インフルエンザQ&A

Q:インフルエンザワクチン接種にあたって、注意すべき副反応(有害事象)とその対処方法について教えてください。また、よりよい接種の方法はありますか?

A

インフルエンザワクチン接種後の主な副反応は、接種局所の発赤や腫脹が接種翌日に認められることが多いようです。再接種の考え方や局所反応を少しでも軽減できる接種方法を考えました。

解説

1.主な副反応(有害事象)**と発現時期、対処法

不活化インフルエンザワクチンの接種後に最もよく認められる副反応は、接種局所の反応とされています1)。「インフルエンザ・肺炎球菌感染症(B類疾病)予防接種ガイドライン」2)では、「発赤、腫脹、疼痛等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失する」、「その他、まれに接種直後から数日中に、発疹、じんましん、紅斑、掻痒等があらわれることがある。発熱、悪寒、頭痛、倦怠感等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失する」と記載されています。

よくみられる副反応(有害事象)への対処は、「予防接種ガイドライン」3)にまとめられています。接種局所の熱感や発赤が強いときには、局所の冷湿布を行います。硬結は、次第に小さくなりますが、1カ月後でもなお残る場合があります。これについては「放置してよい」とされています。前回の接種で局所反応が強く出た場合、次回からはなるべく皮下深く接種します。発熱時の対策は一般的処置として冷却、必要に応じてアセトアミノフェン等の解熱剤を投与します。ただし、他の原因による発熱も考えられますので、観察が重要です。通常みられない副反応に対しては、専門医への受診を勧めてください。

副反応: ワクチン接種により免疫をつけることに伴って発生する、免疫の付与以外の反応のことであり、通常の医薬品で言う「副作用」と同様の意味である4)
**有害事象: 薬物との因果関係がはっきりしないものを含め、薬物を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない、あるいは意図しない徴候、症状、または病気を有害事象(adverse event)という5)

2.腫れなど副反応が出た方への再接種についての考え方

「インフルエンザ・肺炎球菌感染症(B類疾病)予防接種ガイドライン」2)では、予防接種不適当者として、①接種当日、明らかな発熱(通常37.5℃以上)を呈している者、②重篤な急性疾患にかかっている者、③接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことが明らかな者、④インフルエンザの定期接種で、接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う病状を呈したことがある者(なお、④は任意接種においては該当しません)、⑤その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者、となっています。

このため、これまでの接種で発赤や腫脹などの局所反応、全身倦怠感、頭痛が認められた対象者への再接種は可能と考えられます。

3.痛みや腫れの少ない接種方法など、よりよい接種方法はありますか?

局所反応は、他のワクチン接種でも頻度の差はありますが、認められることが多い副反応です。筋肉内接種が皮下接種より局所反応が少ないことからも、接種後の局所反応は、注射針の挿入角度や長さなどが関与していると考えられます。皮膚をつまんで、長い針で60~90°の角度で皮下深く接種することが、局所反応を少なくするポイントではないかと考えています。

接種後、局所を揉んでも揉まなくても局所反応は変わらないようです。なお、既往歴に応じて、次のような穿刺時の痛みを軽減する方法が考えられます。

既往歴に応じた痛みの軽減方法
①被接種者の不安感、恐怖感を高める発言を避ける。
②採血やワクチン接種時に気分不快歴、失神歴がある場合は、臥位での接種を勧める。
③ワクチン接種時に気分不快や失神の既往のある方、恐怖感や不安感が強い方の場合、接種予定部位に事前に外用局所麻酔剤(リドカイン・プロピトカイン配合貼付剤)の貼付についても検討する。
④接種時に声かけして、意識を注射からそらす痛みの軽減方法がある。

表. インフルエンザワクチンの副反応疑い報告状況(2019/2020シーズンと2020/2021シーズンの比較)

文献6)より一部改変

4.副反応疑い報告制度について

インフルエンザワクチン接種後の副反応疑い(有害事象)で、報告基準に該当するものは必ず報告することが求められています。

2020/2021シーズンの中間報告からご紹介します。2020年10月1日から2021年3月31日までに、インフルエンザワクチンは推定約6,547万回分(人)接種されていました。医療機関からの報告数は323例(報告頻度: 0.00049%)で、そのうち重篤例が107例(報告頻度: 0.00016%)、さらにそのなかで死亡例が3例(報告頻度: 0.0000046%)でした6)

収集期間は異なりますが、2019/2020シーズンは2019年10月1日から2020年9月30日までに、推定約5,650万回分(人)接種され、医療機関からの報告数は283例(報告頻度: 0.00050%)でした。そのうち、重篤例は96例(報告頻度: 0.00017%)で死亡例は5例(報告頻度: 0.0000089%)でした6)

症状別の比較を表に示します。定期接種後の副反応疑い報告の対象に、急性汎発性発疹性膿疱症(接種後28日以内に確認されたもの)が2019年から追加されました7)

2020/2021シーズンのアナフィラキシー報告例で、専門委員の評価がなされたブライトン分類レベル3以上の報告数(重篤)は7例でした(前シーズンは6例)6)。全例回復または軽快しています。このうち、基礎疾患に関してアレルギーの既往がある者は、喘息1例、造影剤アレルギー1例でした8)。専門委員評価がなされた急性散在性脳脊髄炎は1例で、ギラン・バレー症候群は2例でした6)

副反応疑いの報告書の提出は、「予防接種後副反応疑い報告書」入力アプリ9)(国立感染症研究所のホームページからダウンロード可)を使用し、従来はプリントアウトしてFAXで送信する方法でしたが、これに加えて、ウェブサイトからの提出も可能になりました10)

送付先: 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 安全性 情報・企画管理部 情報管理課
【報告受付サイト】
https://www.pmda.go.jp/safety/reports/hcp/0002.html

副反応疑い報告の集計結果は、厚生科学審議会予防 接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、年に数回、評価・ 審議されており、その資料をホームページで閲覧すること ができます11)

(岡田 賢司)

文献

1)Fiore AE, et al.: Vaccines. 6th edition, p.277-279, Elsevier, 2013.

2)予防接種ガイドライン等検討委員会: インフルエンザ・肺炎球菌感染症(B類疾病)予防接種ガイドライン2020年度版. 公益財団法人予防接種 リサーチセンター. 2020.

3)予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種ガイドライン2021年度版. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2021.

4)一般社団法人 日本ワクチン産業協会: ワクチンの基礎2020―ワクチン類の製造から流通まで. 2020.

5)日本薬学会: 薬学用語解説.

6)第66回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第15回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全 対策調査会(合同開催). 資料3-27. 2021年8月4日. https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816315.pdf(アクセス2021年9月8日現在)

7)厚生労働省: 健発0927第3号 薬生発0927第2号. 2019年9月27日.

8)第66回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第15回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会 安全対策調査会(合同開催). 資料3-30. 2021年8月4日. https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816318.pdf(アクセス2021年9月8日現在)

9)国立感染症研究所:「予防接種後副反応疑い報告書」入力アプリ. https://www.niid.go.jp/niid/ja/vaccine-j/6366-vaers-app.html(アクセス2021年4月19日現在)

10)厚生労働省: 予防接種法に基づく医師等の報告のお願い. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/hukuhannou_houkoku/(アクセス2021年4月19日現在)

11)厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_284075.html(アクセス2021年6月4日現在)


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