感染症

感染症

Ⅱ.重大な副作用:感染症

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key point

  • 本剤は免疫抑制作用を有する薬剤ですので、重篤な感染症があらわれることがあります。投与患者を十分に観察し、感染症の発現や増悪に注意してください。本剤の投与中に重篤な感染症を発現した場合は、速やかに適切な処置を行い、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止してください1)
  • 発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導してください1)
  •  結核の既感染者及び結核感染が疑われる患者では、胸部レントゲン検査等を定期的に行ってください1)
  • 本剤使用に際しては、感染症専門医、呼吸器専門医、放射線専門医等と適切な連携を行ってください1)
  • 呼吸器感染予防のために、インフルエンザワクチンは可能な限り接種し、65歳以上の高齢者には肺炎球菌ワクチンの接種も積極的に考慮してください1)

電子化された添付文書記載内容(抜粋)

注意喚起の設定根拠

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害活性による免疫抑制作用により、感染症の発現頻度が増加することが予想されるため1)

重大な副作用

本剤の臨床試験において発現が認められた副作用のうち、重要と考えられる事象について、類薬の記載も参考に記載しました2)

重要な基本的注意

本剤が免疫抑制作用を有することで宿主免疫能に影響を与える可能性があること、また臨床試験で感染症の発現が報告されていることから設定しました2)
本剤の投与を開始する前に、適切なスクリーニングを行い活動性結核の患者への投与を避けること、また、陳旧性結核や結核菌感染判定により陽性と判断された患者に対して抗結核薬の投与を検討すべきであることから設定しました2)
臨床試験において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されていること、また、他のリウマチ治療薬においても同様の報告があることから設定しました2)
臨床試験において、ヘルペスウイルスをはじめとするウイルスの再活性化が報告されている2)。特にヘルペスウイルスについては、重篤な帯状疱疹や播種性帯状疱疹も報告されていることから、注意喚起が必要であると判断し設定しました。
本剤は免疫抑制作用を有しており、生ワクチンの投与により感染症を発現するおそれがあることから設定しました2)

発現機序

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害活性により、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼすため1)

<出典>

  1. スマイラフ錠 適正使用ガイド
  2. スマイラフ錠 申請資料概要

定期的な検査の実施

患者さんの状況に応じて以下のような検査の実施を考慮してください1)
●感染症全般
胸部画像検査(レントゲン検査、CT検査)
血球数(好中球、リンパ球、ヘモグロビン値)
●結核
インターフェロン-γ遊離試験
ツベルクリン反応検査
●B型肝炎ウイルス再活性化
肝機能検査(AST、ALT)
肝炎ウイルスのマーカーのモニタリング(HBV DNA定量)

臨床症状

感染症の代表的な症状として以下のような症状があります2)
□発熱が続いている  □咳がある  □のどの痛みがある  □寒気がする
□皮膚に痛み・かゆみ・発疹がある  □呼吸器症状がある(息切れ、痰のない咳など)
□体がだるい

帯状疱疹についての代表的な症状として以下のような症状があります3)
□痛み  □かゆみ  □しびれ  □痛みのある赤みを伴う発疹や水疱(水膨れ)など

患者指導

発熱、倦怠感などの症状を自覚した場合には、速やかに主治医に相談するよう指導してください1)
高齢の方は感染症にかかりやすい傾向があるため、特に体調に注意するよう指導してください4)
予防接種の予定がある場合には、医師に相談するよう指導してください4)

注意が必要な患者

以下のような患者は副作用があらわれやすい場合があります4)

  • 咳・発熱などの症状がある方(感染症が疑われる方)
  • ご自身または身近の方が結核にかかったことがある方
  • 感染症にかかりやすい状態になっている方
  • 高齢の方
  • 腸管憩室のある方
  • 好中球数・リンパ球数・ヘモグロビン値が減少している方
  • 軽度または中程度の肝機能障害を有している方
  • 間質性肺炎にかかったことのある方
  • 先天性QT短縮症候群と診断されたことがある方
  • B型肝炎ウイルスにかかったことがある方
  • ヘルペスウイルスにかかったことがある方
  • 悪性腫瘍と診断されたことがある方

診断・鑑別診断

スマイラフ錠 適正使用ガイドに生物学的製剤と呼吸器疾患 診療の手引き及びB型肝炎治療ガイドラインのフローチャートの記載があります1)

日本リウマチ学会:全例市販後調査のためのペフィシチニブ適正使用ガイド(2022年10月23日改訂版)もあわせてご参照ください。
https://www.ryumachi-jp.com/info/guideline_peficitinib.pdf

<出典>

  1. スマイラフ錠 適正使用ガイド
  2. スマイラフ®服用中の患者さんへ 感染症編
  3. スマイラフ®を服用される患者さんへ 帯状疱疹編
  4. スマイラフを服用される患者さんとご家族へ

対処法

●感染症全般
速やかに適切な感染症治療を行い、感染症がコントロールできるようになるまでは本剤の投与を中止してください1)
呼吸器感染症予防のために、インフルエンザワクチンは可能な限り接種し、65歳以上の高齢者には肺炎球菌ワクチンの接種も積極的に考慮してください1)
●結核
結核の活動性が確認された場合は本剤の投与をしないでください1)
●B型肝炎ウイルス再活性化
HBV DNAが20IU/mL(1.3 LogIU/mL)以上になった場合は肝臓専門医に相談してください1)
●帯状疱疹
ヘルペスウイルス等の再活性化の兆候や症状の発現が認められた場合は、患者に受診するよう説明し、本剤の投与を中断してください1)

<出典>

  1. スマイラフ錠 適正使用ガイド

発現頻度

電子化された添付文書

電子添文に記載された副作用発現頻度は以下の通りです。
11.1重大な副作用
11.1.1感染症
帯状疱疹(12.9%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎等を含む)(4.7%)、敗血症(0.2%)等の重篤な感染症があらわれることがある。本剤投与中に重篤な感染症が発現した場合は、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止すること。

◆以下、電子化された添付文書以外の補足情報

市販直後調査では感染症および寄生虫は16件報告され、肺炎4件、気管支炎、尿路感染、感染性腸炎が重篤とされました1)

●重篤な感染症
臨床第Ⅲ相試験における本剤投与例では、肺炎が100mgで3/278例(1.1%)、150mgで2/276例(0.7%)で認められました2)。このほか、蜂巣炎が150mgで2/276例(0.7%)、腎盂腎炎、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎が100mg、150mgで各1例(各0.4%)に認められました。重篤な感染症の第Ⅲ相臨床試験における全期間の併合解析対象集団(安全性解析対象集団)の内訳は以下の通りです。

●帯状疱疹
第Ⅲ相試験併合解析(全期間)における帯状疱疹関連事象(帯状疱疹及び水痘を含む)の発現率(95%信頼区間)は、本剤100mgで7.4(4.7, 11.8)/100人・年、150mgで4.0(2.1, 7.4)/100人・年、本剤合計で5.7(4.2, 7.9)/100人・年でした2)。また、第Ⅱ/Ⅲ相試験併合解析における本剤投与全例での発現率(95%信頼区間)は、6.5(5.5, 7.7)/100人・年でした。
*:プラセボ投与から本剤投与へ切り替えた後の発現を含む。

帯状疱疹関連事象の曝露量あたりの発現率:併合解析(安全性解析対象集団)2)

*:プラセボ投与から本剤投与へ切り替えた後の発現を含む。

発現時期

●重篤な感染症
第Ⅱ/第Ⅲ相試験併合解析*(安全性解析対象集団)の発現時期別発現率は以下の通りです2)
第Ⅱ/第Ⅲ相試験併合解析における本剤投与全例*での発現率(95%信頼区間)は、2.5(1.9, 3.2)/100人・年でした。時期別の発現率は、60カ月まで0.7~4.2/100人・年の範囲で推移しました。
重篤な感染症の発現時期別の発現率:第Ⅱ/Ⅲ相試験併合解析(安全性解析対象集団)2)

●帯状疱疹
第Ⅱ/第Ⅲ相試験併合解析*(安全性解析対象集団)の発現時期別発現率は以下の通りです2)
第Ⅱ/第Ⅲ相試験併合解析における本剤投与全例*での発現率(95%信頼区間)は、6.5(5.5, 7.7)/100人・年でした。時期別の発現率は、60カ月まで3.7~8.7/100人・年の範囲で推移しました。
帯状疱疹関連事象の発現時期別の発現率:第Ⅱ/Ⅲ相試験併合解析(安全性解析対象集団)2)

<出典>

  1. スマイラフ錠 市販直後調査
  2. スマイラフ錠 適正使用ガイド

製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書をご参照ください。

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