ユニバーサルデザインに配慮した取り組み ~より扱いやすい包装・剤形を目指して~

第1回 医薬品におけるユニバーサルデザイン

(1)ユニバーサルデザインとは?

1990年代後半から、ここ10年ほどの間に、ユニバーサルデザイン(Universal Design、以下UDと略す)という言葉が一気に普及し、使用されています。

UDとは、ユニバーサル、ということばが示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢、障害の有無などに関わらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすることです。

(2)暮らしの中でのユニバーサルデザイン

2006年4月に実施されたユニバーサルデザインフォーラム(UDF)の調査で、実は、使いづらいと感じる日用品として、医薬品を指摘する人の多いことが判明しました。首都圏や京阪神に居住する15~79歳の一般男女1090人を対象に調査を実施、回答率は51.2%でした。暮らしの中で、UDの普及状況などを知るために行われた調査です。

「使いづらさランキング」では、不満のトップが、パッケージ表示・取り扱い説明書でした。

日用品で「使いづらい・利用しづらい」と感じた人の割合は、文房具・事務用品が31.7%と最も高く、食品・飲料、台所用品、次いで医薬品が23.7%でした。「特に不満を感じる」だけをみると、医薬品は10.0%で、食品・飲料、文房具・事務用品に次いで、ワースト3に入る結果になっています。

その理由としては、年齢に関係なく説明書の使いにくさを指摘する声が多数あり、高齢者では、「包装が指で容易に開封しがたい」など、容器や包装に対する不満もみられています。

引用:「第5回暮らしの中のデザインに関するアンケート」(ユニバーサルデザインフォーラム2006年調査)
首都圏や京阪神に移住する15-79歳の一般男女1090人対象(回答51.2%)
RAD-ER NEWS Vol.17 No.4 2007 

(3)医薬品におけるユニバーサルデザインの対象者

高齢者(白内障・手指機能障害・記憶力低下など)
 →65歳以上の医療機関受診者は2500万人以上

手指機能障害者(交通事故・リウマチ・脳梗塞による片麻痺)
 →例としてリウマチ患者は70万人※1

視力・色覚障害者
 →例として色弱者は320万人※2

 

*:呼称について
色の識別が一般と異なることを、色盲・色弱・色覚異常・色覚障害などと呼ばれることがありますが、ここでは基本的に、カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)に基づいて、色弱とさせていただきましたので、ご了承ください。 

 

UDは、福祉、家電、日用品といった分野においては非常に進んでいるといわれており、医薬品分野が最も遅れていると言われています。

上述のような背景のもと、医薬品メーカーはUDの観点を取り入れ、早急に改善する必要があると考えられます。

※1:日本リウマチ財団ホームページ(http://www.rheuma-net.or.jp/)より
※2:伊賀公一.カラーユニバーサルデザインとは.福祉介護機器TECNOプラス 3(1). 2010,1-15

(2016年2月)


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