メディカルアフェアーズ情報
情報提供に関する留意事項
こちらのエリアでは、メディカルアフェアーズ部門が医学的・科学的な専門性に基づき、弊社製品および関連する疾患情報などを提供しています。
こちらに掲載しているコンテンツは、弊社の市販製品の安全で効果的な使用、及び開発中のアステラスの医薬品又は製品の治療対象疾患に関する理解のために情報を提供するものであり、アステラス製品の処方の創出や需要拡大等を目的に弊社製品並びに当社製品の効能・効果を宣伝、広告するものではありません。
また、こちらのエリアでは弊社製品の臨床試験や研究結果の提供にあたり自社以外の製品について本邦では未承認の医薬品や効能・効果、用法・用量の情報が含まれていることがあります。
医療行為におけるご判断は、医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願いいたします。
製品のご使用にあたっては、その製品の最新の添付文書をご確認ください。
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インフルエンザHAワクチンは凍結を避け、10℃以下で保存します1)。
保存剤を含むインフルエンザHAワクチンの場合、バイアルに一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用します。保存剤を含まないインフルエンザHAワクチンは、残液は速やかに処分します1, 2)。
使用済みのワクチンは、マニュアルに従って適切に廃棄してください。
保存剤(チメロサール)が添加されている理由や含有量について解説します。
インフルエンザHAワクチン使用前の保存に関しては、電子化された添付文書†の「貯法」の項に、保存剤の有無にかかわらず、「凍結を避け、10℃以下で保存」とあります1)。凍結されたものや10℃を超えて保存された製品の有効性・安全性は確かめられておらず、使用することはできません。
保管温度を守って適切に保管するための方法や工夫は、「予防接種に関するQ&A集」2)、「予防接種における間違いを防ぐために」3)、「予防接種実施者のための予防接種必携」4)、「最新感染症ガイド日本版R-Book」5)からまとめると、次のようになります。
・定期的に冷蔵庫の温度を確認・記録する: 最高・最低温度が記録できる自動温度計を取り付けておきます。
温度変化を避けるための工夫としては、
・ワクチンは、冷蔵庫内の温度が一定の場所に置く: 扉部分は温度変化が大きく、保管に適していません。
・飲み物や食べ物などと一緒に保管しない: 扉の開閉頻度が多くなり、推奨されません。
停電や電源切れ、冷蔵庫の故障への備えとしては、
・補助電源が付いた冷蔵庫に保管する
・水の入ったボトルなど冷却材で冷蔵庫のスペースを埋めておく
日ごろから水のボトルなどを入れておけば、突然、電源切れが起こっても、庫内の温度上昇を遅らせることができると考えられます。もし冷蔵庫の電源が切れても、当該ワクチンの保管温度以内であることが自記式温度記録計等で確認できれば使用できますが、保管状態が適切でないワクチンは直ちに廃棄します。
ほかに、有効期限が切れたワクチンを誤って使用しないために、
・有効期限が近いワクチンを冷蔵庫内の手前に置く: 有効期限の近いワクチンから使用できるように、置く位置を考慮します。定期的にチェックを行い、有効期限切れのワクチンは早急に処分します。
なお、昨シーズンのインフルエンザHAワクチンが冷蔵庫に残っていた場合、有効期限が切れていなくても使用は控えてください。今シーズンのワクチンは、使用するワクチン製造株が昨シーズンとは異なるためです。
接種時の注意として、電子化された添付文書†には「冷蔵庫から取り出し室温になってから、必ず振り混ぜ均等にして使用すること」と記載されています1)。室温にもどったら速やかに使用してください。室温にもどるまでの時間は、周囲の温度などの条件によって異なると考えられます。
†インフルエンザHAワクチンの電子化された添付文書の記載事項
貯法: 凍結を避け、10℃以下で保存
14. 適用上の注意
14.1 薬剤接種時の注意
14.1.1 接種時
(2)冷蔵庫から取り出し室温になってから、必ず振り混ぜ均等にして使用すること。
(6)一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用すること。
保存剤を含むインフルエンザHAワクチンのマルチドーズバイアルで一度針を刺した後、適切に保存されたワクチンがどのくらいの期間使用できるかについては、「一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用すること」と電子化された添付文書†に記載されています1)。できれば残液が出ないように工夫して、できるだけ速やかに接種を行いましょう。いったん針を刺したバイアルの残液を短期間保存し、再度使用する際には、無菌操作に注意してください。もし、医療安全の観点において、汚染や不適切な管理があった場合、もしくはそのおそれがある場合には使用せず、適切に廃棄することが必要です。特に、3歳未満児へのインフルエンザHAワクチン接種にあたっては、1本のバイアルからの数回の採取が可能であり、医療事故が生じないよう、その管理および使用には十分留意することを心掛けてください。また、異なるバイアルの残液を集めて規定量を吸引することは、無菌操作の観点から勧められません。
マルチドーズバイアルから注射器に接種液を吸引後は、速やかに使用してください。保存剤(チメロサール)を含まないバイアル製剤の場合は、規定量を吸引後、残液は速やかに処分します2)。シリンジ製剤もトップキャップを開封したものは直ちに使用します。
使用後のインフルエンザHAワクチンのバイアルは、破損などにより鋭利なものとみなされれば、感染性廃棄物として、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」6)に従い、他の廃棄物と分別し適切な容器を使用することになります。また、チメロサールを含むワクチンでは、水銀物質についての基準がありますので、許可業者に情報(種類、量、性状など)を提供し、適切な処理を委託することになります。
シリンジ製剤は、注射筒内に血液の逆流の可能性があることから、感染性廃棄物として処理することが適切であると考えられます6)。また、針刺し事故防止の点から、リキャップせずにただちに針廃棄容器に廃棄してください。
マルチドーズの液状不活化ワクチン製剤は、一度針を刺すと雑菌混入の可能性があり、雑菌繁殖を防止するために、保存剤が添加されているワクチンがあります。わが国のインフルエンザHAワクチンでは、シリンジ製剤や0.5 mLバイアル製剤には保存剤が使用されていない製剤もありますが、1mLバイアル製剤には保存剤としてチメロサールが使用されています。ワクチン中のチメロサールの含有量は、1990年代に比較して10分の1以下(0.004~0.008 mg/mL)に減量した製品7)、あるいは、チメロサールを含まない製品が供給されています。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、ワクチンの保存剤として用いられているチメロサールについて調査結果報告書を公開しています。関連文献の評価、諸外国における評価、国内における関連症例報告の状況、関連学会の見解等を踏まえ、「臨床的には局所における過敏反応などが時にみられるものの、自閉症等との因果関係に関する評価や他の規制当局における対応状況等を鑑みると特に複数回接種用のワクチンにおいては、チメロサールを添加しない場合の病原体汚染によるリスクに比較するとチメロサールにより起こるかもしれない有害反応のリスクは妊婦*、小児等を含めて低いものと考えられる」と報告しています7)。
*インフルエンザHAワクチンの電子化された添付文書の記載事項
9. 特定の背景を有する者に関する注意(抜粋)
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。
ワクチンには、抗原や保存剤の他に、不活化剤、安定剤、免疫賦活剤(アジュバント)などの添加物が含まれています。国内で供給されているインフルエンザHAワクチンには、添加物の具体例としてチメロサール(1 mLバイアル製剤のみ)やホルマリンなどが含まれ、アジュバントは含まれていません。
ホルマリンは、不活化ワクチンの製造工程で用いられ、ウイルスや毒素の蛋白を変性固定化する効果があり添加されます8)。インフルエンザHAワクチンの最終製品に含まれるホルマリンの量は、ホルムアルデヒド換算で0.0026w/v%以下です1)。
ホルムアルデヒドは人体のチミジン、プリン、アミノ酸合成として必要で、生体の代謝において不可欠です。体重5 kg程度の2カ月児の血液中には約1.1 mg 存在します。これは、ワクチンに残存する量の少なくとも10倍以上です。さらに、動物実験では、ワクチン残存量の600倍以上を投与できることが報告されています9)。
また、ホルムアルデヒドに起因する副反応の報告は、B型肝炎ワクチン1回目接種後に紅斑と水疱疹を生じ、パッチテストで陽性であった1症例があります10)。ホルムアルデヒドが原因で副反応を生じる症例はまれと考えられます。
国内で使用されている一部のインフルエンザHAワクチンには、ポリソルベート80が分散剤として添加されています。ポリソルベート80は厚生労働省の食品健康影響評価(2007年)で、安全性の検討が行われ、結果の資料が公開されています11)。
(三田村 敬子)
文献
1)電子添文: インフルエンザHAワクチン「生研」. デンカ株式会社、アステラス製薬株式会社. 2026年7月改訂(第10版).
2)岡部信彦、多屋馨子:予防接種に関するQ&A集2025. p.71-75, 一般社団法人日本ワクチン産業協会. 2025.
http://www.wakutin.or.jp/medical/pdf/qa_2025.pdf#page=1
(アクセス2026年5月27日現在)
2)国立健康危機管理研究機構: 予防接種における間違いを防ぐために(2025年4月改訂版).
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001523756.pdf
(アクセス2026年4月8日現在)
4)予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種実施者のための予防接種必携 令和7年度. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2025.
5)岡部信彦(監修): 最新感染症ガイド 日本版R-Book 2018-2021. p.20-26, 日本小児医事出版社. 2018.
6)環境省 環境再生・資源循環局: 廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル. 2018年3月.
https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf
(アクセス2026年4月8日現在)
7)医薬品医療機器総合機構(PMDA): 調査結果報告書 チメロサール.
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1106-11m08.pdf
(アクセス2026年4月8日現在)
8)中山哲夫: 小児内科. 36(3): 392-397, 2004.
9)Offit PA, et al.: Pediatrics. 112(6): 1394-1401, 2003.
10)Leventhal JS, et al.: Dermatitis. 23(3): 102-109, 2012.
11)厚生労働省: 添加物評価書 ポリソルベート類(ポリソルベート20, 60, 65, 80). 食品安全委員会. 2007年6月.
https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-tuuchi-polysorbate20_80_151008.pdf
(アクセス2026年4月8日現在)
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