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腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症

腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症

Ⅱ.重大な副作用:腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 対処法
  4. 発現状況

Key point

  • スーグラの電子化された添付文書において、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症は「重大な副作用」として記載されています。
  • 2型糖尿病患者を対象とした製造販売承認時の国内開発臨床試験(併用療法試験を含む)では、調査症例1,669例中、腎盂腎炎が2例(0.1%)認められました1)。外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)及び敗血症は、いずれも頻度不明です。
  • 高齢2型糖尿病患者を対象とした特定使用成績調査の報告では、安全性解析対象症例8,505例中、腎盂腎炎が5件(0.06%)、敗血症性ショックが2件(0.02%)認められました2)
  • 2型糖尿病を対象とした長期特定使用成績調査の3年次最終報告では、安全性解析対象症例11,051例中、腎盂腎炎が4件(0.04%)認められました3)
  • 本剤投与により尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあります。
  • 十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮してください。

電子化された添付文書記載内容(抜粋)

注意喚起の設定根拠

重大な副作用

腎盂腎炎・敗血症4)
2型糖尿病患者を対象とした国内臨床試験において本剤との関連性が否定されなかった腎盂腎炎が1,669例中2例(0.1%)に見られ、そのうち1例は下部尿路感染症から上部尿路感染症に進展した症例でした。腎盂腎炎等の重篤な尿路感染症発現に対する本剤の寄与は不明ですが、作用機序から本剤が起炎菌の増殖を促進する可能性もあるため記載しました。また、市販後のSGLT2阻害剤投与において、腎盂腎炎があらわれた後に敗血症を起こす症例が集積されたことから、「重大な副作用」の項に、腎盂腎炎に加えて「敗血症」を追記し、注意喚起することとしました。

外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)5)
国内外において、SGLT2阻害剤と因果関係が否定できない外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)を認めた症例が報告されていることから「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項に追記し注意喚起することとしました。

重要な基本的注意6)

本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察してください。
尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあります。十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮してください。また、尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明してください。

発現機序

本剤投与により尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあります。

<出典>

  1. スーグラ錠 効能・効果、用法・用量及び使用上の注意改訂のお知らせ(2018年12月)  https://amn.astellas.jp/content/dam/jp/amn/jp/ja/di/doc/Pdfs/DocNo201805879_y.pdf
  2. スーグラ錠 高齢者を対象とした特定使用成績調査(全例調査)最終報告(2016年7月)
  3. Nakamura I, Maegawa H, Tobe K, Uno S. Real-World Evidence for Long-Term Safety and Effectiveness of Ipragliflozin in Japanese Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: final Results of a 3-Year Post-Marketing Surveillance Study (STELLA-LONG TERM). 2021;22(3):373-387. (SGL-01031) DOI: 10.1080/14656566.2020.1817388 (COI:著者のうち1名はアステラス製薬株式会社より資金提供を受けている。著者のうち2名はアステラス製薬株式会社の社員である。本研究の実施および本論文の作成にはアステラス製薬株式会社が資金提供を行った。)
  4. スーグラ錠 新医薬品の「使用上の注意」の解説(2018年12月改定)
  5. スーグラ錠 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年5月)https://amn.astellas.jp/content/dam/jp/amn/jp/ja/di/doc/Pdfs/DocNo202210818_y.pdf
  6. スーグラ錠 25mg, 50mg 電子化された添付文書(第3版)(2022年8月改訂)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/800126_3969018F1022_1_14

臨床症状

急性腎盂腎炎の臨床症状は悪寒・戦慄を伴う高熱、患側の側腹部痛、肋骨脊椎角部叩打痛、悪心・嘔吐などがあり、全身症状が強くあらわれます1)。慢性腎盂腎炎は急性増悪期には急性腎盂腎炎と同様の症状を呈しますが、慢性期には微熱、全身倦怠感、食欲不振、腰痛、体重減少など非特異的で軽微な症状を呈します。
壊死性筋膜炎は罹患部に強い疼痛を伴う紅斑として発症します2)。病変は数時間で急激に拡大し、病変部に紫斑や水疱、血疱形成を伴い皮膚の壊死を生じます。発症初期では、発熱、腫脹、疼痛が主体となります。
敗血症は、バイタルサイン(意識変容、血圧低下、頻脈、頻呼吸、高体温・低体温など)・臨床症状・血液検査所見(白血球数、血小板数、動脈血液ガス分析、乳酸地、生化学、CRP、プロカルシトニン、プレセプシン、IL-6値など)から複合的に判断します3)。敗血症のなかでも急性循環不全により細胞障害及び代謝異常が重度となった病態を敗血症性ショックとしています4)

患者指導5)

尿路感染症及び性器感染症を起こし、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあります。十分な観察を行うなど尿路感染症及び性器感染症の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬、速やかに受診する等、指導してください。尿路感染症及び性器感染症の症状及びその対処方法について患者に説明してください。

注意が必要な患者

腎機能障害患者、尿路感染及び性器感染患者。腎盂腎炎等の重篤な尿路感染症発現に対する本剤の関連性は不明ですが、作用機序から本剤が起炎菌の増殖を促進する可能性も考えられます。

定期的な検査の実施

本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察してください。

診断・鑑別診断

腎盂腎炎の診断は臨床症状と検査結果により行います1)。検尿にて膿尿、細菌尿、血尿を認め、腎実質への感染の波及時には沈渣にて白血球円柱が認められます。血液検査では好中球を主体とした白血球増加、CRP 高値などの炎症反応を認めます。免疫抑制作用を有する薬剤を使用中の患者においては、来院時毎の検尿と血算・CRP 等の血液検査を行ってください。
壊死性筋膜炎の早期診断のポイントとして以下を挙げることができます6)。1)心拍120以上/分、低血圧などの全身症状がある。2)皮膚症状と乖離のある激痛、または紅斑を超えた範囲の激痛がある。3)検査上、CPK上昇、CRP > 15 mg/dL、LRINEC(Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis)スコア ≧ 6,プロカルシトニン強陽性などを認める。4)紫斑・血疱があれば参考になる。また、単純X線撮影、超音波検査、CT、MRIは、炎症の範囲やガス産生の有無を確認するのに有用です。
敗血症は、感染症もしくは感染症の疑いがあり、かつSOFA〔sequential(sepsis-related)organ failure assessment〕スコアの合計2点以上の急上昇がある際に診断されます4)。敗血症の患者において、平均動脈血圧 ≧ 65 mmHg以上を保つために輸液療法に加えて血管収縮薬を必要とし、かつ血中乳酸値が2 mmol/L (18 mg/dL)を超える際に敗血症性ショックと診断されます。

<出典>

  1. 厚生労働省:重症副作用疾患別対応マニュアル 急性腎盂腎炎(平成23年3月)https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1e13.pdf
  2. 今日の治療指針2022年版 第20章 皮膚科疾患 壊死性筋膜炎
  3. 今日の治療指針2023年版 第3章 感染症 敗血症
  4. 今日の治療指針2023年版 第1章 救急医療 A. 治療 敗血症性ショック
  5. スーグラ錠 25mg, 50mg 電子化された添付文書(第3版)(2022年8月改訂)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/800126_3969018F1022_1_14
  6. 今日の治療指針2023年版 第20章 皮膚科疾患 壊死性筋膜炎

対処

腎盂腎炎が疑われる場合、治療上可能な場合は本剤の投薬を中止します1)。中止後の治療の基本は水分摂取や点滴などの水分負荷と安静による尿量増加と適切な抗菌薬の投与です。
壊死性筋膜炎が疑われる場合、すみやかな抗菌薬投与を含めた全身管理を行いつつ、早急に手術を行う必要があります2)。起炎菌判明までは広域抗菌薬を使用します。起炎菌判明後は感受性のある抗菌薬に変更します。手術としては、主に皮下組織・筋膜の状態を確認する試験切開を行い、全身麻酔が可能であれば壊死組織除去、病巣掻爬・清浄化を施行します。
敗血症性ショックは感染を契機に発症するため、治療においては適切な抗菌薬の投与と感染巣の除去が必須となります3)。また敗血症性ショックは、循環血液量不足、末梢血管拡張、心機能の低下が誘因となって生じているため、その治療は①輸液による循環血液量の至適化、②血管収縮薬の投与、③強心薬の投与となります。治療経過のなかで循環動態は刻一刻と変化するため、経時的に循環血液量と心機能の評価を行う必要があります。

<出典>

  1. 厚生労働省:重症副作用疾患別対応マニュアル 急性腎盂腎炎(平成23年3月)https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1e13.pdf
  2. 今日の治療指針2022年版 第20章 皮膚科疾患 壊死性筋膜炎
  3. 今日の治療指針2023年版 第1章 救急医療 A. 治療 敗血症性ショック

発現頻度

電子化された添付文書

電子添文に記載された副作用発現頻度は以下の通りです。
腎盂腎炎(0.1%)、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)(頻度不明)、敗血症(頻度不明)。
腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあります。

製造販売承認申請時1)

2型糖尿病患者を対象とした国内臨床試験の調査対象症例数は1,669例です。これらの臨床試験は電子添文記載の副作用発現頻度の根拠資料となりました。電子添文の記載に追加すべきデータはありません。

使用成績調査

高齢者を対象とした特定使用成績調査2)
スーグラの製造販売後3か月間に本剤を最初に処方された65歳以上の日本人2型糖尿病患者全症例を対象とし、2014年4月から2015年7月まで調査(観察期間1年間)を実施しました。安全性解析対象症例数は8,505例(男性4,181例、女性4,324例)、平均年齢72.3 ± 5.9歳でした。解析対象患者の31.8%は75歳以上でした。腎盂腎炎5件(0.06%)及び敗血症性ショック2件(0.02%)の発現が報告されています。

長期使用に関する特定使用成績調査3)
日本人2型糖尿病における製造販売後3年間の長期使用実態下での本剤の安全性及び有効性について、2014年7月17日から2015年10月16日の間に本剤を最初に投与した日本人2型糖尿病患者を対象として調査を実施しました(データカットオフ:2019年9月30日)。安全性解析対象集団は11,051例(男性6,713 例、女性4,338例)、平均年齢56.9 ± 12.2歳でした。腎盂腎炎4件(0.04%)が報告されています。

市販直後調査および市販直後調査後の継続安全性監視・情報提供活動結果(2型糖尿病)の報告4)

スーグラの市販直後調査(調査実施期間:2014/4/17~2014/10/6)および市販直後調査後の継続安全性監視・情報提供活動(調査実施期間:2014/10/7~2015/4/16)において、腎盂腎炎(16件)、急性腎盂腎炎(6件)、敗血症(2件)、敗血症性ショック(2件)が報告され、いずれも重篤でした。

<出典>

  1. スーグラ錠 効能・効果、用法・用量及び使用上の注意改訂のお知らせ(2018年12月) p10. https://amn.astellas.jp/content/dam/jp/amn/jp/ja/di/doc/Pdfs/DocNo201805879_y.pdf
  2. スーグラ錠 高齢者を対象とした特定使用成績調査(全例調査)最終報告(2016年7月)
  3. Nakamura I, Maegawa H, Tobe K, Uno S. Real-World Evidence for Long-Term Safety and Effectiveness of Ipragliflozin in Japanese Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: final Results of a 3-Year Post-Marketing Surveillance Study (STELLA-LONG TERM). 2021;22(3):373-387. (SGL-01031) DOI: 10.1080/14656566.2020.1817388 (COI:著者のうち1名はアステラス製薬株式会社より資金提供を受けている。著者のうち2名はアステラス製薬株式会社の社員である。本研究の実施および本論文の作成にはアステラス製薬株式会社が資金提供を行った。)
  4. スーグラ錠 市販直後調査および市販直後調査後の継続安全性監視・情報提供活動結果のご報告(2型糖尿病) https://amn.astellas.jp/content/dam/jp/amn/jp/ja/di/sgl/1012/shihangochousa_200023401.pdf

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