検査・診断

検査・診断

膀胱癌のスクリーニング・画像検査

膀胱癌の検査・診断の流れ

一般に、血尿などにより膀胱癌が疑われる患者に対しては、①膀胱癌のスクリーニング検査後、②確定診断を行い、③Stage分類を確定して治療方針が決定される(図11,2)
スクリーニング検査では、尿検査、尿細胞診、超音波検査などを行い、血尿などの原因を確認する。膀胱鏡検査では、膀胱内の癌の有無、形態、性状、部位、大きさ、数などを確認するとともに、膀胱癌の存在を認めた場合には骨盤部MRI検査により癌の深達度を調べる。Stage分類は膀胱生検により行い、必要に応じて胸腹部CTまたは骨盤部MRI検査、骨シンチグラフィーなどにより、リンパ節や他臓器への転移の有無を確認する。

図1:膀胱癌の検査、診断の流れ

図1:膀胱癌の検査、診断の流れ

スクリーニング検査

膀胱癌発見の契機となる主な症状は、血尿(肉眼的血尿、顕微鏡的血尿)と膀胱刺激症状(頻尿、排尿時痛、残尿感等)であり、膀胱癌が疑われる患者に対してまず尿検査を実施する。尿検査で膀胱炎や尿路感染症を鑑別したうえで、尿中の癌細胞の有無を確認する尿細胞診、超音波検査などの画像検査を行う。無症状者に対する一般検診は、有用性を示すエビデンスが確立していないため推奨されていないが、ハイリスク例については年1回の検尿や尿細胞診の検査が推奨されている3)

<尿検査>
尿検査では血尿を評価し、尿路における炎症や癌などの有無を確認する(表14)

表1:尿検査

表1:尿検査

膀胱癌で最も多い症状は血尿であり、血尿の患者が3年以内に尿路上皮癌に罹患する確率は男性が7.4%、女性が3.4%と報告され5)、肉眼的血尿がみられた患者の17%、顕微鏡的血尿がみられた患者の4%で膀胱癌が検出されている6)
肉眼的血尿を認めず、尿試験紙法で尿潜血が陽性となった場合には尿沈渣検査を行う。AUA/SUFUガイドライン2020では、赤血球が3個以上(/HPF:High Power Field)認められた場合に顕微鏡的血尿と判断することが推奨されている(Strong、グレードC)(図27)。また、顕微鏡的血尿が認められた場合の診断アプローチについては、年齢、喫煙歴、血尿の質と量に基づく個別のリスクによって判断される(表27)

図2:血尿の評価

図2:血尿の評価

表2:顕微鏡的血尿を認めた患者における診断アプローチ

表2:顕微鏡的血尿を認めた患者における診断アプローチ

<尿細胞診>
尿細胞診は、尿中に出現する癌細胞を病理学的に診断し、良性か悪性かを判定する検査である(表34)

表3:尿細胞診

表3:尿細胞診

泌尿器細胞診報告様式2015では、「不適正」を除き細胞を陰性~悪性の4段階で評価する(表48)。一方で、生命予後の良好な低異型度尿路上皮癌(Low Grade Urothelial Carcinoma:LGUC)に対する尿細胞診の感度は非常に低いことから、国際標準の尿細胞報告様式であるパリシステムでは、LGUCが尿細胞診の主たる対象から除外され、生命予後に関係する高異型度尿路上皮癌(High Grade Urothelial Carcinoma:HGUC)の検出を中心にした診断基準を設定している9)。パリシステムによる診断の対象は中リスク以上の非筋層浸潤性膀胱癌であり、その主眼は膀胱鏡を行うべきかどうかの判断根拠を提示することにある。

表4:泌尿器細胞診における診断カテゴリの定義と診断基準

表4:泌尿器細胞診における診断カテゴリの定義と診断基準

膀胱鏡検査

膀胱鏡検査では、癌の有無や部位、大きさ、形態、性状、数など、その後の検査・治療方針を決定するうえで重要な情報が得られる(表53,7)。膀胱癌の検出感度はCTやMRIを上回るが、深達度や転移の有無に関してはCTやMRIを用いて判断する必要がある。

表5:膀胱鏡検査

表5:膀胱鏡検査

<腫瘍可視化技術を用いた膀胱鏡検査>
通常の白色光源のみによる見逃しを補完するための腫瘍可視化技術として、蛍光膀胱鏡を用いた光力学診断(PhotoDynamic Diagnosis:PDD)や狭帯域光観察(Narrow Band Imaging:NBI)がある(表610,11)。いずれも白色光源に対する優位性が示されており、特にPDDは国内外のガイドラインにおいて使用が推奨されている(表710,12)

表6:5-ALA-PDDとNBIを用いた膀胱鏡検査の特徴

表6:5-ALA-PDDとNBIを用いた膀胱鏡検査の特徴

表7:国内外ガイドラインにおける5-ALA-PDDとNBIの推奨

表7:国内外ガイドラインにおける5-ALA-PDDとNBIの推奨

膀胱生検

膀胱癌の確定診断には膀胱生検と生検組織の病理組織学的検査が必要となる(表813)

表8:膀胱生検

表8:膀胱生検

病理組織学的検査では、採取された組織が腫瘍性か非腫瘍性(炎症など)か、腫瘍であれば良性か悪性か、さらに悪性腫瘍では組織分類、異型度、深達度、脈管侵襲(リンパ管内や静脈内の癌細胞の存在)の有無などが診断され、stage分類や治療方針を決定するうえで重要な情報となる。膀胱生検の方法にはパンチ生検、経尿道的膀胱腫瘍切除術(Trans Urethral Resection of Bladder Tumor:TURBT)、全層生検がある(表913,14)

表9 膀胱生検の主な方法

表9 膀胱生検の主な方法

画像検査

膀胱癌の画像検査では、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィーなどが行われる(表103,15-19)。①膀胱癌の有無または局在の評価、②Stageの決定、③リンパ節転移の探索などの目的に合わせて、それぞれの画像検査を実施する。

表10:膀胱癌の画像検査

表10:膀胱癌の画像検査

<マルチパラメトリックMRI>
マルチパラメトリック(mp-)MRIとは、T2強調像に、ダイナミック造影や拡散強調像などの機能画像を2種類以上組み合わせる手法である。膀胱癌の筋層浸潤のMRI診断では、拡散強調画像による腫瘍茎の有無、造影ダイナミックMRIによる粘膜下層の濃染の有無により、筋層浸潤の過剰診断が低下し、特異度の向上に貢献しているとされる18)。また、メタアナリシスにおいて、拡散強調画像と超高磁場(3T)MRI の出現により偽陽性が減少、特異度が上昇し、mp-MRIの深達度診断における信頼性が向上する可能性が示されており(表1120-23)、拡散強調画像を活用したmp-MRIによって従来のT2強調画像による筋層浸潤の過剰診断が防げることが期待される。

表11:MRIにおける感度と特異度

表11:MRIにおける感度と特異度

近年、MRIの撮像プロトコールと報告方法を標準化する試みが盛んであり、膀胱癌の深達度診断法としてVesical Imaging-Reporting And Data System:VI-RADSが2018年に報告された24)。VI-RADSは、膀胱造影MRIのT2強調画像、dynamic contrast-enhanced(DCE)画像、拡散強調画像などの所見に基づき、膀胱癌の筋層浸潤リスクを5段階評価によりスコア化する(VI-RADS 1-5:数値が大きいほど筋層浸潤の可能性が高い)。VI-RADSによる膀胱癌の正確な術前診断により、治療成績向上に寄与することが期待される。

<FDG-PET>
PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影)は、CTで捉えきれない癌組織の検出に有用とされるが、膀胱では尿中に18F-fluorodeoxyglucose(18F-FDG)が排泄されるため、膀胱癌のT分類診断には不向きとされている。tracerとして、尿中に排泄されない11C-choline や11C-methionine が検討されたが、CTと比較して優位性は示されていない25)
骨盤外病変の検出率(感度)および特異度は、それぞれPETが54%および97%、CTが41%および98%であるが、CTで検出できなかった病変をPETが診断できたのは3%に過ぎず、費用対効果からPETの単独使用は推奨されない26)。PETとCTの組み合わせ(FDG-PET/CT)によりリンパ節転移検出率が上昇することから、一部の患者において使用が推奨される(表1227,28)。ただし、根治治療前のFDG PET/CTは、従来のCTと比較してリンパ節転移検出の診断精度を改善しなかったことから、リンパ節の病期分類におけるFDG PET/CTの有用性は限定的とされる29)
近年拡大しつつあるFDG-PET/MRIは、MRIとFDG-PET/CTの両方の利点を組み合わせた新しい画像診断法であり、今後、膀胱癌における保険適応が期待される。

表12:FDG-PET/CTの位置づけ

表12:FDG-PET/CTの位置づけ

【引用文献】

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Stage分類

Stage分類の意義

病期分類(Stage分類)は予後予測における重要な指標であり、治療方針の決定に不可欠である。膀胱癌の確定診断を含めて、生検による病理診断及び画像検査による原発巣の局所浸潤の程度やリンパ節・遠隔転移を確認し、正確なStage分類を決定する。Stage分類としては、国際対がん連合(Union for International Cancer Control; UICC)/米国対がん合同委員会(American Joint Committee on Cancer; AJCC)によるTNM分類第8版1)(2017年)が用いられる。膀胱癌では、原発腫瘍の膀胱壁内深達度(T分類)、領域リンパ節転移の有無(N分類)、遠隔転移の有無(M分類)を評価し、総合してStage 0〜ⅣBに分類する。

膀胱癌のTNM分類:T―原発腫瘍の壁内深達度

膀胱癌は、一般的に膀胱内腔の尿路上皮から発生し、上皮下結合組織(粘膜固有層、粘膜下層)から筋層、膀胱周辺脂肪組織、周辺組織・器官へと浸潤する。膀胱癌のT分類では、膀胱壁への腫瘍深達度により、Ta、Tis、T1〜T4に分類される(図11,2)。癌が尿路上皮から上皮下結合組織にとどまっているTa、Tis、T1は「筋層非浸潤性」であり、未治療膀胱癌の約70%が該当する3)。癌が筋層に到達しているT2〜T4は「筋層浸潤性」であり、T4は膀胱壁を越えて周辺組織(前立腺間質、子宮、骨盤壁など)に浸潤している。
Tisは、平坦状の形態でflat tumorと呼ばれる上皮内癌に相当し、上皮内癌が随伴する場合はT分類に接尾語「is」を付け加えても良い(例:T1is)。また、多発性腫瘍を表すにはT分類に接尾語「m」を付け加える(例:T2m)2)
T分類は、身体所見、画像診断と内視鏡検査により評価する1)。画像診断には主にMRI検査が用いられ、MRI検査が施行できない場合はCT検査で行われる。ただし、CTの正診率は肉眼的な膀胱壁外浸潤でMRIと同等であるが、CTは筋層と腫瘍を明瞭に区別できないため筋層内浸潤における鑑別は困難である4)

図1:膀胱癌のT分類

図1:膀胱癌のT分類

膀胱癌のTNM分類:N―領域リンパ節

癌は筋層深部に到達すると、リンパ管や血管にも浸潤する。リンパ管はいくつかが合流してリンパ節をつくるが、リンパ管に侵入した癌細胞はリンパ節に集まって増殖するため、リンパ節が腫大する。この状態をリンパ節転移という。リンパ節は短径が1cm以上をもって腫大と定義されているが、治療反応による腫大と転移による腫大の鑑別が困難な場合もある。リンパ節転移の診断にはMRI検査またはCT検査が用いられるが、特にCT検査は撮像範囲が広いため有用とされる2)
N分類は、膀胱の領域リンパ節(総腸骨動脈分岐部以下の小骨盤内リンパ節)への転移の状況により、N0〜N3に分類される(表11,2)。以下の条件で発見されたリンパ節転移は接尾にアルファベットを付記する。
・Nsn:センチネルリンパ節生検のみで発見された領域リンパ節転移
・Nf:吸引細胞診または針生検のみで発見された領域リンパ節転移

表1:膀胱癌のN分類

表1:膀胱癌のN分類

膀胱癌のTNM分類:M―遠隔転移

血管に浸潤した癌は血流に乗って広がり、肺、肝臓、骨など全身に転移する。原発巣および領域リンパ節をこえて他の臓器への転移(遠隔転移)がなければM0、あればM1と分類され、さらに領域外のリンパ節転移をM1a、リンパ節以外の遠隔転移をM1bに細分化される(表21,2)。M1の細分化はTNM 分類(第8 版)への改訂に伴う変更点である2)
リンパ節転移及び遠隔転移の診断にはCT検査が用いられ、骨転移が疑われる場合は骨シンチグラフィーが用いられる5)。なお、AJCC Cancer Staging Form Supplementでは臨床的な診断の場合に接頭に「c」、組織学的に確定した場合に接頭に「p」を付記することを推奨している2)
7,543例の転移性尿路上皮癌患者を対象としたnationwideの研究6)によると、膀胱癌における転移部位は、リンパ節(25.4%)、骨(24.7%)、泌尿器(23.5%)、肺(19.4%)、肝臓(18.1%)、後腹膜(9.0%)等の順に多かった。また、多発性(2か所以上)の転移を有する割合は28.8%であり、年齢別にみると80歳以上(23.1%)、73~79歳(27.8%)、64~72歳(31.5%)、63歳以下(33.5%)と年齢層が低くなるほど多発性の割合が高かった。

表2:膀胱癌のM分類

表2:膀胱癌のM分類

膀胱癌のStage分類

『腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版』において、膀胱癌はTNM分類の評価に基づき、0a、0is、Ⅰ〜ⅣBの8段階に分類される(図21,2)。TNM分類(第8版)への改訂に伴い、StageⅢおよびⅣがⅢA、ⅢB、ⅣA、ⅣBのように細分類され、従来StageⅣに分類されていたカテゴリーの一部(N2:多発性リンパ節、N3:総腸骨リンパ節への転移があるも遠隔転移なし)がStageⅢに分類されることになった。また、M分類のM0およびM1a(領域外の遠隔リンパ節転移)はⅣA、M1b(他臓器転移)はⅣBとなった。

図2:膀胱癌のStage分類

図2:膀胱癌のStage分類

進展度別の内訳および膀胱癌におけるStage別の生存率

厚生労働省における全国がん登録 罹患数・率報告2019によると、初回診断時に限局にとどまっていた割合は、皮膚癌(84.7%)、喉頭癌(71.6%)、子宮体癌(68.0%)に次いで、膀胱癌(67.8%)が高かった(図37)。院内がん登録5年生存率集計(2013-14年診断例)によると、膀胱癌のStage別の5年相対生存率はStageⅠで86.4%、StageⅡで57.0%、StageⅢで43.1%、StageⅣで19.3%であった(図48)

図3:進展度、部位別、男女計(上皮内がんを除く)2019年

図3:進展度、部位別、男女計(上皮内がんを除く)2019年

図4:Stage別の5年相対生存率(膀胱癌)

図4:Stage別の5年相対生存率(膀胱癌)

腎盂・尿管癌のTNM分類:T―原発腫瘍の壁内深達度

腎盂・尿管癌においても膀胱癌と同様、TNM分類第8版(2017年)では原発巣の深達度により、Ta、Tis、T1〜T4に分類され、Ta 〜T1までを「筋層非浸潤性」、T2〜T4を「筋層浸潤性」と分類する(表39,10)。評価は、主にCT検査で行われ、CT検査が施行できない場合はMRI検査で行われる。

表3:腎盂・尿管癌のT分類

表3:腎盂・尿管癌のT分類

腎盂・尿管癌のTNM分類:N―領域リンパ節

腎盂の領域リンパ節は、腎門部、腹部傍大動脈と傍大静脈リンパ節であり、尿管ではこれらに骨盤内リンパ節を加えて評価を行う。腎盂・尿管癌のN分類は、リンパ節に転移した腫瘍の数とその最大径によってN0~N2に分類される(表49,10)。なお、TNM 分類(第8版)への改訂に伴い、N分類からN3(最大径が5cmをこえる領域リンパ節転移)が削除されている。

表4:腎盂・尿管癌のN分類

表4:腎盂・尿管癌のN分類

腎盂・尿管癌のTNM分類:M―遠隔転移

腎盂・尿管癌のM分類では、他臓器への転移の有無によって、遠隔転移がなければM0、あればM1と評価される(表59,10)。なお、TNM分類(第8版)への改訂に伴い、M分類の亜分類はなくなった。

表5:腎盂・尿管癌のM分類

表5:腎盂・尿管癌のM分類

腎盂・尿管癌のStage分類

『腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版』において、腎盂・尿管癌はTNM分類の評価に基づき、0a、0is、Ⅰ〜Ⅳの6段階に分類される(図59,10)

図5:腎盂・尿管癌のStage分類

図5:腎盂・尿管癌のStage分類

進展度別の内訳および腎盂・尿管癌におけるStage別の生存率

厚生労働省における全国がん登録 罹患数・率報告2019によると、腎盂・尿管癌の57.2%は初回診断時に限局にとどまっていた(図37)。院内がん登録5年生存率集計(2013-14年診断例)によると、腎盂・尿管癌のStage別の5年相対生存率はStage Ⅰで82.8%、Stage Ⅱで72.9%、Stage Ⅲで55.1%、Stage Ⅳで12.3%であった(図68)

図6:Stage別の5年相対生存率(腎盂・尿管癌)

図6:Stage別の5年相対生存率(腎盂・尿管癌)

【引用文献】

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膀胱癌の診断に用いられる尿中バイオマーカー

膀胱癌の診断

膀胱癌の初期診断では症状が重要である。膀胱癌の発見の契機となる主な症状としては、血尿(肉眼的血尿、顕微鏡的血尿)と膀胱刺激症状(頻尿、排尿時痛、残尿感等)である。特に肉眼的血尿は高頻度にみられる症状であり、膀胱癌患者(40歳以上)の64%に認められたと報告されている1,2)。また、肉眼的血尿での膀胱癌の陽性診断的中率は15歳以上の女性が3.4%であるのに対し、男性で70歳以上の高度喫煙者では12.5%に上昇すると報告されている1)。一方、顕微鏡的血尿は膀胱癌患者の6.4%にみられている1)
初期診断における尿中腫瘍マーカーとしてNMP22がある。NMP22(定量)の感度は69%、特異度は77%、NMP22(定性)の感度は58%、特異度は88%とされる3)。尿沈渣により赤血球が認められ、尿路上皮癌が強く疑われる場合のスクリーニングにおいて保険適応が認められ、診断の補助として用いられている。

膀胱癌の再発診断

筋層非浸潤性膀胱癌(Non-muscle Invasive Bladder Cancer; NMIBC)では、初期治療後に高頻度に膀胱内再発を生じ、再発腫瘍が筋層浸潤性膀胱癌(Muscle Invasive Bladder Cancer; MIBC)に進展することが問題であり、膀胱鏡および尿細胞診による長期的な経過観察が求められる。膀胱鏡は再発診断で最も有効とされるが、侵襲性を伴う。また、尿細胞診は特異度が高い一方で感度は35~70%と幅があり、特に低異型度および再発腫瘍では感度が低下する4)。また、診断が病理医の経験や検体の採取・処理法に依存するという問題がある4)
筋層非浸潤性膀胱癌の経過観察に用いられる尿中腫瘍マーカーにBTA test、UroVysion®がある(図1)。BTA testは、膀胱癌細胞が上皮基底膜に浸潤する際に尿中に放出される基底膜成分複合体を検出する方法であり、経過観察においてBTA(定量)の感度は64%、特異度は77%、BTA(定性)の感度は65%、特異度は74%と報告されている3)。低異型度腫瘍でも、尿細胞診と比較して高い感度を示すが、肉眼的血尿、尿路結石、尿路感染症などを有する場合に偽陽性率が高い。BTA testは膀胱癌の再発診断における保険適応が認められている。
UroVysion®は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)技術を用い、尿中細胞の遺伝子異常を検出する体外診断用医薬品であり、上皮内癌と診断された患者に対し、経尿道的手術後2年を限度として2回に限り保険適応が認められている。UroVysion®の感度は50%、特異度は72%であり、尿細胞診と比較して高いことが明らかにされている5)
その他の再発診断におけるマーカーを図1に示す6,7)。ImmunoCyt/uCyt+では、尿路上皮に発現する3種類のがん関連抗原に対する蛍光抗体を用いて蛍光顕微鏡において測定する。EpiCheckでは、膀胱癌で高頻度に異常が認められる15の遺伝子座のメチル化状態を検出する。CxBladder Monitorでは、尿中の5つの遺伝子(CDK1、CXCR2、HOXA13、IGFBP5、MDK)のmRNAを測定する。Xpert BC Monitorでは、CxBladder Monitorとは異なる尿中の5つの遺伝子(ABL1ANXA10CRHIGF2UPK1B)のmRNAを測定する。これらのマーカーは本邦では承認されておらず、海外で使用されている(2022年4月現在)。
現時点では、有用性が確立された尿中腫瘍マーカーや腫瘍可視化技術等の非侵襲検査は存在しないため、通常の膀胱鏡検査が経過観察の軸となる。しかし、通常の膀胱鏡検査ができない症例や膀胱鏡検査および尿細胞診の補助検査として上記の非侵襲検査法が考慮されうる。

図1:膀胱癌の再発診断において実用化されている尿中バイオマーカー

図1:膀胱癌の再発診断において実用化されている尿中バイオマーカー

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経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

経尿道的膀胱腫瘍切除術とは

経尿道的膀胱腫瘍切除術(Trans Urethral Resection of Bladder Tumour:TURBT)は、表在性膀胱腫瘍に対する標準的な手術法である。手術の目的は、腫瘍を完全に除去することと、切除した組織の正確な病理診断を行うことの2点であるが、ほぼすべての膀胱癌患者に対して診断目的で実施される。特に、筋層非浸潤性膀胱癌(Non-Muscle Invasive Bladder Cancer:NMIBC)のTa、T1症例では、TURBTがそのまま治療を兼ねることが多い。

膀胱癌の完全切除を目的に行われる2nd TURの臨床的意義

一般に、NMIBCではTURBTにより根治治療が可能となる場合があるが、高異型などの悪性度が高いタイプでは、筋層内や切除した病変の周辺に癌が残存していることがある。特に、膀胱癌では外科的・鏡視下・内視鏡的治療後の癌遺残がみられる割合が52.1%と、前立腺癌などに比べて高い(図11)。そのため、膀胱癌の完全切除を目的に、初回TURBTの数週間後に再度TURBT(2nd TUR)を実施することがある2)。2nd TURには、表1のような臨床的意義が考えられる。

図1:泌尿器系の腫瘍における外科的・鏡視下・内視鏡的治療後の腫瘍遺残の有無別割合(上皮内がんを除く)

図1:泌尿器系の腫瘍における外科的・鏡視下・内視鏡的治療後の腫瘍遺残の有無別割合(上皮内がんを除く)

表1:2nd TURの臨床的意義2,3)

表1:2nd TURの臨床的意義

ガイドラインにおいて2nd TURが推奨される症例

2nd TURの意義を検討したシステマティックレビュー(5施設1,294例、うち2nd TURは88例)4)によると、2nd TUR後において、Ta症例で平均55%(17〜67%)、T1症例で平均51%(20〜71%)に残存腫瘍が認められ、残存腫瘍の36〜86%は初回TURBTと同部位であったことが報告された。また、初回TURBT時に本来のStageよりも低く評価されていた症例は、Ta症例(初回TURBT時:Ta→2nd TUR時:≧T1)で平均0.4%(0〜8%)であるのに対し、T1症例(初回TURBT時:T1→2nd TUR時:≧T2)では平均8%(0〜32%)であった。
また、高リスクの表在性膀胱癌患者(高悪性度TaおよびT1)347例を対象にBacillus Calmette-Guérin(BCG)膀胱内注入(膀注)療法前の2nd TUR有無別の病勢進行率を評価した報告では、3年以内の病勢進行率が2nd TUR未実施例では34%だったのに対し、実施例では7%と有意に低かった(p=0.001、ピアソンのχ二乗検定)(図25)。加えて、T1症例を対象とした無作為化比較試験6)では、無再発生存期間(recurrence-free survival:RFS)、無増悪生存期間(progression-free survival:PFS)のいずれも、2nd TUR実施群において非実施群よりも有意に延長していた(いずれもp=0.0001、log-rank検定)。これらの結果を受け、膀胱癌診療ガイドライン 2019年版では、表2のようにT1 high gradeをはじめとする患者に対し、2nd TURが推奨されている。

表2:膀胱癌診療ガイドライン2019年版における2nd TURに対する推奨2)

表2:膀胱癌診療ガイドライン 2019年版における2nd TURに対する推奨

また、2nd TURの時期は、初回TUR後2〜8週がほとんどであるが、6週を超えると予後に影響することが報告された7,8)。High risk NMIBC患者264例を対象とした検討8)によると、2nd TUR実施までの期間が6週を超えると(43~90日)、6週以内(14~42日)よりも3年無再発生存率が有意に低下していた(46.2% vs 73.6%、p<0.001、log-rank検定)。

図2:2nd TURの有無と病勢進行率

図2:2nd TURの有無と病勢進行率

TURBT後の再発リスク

初回TURBT単独治療後の再発率は60〜90%であり、NMIBCでは術後3ヵ月以内に再発する確率が高い。これはTURBT時の切除不十分あるいは癌細胞の播種が原因と考えられている9)。TURBT後のNMIBC患者における再発リスクは、初発・単発症例よりも再発・多発性症例で高く、多発性症例の再発リスクは術後早期(100〜120日後)にピークとなり、500日以降も再発リスクが低いながらも持続することが示されている10)。本報告では、早期の再発はTURBT後に残存していた癌あるいはTURBT時の癌細胞の播種に起因し、後期の再発は二次的な発癌によるものと考察されている。
このように、一度再発した症例ではさらにリスクが増大し、特に多発性の膀胱癌では術後の残存病変や微小病変が存在している可能性があることから、TURBT後は再発抑制が重要となる。『膀胱癌診療ガイドライン 2019年版』では、TURBT後の再発・進展を抑制する目的で、抗癌剤あるいはBCGの膀注療法がリスク分類に応じて推奨されている。

経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術への期待

TURBTでは腫瘍組織を断片化して除去するため、細胞播種リスクが増大する点や正確な組織診断(特に浸潤度診断)が困難になる点等が課題とされてきた。新たに開発された経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術(En bloc Resection of Bladder tumour Technique:ERBT technique)は、腫瘍を周囲粘膜と腫瘍下部組織を含めて一塊として除去する内視鏡手術であり、正確な病理診断や周術期合併症の軽減、再発リスクの軽減が期待される11)

【引用文献】

  1. 厚生労働省健康局がん・疾病対策課. 平成30年全国がん登録罹患数・率報告.
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000794199.pdf(2022年5月確認)
  2. 日本泌尿器科学会編. 膀胱癌診療ガイドライン2019年版. 医学図書出版. P38
  3. 日本泌尿器科学会編. 膀胱癌診療ガイドライン2019年版. 医学図書出版. P28-29
  4. Cumberbatch MGK, et al. Eur Urol. 2018; 73: 925-933
  5. Herr HW. J Urol. 2005; 174: 2134-2137
  6. Divrik RT, et al. Eur Urol. 2010; 58: 185-190
  7. Klaassen Z, et al. 2018; Eur Urol. 74: 597-608
  8. Baltaci S, et al. BJU Int. 2015; 116: 721-726
  9. Aldousari S, et al. Can Urol Assoc J. 2010; 4: 56-64
  10. Hinotsu S, et al. Cancer. 1999; 86: 1818-1826
  11. Kim LHC, et al. Transl Androl Urol. 2020; 9: 3056-3072

腫瘍可視化技術

光力学診断、狭帯域光観察を用いた膀胱鏡検査の有用性

膀胱内を直接観察する膀胱鏡検査は診断と治療方針の決定に不可欠であるが、通常の白色光源による観察では、膀胱内の微小な病変や膀胱上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)等の平坦状の病変が10〜30%程度見逃されていると推測される1)。これらの病変をより的確に把握できる腫瘍可視化技術として、蛍光膀胱鏡を用いた光力学診断(photodynamic diagnosis:PDD)や狭帯域光観察(narrow band imaging:NBI)がある。PDDは、5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:5-ALA)等の光感受性物質を投与後、蛍光膀胱鏡で観察すると、腫瘍細胞が赤色蛍光発光を示す。NBIは、光の波長を2つのバンドに狭帯域化し、光の伝播深度の違いを利用することで、微細な構造を増強させるイメージング技術である。
ALA-PDDとNBIはいずれも白色光源に対する優位性が示されている(表11-3)

表1:PDD、NBIの感度と特徴

表1:PDD、NBIの感度と特徴

補助診断技術としてのPDDおよびNBIの活用

PDDおよびNBIは、NMIBC治療の1つである経尿道的膀胱腫瘍切除術(Trans Urethral Resection of Bladder Tumour:TURBT)の補助診断技術としても活用されている。「膀胱癌診療ガイドライン 2019年版」では、表2のように推奨されている。

表2:膀胱癌ガイドライン 2019年版におけるPDDおよびNBIに対する推奨4)

表2:膀胱癌診療ガイドライン 2019年版におけるPDDおよびNBIに対する推奨

2022EAUガイドライン5)では、異常がある尿路上皮組織から生検を行い、尿細胞診または尿中分子マーカー陽性の場合には、正常に見える粘膜からの生検(膀胱三角部、膀胱穹窿部、左右/前後部膀胱壁からのマッピング生検)を可能な限りPDD補助下で行うことを推奨している(推奨度:Strong)。NBIの使用については癌検出率を改善すると明記されている(エビデンスレベル 3b)ことに加え、低リスク腫瘍に限り3及び12ヵ月後の改善が認められている(エビデンスレベル 1b)。

PDD補助下でのTURBTの治療成績

PDD補助下TURBT(PDD-TURBT)では、5-ALA[経口・膀胱内注入(膀注)ともに可能]やヘキシルアミノレブリン酸(HexylAminolevuLinic acid:HAL)(膀注のみ可能)などの光感受性物質をTURBT術前に投与し、赤色蛍光を示す病変を検出する。これまでに多くの無作為化臨床試験およびメタアナリシスにより、PDD-TURBTによる診断精度の向上や無再発率の低下が検証されてきた6-8)。12試験(2,288例)のメタアナリシス9)では、PDD-TURBTが白色光TURBT(WL-TURBT)と比べて12ヵ月(相対リスク 0.73、95%信頼区間 0.60–0.88、p=0.001、ランダム効果モデル)および24ヵ月時点(相対リスク 0.75、95%信頼区間 0.62–0.91、p=0.003、ランダム効果モデル)での再発率が有意に低く、60ヵ月時点でも有益であることが示された。安全性については、本邦で承認されている5-ALA の20mg/kg 経口投与における有害事象として、グレード4 以上は認めなかったもののグレード3 以下の肝関連酵素上昇、低血圧、蕁麻疹などが報告されている10)
また、PDD補助診断に伴う追加病変の検出により、European Organisation for Research and Treatment of Cancer(EORTC)の再発および進展リスクがアップグレードし、無治療から抗癌剤注入療法やBacillus Calmette-Guérin(BCG)膀注療法へ、または抗癌剤注入療法からBCG膀注療法へと、術後補助療法が変化している症例があったことが報告されている11)。したがって、PDD-TURBTは、確実な病変の切除だけでなくその後の正確なリスク分類と適切な術後補助治療の選択を可能とし、再発率の低下に間接的に寄与していることも推察される。

現在、日本の実臨床下においてNMIBC患者265例を対象に、5-ALAを用いたPDD-TURBTの長期成績が検討されている12)。再発頻度(再発数/10,000日)の平均は、PDD-TURBT群で5.82回とWL-TURBT群の12.80回よりも有意に低く(p<0.05、log-likelihood test)、初回再発までの期間(平均値±標準偏差)は、PDD-TURBT群で419±219日とWL-TURBT群の249±140日よりも有意に長かった(p<0.05、Welch’s t-test)。PDD-TURBT群で偽陽性組織の切除を行った患者の再発頻度は4.19であり、切除を行わなかった患者の9.00よりも有意に低かった(p<0.05、log-likelihood test)。

NBI補助下でのTURBTの治療成績

NBIで用いる2種の波長の光は、血中のヘモグロビンに吸収されやすいため、血管による微細模様や色調によって癌粘膜と正常粘膜の違いを強調表示し、病変を検出することができる。PDDと異なり、光感受性物質を投与する必要がなく、蛍光が消退するphotobleaching現象も問題とならない。手元のスイッチのみで目的部位を何度も繰り返して観察できるため、利便性が高いといえる。
国内の筋層非浸潤性膀胱癌(Non-Muscle Invasive Bladder Cancer:NMIBC)患者965例を対象としたランダム化試験において、WL-TURBTとNBI補助下TURBT(NBI-TURBT)による術後12ヵ月の治療成績が比較されている13)。全症例の解析における再発率は、NBI-TURBT群で25.4%であり、WL-TURBT群の27.1%と有意な差は認められなかった(p=0.585、ピアソンのχ二乗検定)。一方で、低リスクNMIBC(pTa grade 1かつ腫瘍径<30mmかつCISなし)を対象としたサブ解析では、NBI-TURBT群で5.6%であり、WL-TURBT群の27.3%よりも有意に低かった(p=0.002、ピアソンのχ二乗検定)。有害事象の頻度は、両群で同様の結果であった。

【引用文献】

  1. 日本泌尿器科学会編. 膀胱癌診療ガイドライン2019年版. 医学図書出版. P21-23
  2. Jocham D, et al. Eur Urol. 2008; 53: 1138-1150
  3. 福原 秀雄 ほか 日本臨牀 79(1) 50-55, 2021
  4. 日本泌尿器科学会編. 膀胱癌診療ガイドライン2019年版. 医学図書出版. P40-42
  5. EAU Guidelines on Non-muscle-invasive Bladder Cancer (TaT1 and CIS)https://uroweb.org/guidelines/non-muscle-invasive-bladder-cancer(2022年5月参照)
  6. Kausch I, et al. Eur Urol. 2010; 57: 595-606
  7. Burger M, et al. Eur Urol. 2013; 64: 846-854
  8. Mowatt G, et al. Int J Technol Assess Health Care. 2011; 27: 3-10
  9. Veeratterapillay R, et al. Eur Urol Open Sci. 2021; 31: 17-27
  10. Nakai Y, et al. Int J Urol. 2018; 25: 723-729
  11. Geavlete B, et al. BJU Int. 2012; 109: 549-556
  12. Fukuhara H, et al. Photodiagnosis Photodyn Ther. 2022; 38: 102757
  13. Naito S, et al. Eur Urol. 2016; 70: 506-515

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