（1）薬剤師の先生方からみた口腔内崩壊錠が適している疾患および患者さん

「口腔内崩壊錠が適している疾患」および「口腔内崩壊錠が適している患者さん」について薬剤師の先生方にアンケート調査をした結果をご紹介いたします^1）。

口腔内崩壊錠が適している疾患として、痛みが出た時にすぐに服用できる鎮痛剤や頭痛薬が挙げられていました。また、服薬アドヒアランスが非常に重要になる精神科領域では、患者さんが薬を服用しづらい場合、吐き出してしまうこともあるため、口腔内崩壊錠は有用であるとの意見もあります。

口腔内崩壊錠が適している患者さんとして、透析患者さんなどのように水分制限をしている患者さんや嚥下困難な患者さんが挙げられていました。

（2）薬剤師の先生方からみた口腔内崩壊錠のデメリットとは？

薬剤師さんにとって、口腔内崩壊錠のどういったところがデメリットなのでしょうか？口腔内崩壊錠のデメリットについてのアンケート結果を示します。

結果をみてみますと、錠剤の吸湿性や硬度への不安と分包機が使えないといった利便性の悪さが意見として圧倒していました。しかし、最近ではこの点も改良され、一般の錠剤と同様の扱いができる口腔内崩壊錠が数多く上市されています。

口腔内崩壊錠は口の中で速やかに崩壊させるために、一部の製品では崩壊剤といった錠剤の崩壊を促す賦形剤が入っています。この崩壊剤の影響により空気中の水分で硬度が下がるといった現象が見られ、防湿包装が施され管理に注意が必要になったり、分包機の使用や一包化ができなかったりする口腔内崩壊錠もありますので、製剤特性について、電子化された添付文書で確認することが必要です。

（3）口腔内崩壊錠の服薬指導

口腔内崩壊錠の服薬を指導していただく場合、2つのポイントがあります。

①「水なし服用」にこだわることなく、患者さんの生活習慣に合わせた服用方法を確認するとともに、水の有無どちらでも効果が変わらないことを患者さんに伝える。
②濡れた手で口腔内崩壊錠を触らない。

①に関しては第1回にも記載しましたが、患者さんの中には口腔内崩壊錠は別途「水なしで飲む」と誤解している方もおり、併用薬と別々に飲まなければならないという煩わしさを感じるため、服薬コンプライアンスの低下につながるケースもあります。そこで、下記に示すような服薬の指導箋を用いて口腔内崩壊錠の服薬の仕方を患者さんに説明することは有用です^2）。 

薬を服用するためにコップに水を入れた時、水が手についてしまい、そのままPTPシートを開けて、錠剤を取り出すことがよく見受けられます。一般の錠剤は水と接触してから崩壊まで数分かかりますが、口腔内崩壊錠は手に付着している少しの水で崩壊・溶解してしまうため、患者さんは戸惑われます。こうした口腔内崩壊錠の特性について、患者さんに説明を行っていただくことにより、患者さんの服薬アドヒアランス向上につながると考えられます。