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近年ALLの領域では、複数の薬剤や治療法の登場により治療選択肢が広がっています。しかし、65歳以上のALL患者への標準治療はまだ開発段階です。
今回は、高齢ALL患者における治療課題を、Ph陽性・陰性についてそれぞれ解説します。
監修医:札幌北楡病院 血液内科 部長 杉田 純一 先生
監修者の所属・役職は2024年2月時点の情報です
(2024年7月)
ALLの発症にはさまざまな遺伝子変異が関わっていますが、年齢によって変異する遺伝子の頻度が異なることが報告されており、Ph陽性など悪性度の高いハイリスク染色体異常においては小児・若年層より成人の頻度が高いことがわかっています1)。
ALL患者を対象にPh陽性(BCR-ABL陽性)頻度を調査した研究では、65~74歳の高齢者のPh陽性が44.7%であったのに対し、15~24歳では12.7%、25~34歳では30.6%、35~44歳では43.7%でした2)。高齢のALL患者の約半数はPh陽性であると考えられます。
造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版では、高齢者のPh陽性ALLに対する初期治療として、TKI+ステロイド療法が推奨されています3)。また、可能であればTKIに加えて減弱化学療法で地固め療法、維持療法を行うことが推奨されます3)。
高齢ALL患者の治療課題においては、Ph陽性だけではなく、Ph陰性についても考えていく必要があります。65~74歳の高齢者においては若年者と比較してPh陽性ALLの割合が増加するものの、Ph陰性は55.2%を占めていました2)。
造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版では、高齢者のPh陰性ALLに対する標準的な治療法は開発段階であるとされています3)。65歳以上の高齢者は、若年者に比べ複数の既往歴および合併症を有している割合が高く、化学療法に必要な臓器機能が保たれていない場合も少なくありません3)。高齢者に対する全身的化学療法は有害事象や治療関連死の比率が高くなるため、合併症、PS、日常生活動作、手段的日常動作など全身状態を評価し、治療強度を決めることが大切です3)。
前述のとおり、高齢ALL治療においては全身状態を鑑みて慎重な薬剤選択が求められます。これは、初発でも再発でも同様であると考えています。
ALL再発例に対する再寛解導入療法としては、同ガイドラインのCQ9で以下のように記載されています。Ph陽性ALLではカテゴリー2Aとして、「イマチニブ使用後であればダサチニブあるいはポナチニブへ、ダサチニブ使用後であればポナチニブへの変更が妥当である。」と推奨されています。また、B-ALLについては、カテゴリー1として「B-ALL再発例では、CD19が陽性であればブリナツモマブが、CD22が陽性であればイノツズマブ オゾガマイシンの使用が推奨される。」と記載されており、これらのさまざまな抗体製剤が推奨されています。
高齢ALL患者に対する治療法はいまだに開発段階ですが、さまざまな抗体製剤の登場により、ALL治療は新たな時代に進みつつあります。抗体製剤は、高齢ALL患者に対しても治療選択肢のひとつとなる可能性があると考えられます。
1) Nat Genet. 2019 Feb;51(2):296-307.
2) Blood. 2008 Aug 1;112(3):918-9
3) 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 東京: 金原出版; 2023
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