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インフルエンザQ&A

Q4:インフルエンザHAワクチン接種にあたって、注意すべき副反応(有害事象)とその対処方法について教えてください。また、よりよい接種の方法はありますか?

A

インフルエンザHAワクチン接種後の主な副反応は、接種部位の発赤、腫脹、疼痛等で、通常、2-3日中に消失するとされています1)。主な副反応への対処法や再接種の考え方などについて述べます。

解説

主な副反応*(有害事象**)と発現時期、対処法

「B類疾病予防接種ガイドライン」1)では、「接種部位の発赤、腫脹、疼痛等を認めることがあるが、通常、2~ 3日中に消失する」、「その他、まれに接種直後から数日中に、発疹、じんましん、紅斑、掻痒等があらわれることがある。発熱、悪寒、頭痛、倦怠感等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失する」と記載されています。

主な副反応(有害事象)への対処は、「予防接種ガイドライン」2)にまとめられています。接種局所の熱感や発赤が強いときには、局所の冷湿布を行います。硬結は、次第に小さくなりますが、1カ月後でもなお残る場合があります。これについては「放置してよい」とされています。前回の接種で局所反応が強く出た場合、次回からはなるべく皮下深く接種します。発熱時の対策は一般的処置として冷却、必要に応じてアセトアミノフェン等の解熱剤を投与します。ただし、他の原因による発熱も考えられますので、観察が重要です。通常みられない副反応に対しては、専門医への受診を勧めてください。

*副反応: ワクチン接種により免疫をつけることに伴って発生する、免疫の付与以外の反応のことであり、通常の医薬品でいう「副作用」と同様の意味である3)。
**有害事象: ワクチン接種との関係の有無を問わず、被接種者にみられた不利益のすべてを有害事象という3)。

発熱や腫れなど副反応が出た方への再接種についての考え方

「B類疾病予防接種ガイドライン」1)では、予防接種不適当者として、①接種当日、明らかな発熱(通常37.5℃以上)を呈している者、②重篤な急性疾患にかかっている者、③予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことが明らかな者、④その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者、となっています。したがって、これまでの接種で局所反応がみられた方などは接種不適当者1)に該当しませんので、再接種は可能と考えられます。被接種者の健康状態を考慮し、副反応の対処法をあらかじめ指導するなど注意が必要です。

なお、2026年3月に改正された定期接種実施要領において、「インフルエンザの定期接種で、2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者には、インフルエンザの接種を行ってはならない」旨の記載が削除されました4)。このような方に対しても、インフルエンザワクチンを接種できる場合がありますが、被接種者の健康状態や体質を考慮し、予診を十分に行うなどして接種の適否を慎重に判断してください。

痛みや腫れの少ない接種方法など、よりよい接種方法はありますか?

局所反応は、他のワクチン接種でも頻度の差はありますが、認められることが多い副反応です。標準用量のインフルエンザHAワクチンの接種方法は皮下接種ですが、皮下接種の場合、肘関節を屈曲させて、針の先端が筋肉内に入るのを防ぐため注射部位をつまみ隆起させ、皮下深く接種します。接種後は、接種部位を清潔なアルコール綿で、液が漏れ出ないように注意しながら揉まずに血が止まる程度に押さえるだけでよいです。あまり強く揉むと皮下出血を来すこともあるので、注意します1)。

ほかに、痛みを軽減させる方法として、下記もあります。

■痛みの軽減方法の例示
①被接種者の不安感、恐怖感を高める発言を避ける。
②採血やワクチン接種時に気分不快歴、失神歴がある場合は、臥位での接種を勧める。
③ワクチン接種時に気分不快や失神の既往のある方、恐怖感や不安感が強い方の場合、接種予定部位に事前に外用局所麻酔剤(リドカイン・プロピトカイン配合貼付剤)の貼付についても検討する。
④接種時に声かけして、意識を注射からそらす5)。

副反応疑い報告制度について

インフルエンザHAワクチン接種後の副反応疑い(有害事象)で、報告基準に該当するものは必ず報告することが求められています。

2025/2026シーズンの中間報告からご紹介します。2025年10月1日から同年12月31日までに、インフルエンザワクチンは推定約4,875万回分(人)接種されました。医療機関からの報告数は64例(報告頻度: 0.00013%)で、そのうち重篤例が28例(報告頻度: 0.00006%)、さらにそのうち死亡例が4例(報告頻度: 0.0000082%)でした6)。

収集期間は異なりますが、2024/2025シーズンは2024年10月1日から2025年9月30日までに、推定約4,550万回分(人)接種され、医療機関からの報告数は95例(報告頻度:0.00021%)で、うち重篤例は53例(報告頻度: 0.00012%)、死亡例は7例(報告頻度: 0.0000154%)でした6)。

症状別の比較を表に示します6)。

2025/2026シーズンのアナフィラキシーの可能性がある症例について、専門委員の評価がなされたブライトン分類レベル3以上の報告数は1例(重篤例)でした(前シーズンは、8例で全例が重篤例)6)。専門委員評価がなされた急性散在性脳脊髄炎は1例7)、ギラン・バレー症候群は4例で、いずれもワクチン接種との因果関係は評価不能でした8)。

副反応疑いの報告書は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「報告受付サイト」からオンラインで提出する電子報告システムがあります9)。

文献6)より

なお、副反応疑い報告の集計結果や事象など詳細は、 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討 部会のホームページで資料が公開されており、閲覧する ことができます10)。

(岡田 賢司)

文献

1)予防接種ガイドライン等検討委員会: B類疾病予防接種ガイドライン2025年度版. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2025.

2)予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種ガイドライン2026年度版. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2026.

3)一般社団法人 日本ワクチン産業協会: ワクチンの基礎2025―ワクチン類の製造から流通まで. 2025.

4)厚生労働省: 定期接種実施要領.
https://www.mhlw.go.jp/content/001684997.pdf
(アクセス2026年4月22日現在)

5)新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する接種者向け手引き. 2022年2月24日版(厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・ 再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの有効性・安全性と効果的適用に関する疫学研究」研究代表者 廣田良夫)
https://vaccine-kyogikai.umin.jp/pdf/20220224_COVID-19_carry-out-vaccination-guide_for_vaccinators.pdf
(アクセス2026年5月25日 現在)

6)第111回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和8年度第1回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 (合同開催). 資料2-31. 2026年4月22日.
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001694242.pdf
(アクセス2026年4月22日現在)

7)第111回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和8年度第1回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 (合同開催). 資料2-34. 2026年4月22日.
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001694188.pdf
(アクセス2026年4月22日現在)

8)第111回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和8年度第1回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 (合同開催). 資料2-35. 2026年4月22日.
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001694189.pdf
(アクセス2026年4月22日現在)

9)厚生労働省: 予防接種法に基づく医師等の報告のお願い.
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/hukuhannou_houkoku/
(アクセス2026年4月22日現在)

10)厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会.
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_284075.html
(アクセス2026年4月22日現在)


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