Moritz J, et al.: Biomedicines. 2024; 12: 599. https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
本論文の著者にはAstellas Pharmaから資金提供を受けた者が含まれる
ご監修:菊繁 吉謙先生(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部 講師)
AMLの治療選択や予後予測では、染色体核型や遺伝子変異に基づいたリスク分類が用いられますが1)、これらに加えて近年、測定可能残存病変(MRD)の測定に基づく治療反応性の評価やMRDの臨床的意義に関する研究が進んでいます2)。そこで今回は、AMLにおけるMRDの測定方法やその特徴、臨床的意義について解説します。
Moritz J, et al.: Biomedicines. 2024; 12: 599. https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
本論文の著者にはAstellas Pharmaから資金提供を受けた者が含まれる
MRDとは、光学顕微鏡による観察では検出が困難な微小なレベルの残存病的細胞のことをいいます。
慢性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病などの他の造血器腫瘍と同様に、AMLにおけるMRDの測定には、寛解の深さを定量的に判断する、再発リスクの予後予測評価を強化する、再発の兆候を早期に検出して介入するなど、さまざまな目的があります。
Döhner H. et al.: Blood. 2022; 140(12): 1345-77.より作図. 本論文の研究資金はAstellas Pharmaから提供を受けたものである
従来、MRDの測定方法としては、白血病細胞の表面抗原の表現型に基づき検出するマルチパラメーターフローサイトメトリー(MFC)と、白血病細胞に特異的な遺伝子をPCRで検出し測定するリアルタイムPCRが汎用されてきましたが、最近は、あらゆる遺伝子変異を標的としうる次世代シークエンシング(NGS)を用いた測定などの新しい技術も登場しています。
現在、ELN recommendationsでは、治療標的の違いによりMFCとリアルタイムPCRが確立した測定方法として定義されています。
Moritz J, et al.: Biomedicines. 2024; 12(3): 599.改変 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
本論文の著者にはAstellas Pharmaから資金提供を受けた者が含まれる
それぞれの測定方法では、検出感度や特徴において利点と不利な点があり、臨床応用における課題となっています。このような課題を改善する方法の一つとして、異なる測定方法を併用することも検討されています3)。
【対象・方法】2013年1月~2019年12月に中国江蘇省病院の血液内科で同種造血幹細胞移植を受けた急性白血病患者114例のデータを収集し、分析した。全例がNCCN基準の形態学的CRを達成し、移植前に骨髄検体を用いてMFC(診断時に同定したLAIP)によるMRD評価を受けていた。MRD≧0.01%をMRD陽性とし、MRD陽性群と陰性群の転帰を比較した。
Shen X, et al.: Hematology. 2021; 26(1): 295-300.
MFCによるMRD評価の臨床的意義を評価するために、急性白血病患者さんの移植後臨床アウトカムとの関連性を検討する臨床試験が行われました。
その結果、移植後1年のOS率とPFS率は、いずれも移植前MRD陽性群とMRD陰性群で有意な差が認められました(OS:p=0.003、PFS:p=0.009、log-rank検定)。
4)迫田哲平: 日本造血・免疫細胞療法学会雑誌. 2023; 12(3): 167-71.
5)Heuser M, et al.: Blood. 2021; 138(26): 2753-67.
【対象】2010年2月~2013年9月にHOVON/SAKK102試験に参加したAML患者で、未治療AML患者で、化学療法後にLSCsとMRDが測定された242例。
【方法】MRDとLSCsの複合評価により、予後を解析した。
Zeijlemaker W, et al.: Leukemia. 2019. 33(5), 1102-12.
実際に、MRD測定にLSCs測定を追加することで、化学療法後の累積再発率の予測能が向上したことが報告されています。
【対象】2018年7月~2019年11月に本研究に登録され、同種造血幹細胞移植を実施したAML患者360例。
【方法】LSC-based MRD assayによるMRD測定を行い、予後を解析した。また、従来法(LAIP&DfN approach法)との比較を実施した。
Li SQ, et al. Blood. 2022, 140 (5). 516–20.
MRD測定にLSCs測定を追加することで、同種移植後の累積再発率の予測能も向上したことが報告されています。
今回は、AML治療におけるMRD測定について、測定方法やその特徴、臨床的意義について解説しました。 MRDは、測定方法についてはそれぞれ感度、特異度などの課題があり解決すべき点もありますが、重要な予後予測因子であることは明らかであり、MRD測定の臨床応用の実現が期待されます。
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