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AMLにおけるMRD検査の意義

AML領域におけるMRDモニタリングの研究

MRDの有無を測定することは、治療計画の立案、治療効果の判定、再発の有無、予後の判定などに役立つことから、AMLの領域でも研究が進んでいる1)。例えば、AMLでは同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後のMRD陽性が、再発や生存率低下の予測因子であることが示唆されている2)。また、allo-HSCT後のMRDモニタリングと維持療法のタイミング(予防投与または先制投与;図1)や強度との関連性についてのレトロスペクティブ研究も行なわれた3)。このような研究を通じて、allo-HSCT後のMRDモニタリングの有用性が明らかにされてきた。

図1 MRDモニタリングと予防投与/先制投与1,3)

ガイドラインにおけるMRD検査に関する推奨

AMLにおけるMRDの測定方法としてはマルチパラメーターフローサイトメトリー法(MFC)、リアルタイム定量PCR法(qPCR)、次世代シークエンシング(NGS)などが使用可能であるが、何を標的としてどの方法で測定するかはAMLサブタイプや選択された治療方法によっても異なる。表1にガイドラインごとのMRD検査の推奨をまとめる4-7)。AMLに関連する遺伝子変異の一つであるFLT3-ITD変異は、qPCRの実験系では偽陰性のリスクがあるため適切ではないものの、より感度の高い方法を用いることでMRD評価の標的として再発を予測できる可能性が示唆されている6)

表1 各ガイドラインにおけるMRD検査に関する推奨4-7)

MRD評価に基づく奏効基準

ELN recommendations 2022では4)、MRDの測定結果に基づく奏効基準が示されている(表2)。MRD陽性の判断基準は測定方法や標的によって異なり、MFCでは標的免疫表現型を有するCD45発現細胞が0.1%以上、qPCRでは増幅サイクル数(Ct値)40未満と定義される4)

表2 MRDに基づくAMLにおける奏効基準と再発の定義4)

AMLにおけるMRD残存による予後への影響

ELNでは、CR達成患者の予後層別化におけるMRD評価の役割をふまえ、2017年にMRDを伴わない完全寛解(CRMRD-)という新たな奏効基準を設け、現在はCRMRD–、 CRhMRD–、CRiMRD–に分類を拡大している4)
81文献、11,151例のAML患者を対象としたメタ解析8)によると、MRD陽性に対するMRD陰性の平均ハザード比は全生存期間(OS)で0.36(95%ベイズCI 0.33-0.39)、無病生存期間(DFS)で0.37(95%ベイズCI 0.34-0.40)であった。また、MRD陰性の達成は、FISH法を除くMRD測定方法[MFC、PCR(WT1)、PCR(遺伝子)、NGS、その他]、MRD評価時点(導入療法、地固め療法中、地固め療法後)、AMLサブグループ(CBF-AMLまたは非CBF-AML)によらず優れたDFSおよびOSと関連していた8)。なお、本解析に含まれる文献のほとんどで強力な寛解導入化学療法後にMRD評価が行われていたが8)、高齢AML患者を対象としたPETHEMA-FLUGAZA試験9)では、強力な化学療法に準じた治療またはメチル化阻害剤投与後のMRD陰性が予後と関連する可能性が示唆されている。

●  CR(不完全なCR含む)達成例におけるMRD残存による生存アウトカムへの影響

48文献、7,146例を対象に、MRDの閾値と血液学的奏効(CRまたは不完全なCR)の情報をもとにMRDによる予後への影響を検討したメタ解析10)では、MRD陰性例およびMRD陽性例の推定5年OS率が65%および30%、推定5年DFS率が63%および16%であり、いずれもMRD陰性例で良好であった(図2)。CR達成例に限定した解析でも同様の結果であり、さらに、MRD陰性の達成は、MRDの閾値や解析感度に関係なく、良好なDFSおよびOSと関連していた(階層ベイズ解析)10)。なお、MRD陰性による予後への影響は、MRD閾値が0.1%未満の研究において最も良好であった。このことから、CR達成例においては低いMRD閾値を用いることでより精度の高い予後の識別が可能となることが示唆された。

図2 MRDの有無とOSおよびDFSとの関連性(メタ解析、海外データ)10)

MRD検査に基づくAML治療選択の可能性

MRDは強力な予後因子の一つであり、MRDの陽性化や増加は疾患の再発と関連するため、MRDをバイオマーカーとして治療終了後に監視することは妥当とされる11)。最近は、従来の治療後にMRDが残存または増加した患者において、MRDの根絶を目的とした治療を評価する研究が報告され11)、その治療にはDNAメチル化阻害剤12)、FLT3阻害剤13)などが含まれる。また、MRDは寛解導入療法後に評価することで、移植前処置レジメン強度の決定14)、HSCT適応の決定15-17)などに役立てられる可能性がある。
 

●  MRD残存が移植後の生存に与える影響

    1. CBF-AMLにおけるMRDの有無とHSCTの有用性15)

本前向きコホート研究では、新規にt(8;21)を有するAMLと診断された患者137例を対象に、MRDの標的としてRUNX1::RUNX1T1の転写産物が測定され、ベースラインと比較して3 logを超えて減少した(0.4%未満)場合を分子遺伝学的完全奏効(MMR)とした。
2回目の地固め療法後にMMRを達成し、その後6ヵ月間維持した患者を低リスク群、MMRを達成しないまたは維持できなかった患者を高リスク群とした。高リスク群にはallo-HSCT、低リスク群には化学療法の継続が推奨され、低リスク群では地固め療法4コース後に化学療法/自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)が許可された。
ランドマーク(CR達成後4ヵ月)解析を用いた高リスク群では、HSCTは化学療法と比較して累積再発率(p<0.001)、DFS(p=0.001)、OS(p=0.0069)を改善した(いずれもlog-rank検定)(図3上)。一方、低リスク群では、HSCTは化学療法と比較して再発率に差はなく(p=0.32)、DFS(p=0.024)およびOS(p=0.013)は有意に低下した(log-rank検定)(図3下)。
多変量解析の結果、MRDの有無と治療方法の選択が、再発、DFSおよびOSの独立した予後因子であることが示された。結論として、2回目の地固め療法後におけるMRD評価が治療選択のタイミングに適しており、MRDを考慮したリスク層別化治療は、初回完全寛解のt(8;21)AML患者の予後を改善する可能性が示唆された。

図3 MRD評価に基づくリスク別にみたHSCT/化学療法の生存アウトカム(海外データ)15)

    2. NPM1変異陽性AMLにおけるMRDの有無とHSCTの有用性(ALFA-0702試験)16)

本研究は、ALFA-0702試験に組み入れられた成人de novo AMLで、NPM1変異を有する229例のうち、初回寛解期のMRD評価が可能であった患者152例について解析している。
MRDの標的としてNPM1変異の転写産物を測定し、検出限界である0.01%を下回った場合に「MRD陰性」と定義した。本研究では、ELNの良好リスクに該当しない患者(FLT3-ITDおよび/または核型異常の存在)だけが初回寛解時にallo-HSCTを受けた。
末梢血におけるMRD(PB-MRD)の減少が4 log未満の患者群では、allo-HSCTは化学療法と比較してDFS(p=0.047)およびOS(p=0.030)を改善したが、PB-MRDの減少が4 logを超える患者群ではallo-HSCTの有用性が示されなかった(Andersen-Gillモデル)(図4)。
初回寛解期の末梢血検体を用いたNPM1変異に基づくMRD評価は、細胞遺伝学的背景および分子学的背景とは独立して予後に関連し、allo-HSCT適応の予測因子として使用できる可能性が示唆される。

図4 MRDの減少レベルとHSCTによる生存アウトカムへの影響(海外データ)16)

    3. NPM1野生型AMLにおけるMRDの有無とHSCTの有用性(NCRI AML17試験)17)

本研究は、60歳未満の成人で高リスクの骨髄異形成症候群(診断時の骨髄芽球が10%超と定義された)患者および二次性AML患者2,450例を対象とした。化学療法1コース後にCR/CRiを達成した症例は、MFCによりMRDを測定した。FLT3-ITD変異陰性かつNPM1野生型の症例を含む、高リスクに該当しない患者には化学療法が選択され、高リスク患者にはallo-HSCTを前提とした強化治療が行われた。
MRD-MFCでは、診断用LAIP(感度閾値約0.02~0.05%)または追跡調査用LAIP(感度閾値約0.05~0.1%)が検出された場合にMRD陽性とした。
NPM1野生型の標準リスクグループでは、化学療法2コース後のMRD陽性例でMRD陰性例よりも有意に予後が悪化していた(p=0.003、log-rank検定)(図5左)。MRD陰性例ではallo-HSCTにより予後が悪化する可能性が示唆された(死亡に対するハザード比1.68、95%CI 0.74-3.85、交互作用p=0.16、Mantel-Byar解析)(図5右)。
MFCによるMRD評価は、初回寛解期のNPM1野生型標準リスク患者において移植の効果と転帰の予測に役立つ可能性が示唆される。

図5 NPM1野生型の標準リスクグループにおけるMRDの有無と生存アウトカムへの影響(海外データ)17)

    4. MRD残存による移植前処置別の治療成績への影響(BMT CTN0901試験の事後解析)14)

本研究はBMT CTN0901試験において形態学的CRを達成し、骨髄破壊的前処置(MAC)群または骨髄非破壊的前処置(RIC)群に無作為化され、allo-HSCTを受けたAML患者190例を対象とした事後解析である。形態学的CR達成時の血液検体を用いてNGSによりAMLに関連する13の遺伝子変異(ASXL1DNMT3AFLT3IDH1IDH2JAK2KITNPM1NRASRUNX1SF3B1TET2TP53)を検出し、遺伝子変異の有無別にMAC群およびRIC群における生存アウトカムを比較した。
被検者の41%で移植後再発を認め、再発例の71%は形態学的CR達成時に遺伝子変異が検出された患者(NGS陽性例)であった。NGS陽性例では、1年時累積再発率がRIC群で58%とMAC群の14%よりも有意に高く(p<0.001、log-rank検定)、3年時全生存率がRIC群で43%とMAC群の61%よりも有意に低かった(p=0.02、log-rank検定)(図6)。一方、NGS陰性例では、MAC群とRIC群でOSに有意な差は認められなかった(p=0.96、log-rank検定)(図6右)。
MRDが残存するAML患者ではallo-HSCTの前処置としてRICではなくMACを選択することが生存率の改善につながる可能性が示唆される。

図6 形態学的CR達成時の遺伝子変異の有無と移植前処置の強度による生存アウトカム(事後解析、海外データ)14)

まとめ:AMLの治療選択に生かすためのMRD測定方法

このようにMRDに基づく予後層別化が多数報告されているが、いずれのMRD測定方法においても、評価のタイミングや閾値設定などは様々であり、また、感度や特異度などに改善の余地がある18)。現在、MRD測定に広く用いられているMFC、qPCR、NGSについて、臨床的意義、治療との関連性や課題等をまとめ、以下に示す。

● MFCによるMRD解析

● qPCRによるMRD解析

qPCRの標的とそれぞれの臨床意義について以下に示す。

● NGSによるMRD解析

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