Gさん、こんにちは。体調はいかがですか？
③症状が悪化しているとき・高齢
Case 2：高齢の患者さん
もう年だから、節々が痛むし、若い頃のようにはいかないわね。
いえいえ、今は人生100年時代ですよ。Gさんは血糖値もよく管理できていますし、まだまだ元気に長生きしていただかないと。
そうね。できれば娘家族に迷惑をかけずに、このまま一人で気ままに暮らしていけたら、と思うわ。
よく食べて、よく運動して筋肉を付ければ、節々の痛みも和らいで、動くのもより楽になりますよ。もしかして、青信号のうちに横断歩道を渡り切れないことがありますか？
そういえば時々あるわね。
そうですか。Gさんは今、かなり筋肉量が少なく痩せ型の状態にあります。今後もお一人で暮らしていきたい希望をお持ちなので、そのためにも、もう少し筋肉を付けて体を丈夫にしていただきたいと思います。もっと太ももに筋肉が付くように、可能な範囲でたんぱく質を多めにとり、ご自宅でスクワットのような筋肉トレーニングをしていただきたいです。
でも、痩せている方が健康にいいでしょう？
それは中年期までの話です。65歳を過ぎたら痩せ過ぎていることが問題になることもあります。実際に、日本人で２型糖尿病をお持ちの高齢者を調べた研究では、痩せ過ぎている人の方が寿命が短い結果が出ています1）。
そうなの？知らなかったわ。
今日知っていただけて良かったです。また、もう１つ重要なことがあります。元気で長生きするためには、周囲の人との交流が大切です。ぜひご家族や友だちとおしゃべりしたり、お出かけしたりする機会を持つようにしてくださいね。ご自身で生きがいや社会的な役割を持つことが、元気で長生きの秘訣になります。
そうねぇ。普段一人でいることが多いけど、たまに友だちと話すのは楽しいものね。
次回の受診時に、治療以外のことでも、最近楽しかったことをぜひ教えてくださいね。また、糖尿病をお持ちの他の患者さんとお話しいただくと、同じように治療をがんばる仲間がいることで、治療の励みになる方も多いですよ。よろしければ患者会のご案内もお渡ししますね。
ありがとうございます。なるべく多くの人と関わって過ごすようにしますね。
POINT!
- 高齢の方には、治療や生活改善のモチベーションを上げるために、共感や励まし、安心感を与える言葉をかけましょう。
- 高齢で糖尿病をお持ちの患者さんでは、合併症であるサルコペニアやフレイルが治療上の懸念になってくることが多く、筋力を付けていただくことが重要です。対策として、食事でたんぱく質やエネルギーを十分にとり、運動（筋肉トレーニング）を行うようにお伝えしましょう。
- 社会的フレイルを予防する必要もあるため、外に出るきっかけとして、患者会やデイサービスの参加を勧めてみてもいいでしょう。
1）Tanaka S, et al.: J Clin Endocrinol Metab, 2014, 99(12), E2692-E2696.
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