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Forefront 先端医学情報 長崎でのクルーズ船COVID-19災害の経験 ―COVID-19災害とBCPについて

長崎大学整形外科学 教授 尾﨑 誠

長崎クルーズ船COVID-19災害

2019年12月に中国の武漢でクラスターが発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、国内では2020年1月に最初の患者が確認され、2月には横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(DP)号でクラスターが発生した。DP号には、船員、乗客合わせて3,713名が乗船しており、感染者数は712名、死亡者数14名(致命率2.0%)で、外部から対策に入った9名も感染した1)。当時の混乱した状況は国内外で大きく報道され、これがまさに国内におけるCOVID-19との戦いの幕開けとなった。

そして、その2ヵ月後に、長崎港に停泊中のイタリア船籍のクルーズ船コスタ・アトランチカ(CA)号でのクラスターが発生した。DP号と比べると規模は一回り小さく、それまでの経験の蓄積があったとはいえ、600名を超える乗員の検査と、重傷者を含む感染者149名2)の治療を地方都市で行うことには、地域に大きな混乱をもたらし、容易に医療崩壊をきたすリスクがあった。

しかし、大方の予想に反し、長崎では一人の死者も、一人の医療従事者の感染者も出すことなく、CA号でのクラスターは収束を迎えた。その最大の要因として、長崎の人口あたりの感染症専門医数が国内最多であることや、長崎大学熱帯医学研究所は国内の感染症研究の拠点として活動しており、新たな感染症共同研究拠点としてBSL(biosafety level)4施設の建設が進んでいたことなど、長崎大学が以前より感染症の研究と治療、教育に力を入れていたことが挙げられる。

また今回、長崎大学とその関連病院のスタッフを中心にCA号の対応を行ったが、クラスター発生の直前に大学病院内でCOVID-19に対するBCP(business continuity plan:事業継続計画)が作成され、院内でさまざまな対策がスタートしていた。このことが医療現場の混乱を和らげ、最前線で検査や診療にあたる医師の負担軽減にも役立ったと評価された。

BCPについて

BCPは大規模災害の際に、その組織が行うべき業務と水準を維持するための手順書であり、多くの企業や自治体でも作成されている。病院においては、災害が発生した場合の診療の継続と、被災患者への対応、通常業務への早期の復帰などを目的にBCPが作成される。今回のCOVID-19は一般の自然災害とは異なるが、全国で同時多発的に発生した大規模災害として位置づけられる。長崎では3月14日に県内最初の患者が発生し、感染が広がりつつあった4月初旬にCOVID-19災害に対応するBCPの作成が提案され、筆者もその作成に総務担当副病院長の立場で関わった。

大学病院の多くは、地域で唯一の特定機能病院として、また地域における医療の最後の砦として、COVID-19災害下においても生命予後に関わる高度な医療を継続し、長期化が予想されるCOVID-19の診療も高いレベルで両立させる必要がある。BCP作成の際には、長崎県内で数千人規模の感染者が発生した場合の院内の指揮命令系統、ライフラインや物資の現状、今後の医療需要の想定と物資の必要量の確保、感染拡大フェーズごとの必要人員数と病棟閉鎖などによる人員の動員方法、業務優先順位、院内感染発生時の対応、地域における大学病院の役割を踏まえた協力医療機関や行政との連携、報道機関への対応、COVID-19診療に伴う社会的スティグマへの対応、感染収束後の業務復帰計画など、さまざまな議論が各診療科、各部署を集めて行われた。

病院長のリーダーシップのもと、優秀な事務部門の働きもあり、作成開始から数週間で初版のBCPが完成し、院内で周知された。その直後のCA号でのクラスター発生であったが、患者数はBCPの想定内であり、大きな混乱を生じることなく収束したのは前述の通りである。

文献

1)厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年3月10日版). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17285.html, (閲覧:2021-03-10)

2)長崎県福祉保健課. クルーズ船「コスタ・アトランチカ号」における新型コロナウイルス感染症クラスター発生事案検証報告書(概要版). https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2021/02/1613637926.pdf, (閲覧:2021-03-10)

長崎での経験とその対応については、河野茂長崎大学学長の監修、崎長ライト(浜田久之副学長)の編集で出版された『死者ゼロの真相―長崎クルーズ船新型コロナ災害との激闘(長崎新聞社、2020年)』にその詳細が記載されている。

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