今回は健診で血糖値が高く、目に違和感があって来られたとのことですね。お忙しい中、よくお越しくださいました。
今回は健診で血糖値が高く、目に違和感があって来られたとのことですね。お忙しい中、よくお越しくださいました。
目も見えないわけじゃないし、大したことないよ。
そうなのですね。しかしCさんのように血糖値が高い状態が続いていたら、いつ何があってもおかしくないのです。
えっ、何か起こるの?
糖尿病は色々な問題を引き起こします。たとえば朝起きたら突然目が見えなくなっていたとか。
へえ、それは怖いな。
はい、糖尿病網膜症という糖尿病の合併症です。目をカメラに例えるとフィルムに当たる部分が網膜なのですが、血糖値が高いと網膜の血管が詰まったり、出血したりしやすくなります。これが失明の大きな原因になるのです。
でも、俺は昔から目がいいし、物がぼやけてみえるのもたまにあるくらいだよ。
糖尿病網膜症の怖いところは、失明する直前まで症状がはっきり表れず、気づきにくいところなのです。Cさんには、眼科で眼底検査を受けて、網膜の状態を確認してもらうことを強くお勧めします。
そういえば、さっき待合室に目が悪くて白杖をついている人がいたな。
そうですか。私がこれまで診てきた糖尿病をお持ちの患者さんの中で、「朝起きたら突然目が見えなくなっていた」という人が何人もいますよ。どなたもCさんと同じように高い血糖値を放置していた方々です。
そうなのか…
はい、Cさんはそのようになってしまわないよう、これから血糖値を下げる治療と食事、運動療法に取り組んで、合併症を予防していきましょう。
血糖値を下げないと、大変なことになるんだな。
糖尿病の怖いところは、失明だけではなくて、腎機能が低下して透析になったり、血管が傷んで心筋梗塞や脳卒中になったりすることです。どうすれば目や腎臓、血管などを守れるか、一緒にお話をしていく中で、取り組みやすい治療法や生活習慣の改善法を考えていきましょう。ちなみに、Cさんには年単位で長期に通院していただくことになると思い、少なくとも1ヵ月に1回は通院していただきたいです。
けっこう頻繁だなぁ。そんな時間が取れるかわからないし…
1ヵ月に1回、通院に1時間かかるとすると、1年で12時間ですね。つまり、1年のうちの半日を自分の長い将来の健康のために使うと考えると、いかがでしょうか?
なるほどね。そう考えればそれほど負担ではないかも。
もしご興味があれば、糖尿病の患者さん同士で経験を話し合うグループミーティングを来月に行うので、参加してみてはいかがですか?他の患者さんのリアルな実体験を聞くことで、治療をがんばるヒントがもらえますし、やる気もアップしますよ。
まあ、ちょうど時間が空いていれば顔を出してもいいかな。
では、お帰りの際にグループミーティングのご案内チラシを受付でお渡しします。眼科への紹介状も書いておくので、近いうちに受診してくださいね。
わかったよ。
Cさんの症状がそれほど進んでいないうちに来ていただいて、本当に良かったです。次の受診までに何か困ったことがあれば、いつでも連絡してくださいね。
うん、先生ありがとう。
POINT!
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