メディカルアフェアーズ情報

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エキスパート解説コンテンツ

ビーリンサイトの臨床試験成績について

ご監修
札幌北楡病院 血液内科 部長
杉田 純一 先生

監修者の所属・役職は2024年3月時点の情報です

成人の再発ALLの治療においては、hyper-CVADなどのALLの初回導入療法に用いられるレジメンの中から、初回治療で用いられていない薬剤が多く含まれるレジメンを選択することが推奨されています1)。しかし、『造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版』(CQ13)1)では「高齢者Ph陰性ALLに対する標準的な治療法は開発段階である。多剤併用化学療法か、緩和的ステロイド治療かは患者の状態によって選択する。」と記載されています。高齢者では全身的化学療法による有害事象や治療関連死の比率が高くなるため、治療強度の高い化学療法を行うのは困難なケースもあり、より安全性の高い治療法の開発が求められていると考えます。

近年、ALLの領域ではさまざまな抗体製剤が登場し、治療選択肢が広がっています。造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版では、ALL再発例に対する再寛解導入療法について、「B-ALL再発例では、CD19が陽性であればブリナツモマブが、CD22が陽性であればイノツズマブ オゾガマイシンの使用が推奨される。」と記載されており、これらの抗体製剤が推奨されています1)

今回は、抗体製剤のひとつであるブリナツモマブ(製品名:ビーリンサイト)の海外第Ⅲ相比較対照臨床試験(TOWER試験)をご紹介します。

ビーリンサイトの海外第Ⅲ相比較対照臨床試験(TOWER試験)

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は、電子化された添付文書をご参照ください。

TOWER試験は、成人の再発又は難治性のPh陰性B細胞性ALL患者を対象とした、ビーリンサイト単剤投与と標準化学療法の第Ⅲ相比較試験です。対象患者405例を、ビーリンサイト群又は標準化学療法群に2:1の比率でランダムに割り付け、各群ともに寛解導入療法として2サイクル、地固め療法として最大3サイクル、維持療法として最大12ヵ月まで投与しました。
主要評価項目はOSでした。なお、OSの第2回中間解析において、標準化学療法群に対するビーリンサイト群の優越性が検証されたことから、独立データモニタリング委員会により試験の早期有効中止が提言され、早期中止されました。

TOWER試験にはご覧のような治療が難しい患者が含まれていました。ビーリンサイト群には、芽球率が50%以上の患者74.2%、本試験で受ける救援療法が2回目以降の患者57.9%、難治の患者42.4%、同種HSCT実施歴がある患者34.7%、初回寛解期間12ヵ月未満で再発の患者28.0%が含まれていました。また、ビーリンサイト群における65歳以上の割合は12.2%でした。

有効性

主要評価項目であるOS中央値は、ビーリンサイト群で7.7ヵ月、標準化学療法群で4.0ヵ月でした。投与群間のハザード比は0.71であり、ビーリンサイト群は標準化学療法群に比べて主要評価項目であるOSを有意に延長しました。
また、移植実施時点を打ち切りとした場合のOS中央値は、ビーリンサイト群で6.9ヵ月、標準化学療法群で3.9ヵ月であり、ビーリンサイト群は標準化学療法群に比べて有意にOSを延長しました。
このことは、全体のOS延長効果と同様、移植の影響を除外してもビーリンサイトはOSを延長することができたということになります。
血液学的完全寛解率においては、ビーリンサイト群は標準化学療法群に比べて有意に高い寛解率を示し、ビーリンサイト群では、寛解持続期間の中央値は7.3ヵ月でした。
さらに本試験では、CR/CRh*/CRiが得られた患者において、MRD奏効率が検討されました。
MRDの評価が行われた患者のMRD奏効率は、ビーリンサイト群で76.3%、標準化学療法群で48.5%でした。

安全性

有害事象発現率は、ビーリンサイト群で98.5%(267例中263例)、標準化学療法群で99.1%(109例中108例)でした。主な有害事象は、ビーリンサイト群で発熱が59.6%(159例)、頭痛が29.6%(79例)などでした。

重篤な有害事象は、ビーリンサイト群で62.9%(267例中168例)、標準化学療法群で45.0%(109例中49例)で報告されました。主な事象は、ビーリンサイト群で発熱性好中球減少症24例及び発熱16例などでした。
投与中止に至った有害事象は、ビーリンサイト群で15.7%(267例中42例)、標準化学療法群で9.2%(109例中10例)で報告されました。主な事象として、ビーリンサイト群で気管支肺アスペルギルス症、真菌性敗血症、貪食細胞性組織球症、呼吸不全及び敗血症性ショックが各2例に認められました。
治験薬投与期間中及び投与終了後30日以内の死亡は、ビーリンサイト群で71例、標準化学療法群で22例に報告されました。主な死因は、ビーリンサイト群で疾患進行23例、敗血症/疾患進行及び敗血症性ショック各5例などでした。

高齢ALL患者に対する治療法はいまだに開発段階ですが、さまざまな抗体製剤の登場により、ALL治療は新たな時代に進みつつあります。抗体製剤は、再発又は難治性のPh陰性ALL患者に対して治療選択肢のひとつとなると考えます。

1)日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 東京: 金原出版; 2023

電子化された添付文書を見る
AMGENastellas© 2022 AMGEN K.K.
m3BLN224033M31
2024年3月作成


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