりでした。
MedDRA/J V19.1、NCI-CTCAE Ver4.03
ゾスパタ群とサルベージ化学療法群で曝露期間が異なり、条件を合わせるためにE/PYを用いました。E/PYとは、「曝露量(投与期間)で調整した発現率」であり、「一人を一年間追跡した場合の平均的なイベント発現頻度」を表します。
■曝露期間とイベント発生回数のカウントの仕方
ゾスパタ群(移植後投与再開)の場合
※1:最終投与日-初回投与日+1日-(HSCTの実施期間)
ゾスパタ群(移植後投与再開なし)の場合
※2:最終投与日-初回投与日+1日
サルベージ化学療法群(図は1サイクル投与)の場合
※3:最終投与サイクルの投与初日+28日-1日
*:ただし、HSCT前処置開始又はHSCT前最終投与30日後までのいずれか早いほうまでに発現したイベントはカウントされる。また、プロトコールに規定した有害事象(死亡に至った有害事象等)は、HSCT前処置開始時期によらず、HSCT前最終投与30日後までに発現したイベントはカウントされる。
曝露期間の中央値はゾスパタ群で126日、サルベージ化学療法群で28日でした。
LoDAC:低用量シタラビン、AZA:アザシチジン、MEC:ミトキサントロン+エトポシド+中用量シタラビン、FLAG-IDA:フルダラビン+シタラビン+G-CSF+イダルビシン
副作用の発現率は、ゾスパタ群で83.7%(206/246例)、サルベージ化学療法群で65.1%(71/109例)でした。
主な副作用は、ゾスパタ群でALT増加73例(29.7%)、AST増加69例(28.0%)、貧血57例(23.2%)等、サルベージ化学療法群で貧血、悪心各25例(22.9%)、発熱性好中球減少症20例(18.3%)等でした。
●重篤な副作用
ゾスパタ群88例:発熱性好中球減少症(23例)、ALT増加(11例)、AST増加(10例)、肺炎(7例)、貧血(5例)等
サルベージ化学療法群16例:発熱性好中球減少症、肺炎、敗血症(各3例)等
●投与中止に至った副作用
ゾスパタ群27例:AST増加(4例)、ALT増加、肺炎(各3例)、敗血症性ショック、網膜症(各2例)等
サルベージ化学療法群5例:呼吸不全(2例)等
●死亡に至った副作用
ゾスパタ群10例:肺炎(3例)、大腸穿孔、敗血症性ショック(各2例)等
サルベージ化学療法群5例:呼吸不全、敗血症(各2例)等
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