インフルエンザQ&A

Q:他のワクチンとの接種間隔はどのように考えたらよいでしょうか?また、同時接種について教えてください。

A

2020年10月から、異なるワクチンの接種間隔に関する制限が緩和され、インフルエンザワクチンについては、他のワクチンとの接種間隔に制限がなくなりました。また、医師が必要と認めた場合は、これまで通り2種類以上のワクチンの同時接種も可能です。ただし、新型コロナワクチンとは13日以上の間隔をあけます。

解説

1.接種間隔の規定変更とその経緯

わが国では、2種類以上の異なるワクチンについて同時接種を行うのでなければ、生ワクチン接種後は27日以上、不活化ワクチン接種後は6日以上の間隔をあけて次の異なるワクチンを接種すると定められていました1, 2)。その理由としては、ワクチン同士の干渉作用の可能性や有害事象が発生した場合の因果関係評価への影響が考えられていました3)

一方、海外では、注射する生ワクチン同士は27日以上の間隔をあけますが、2種類以上の不活化ワクチンあるいは不活化ワクチンと生ワクチンはどんな間隔でも接種可能とする国が大多数です4, 5)。注射する生ワクチン同士以外は、接種間隔の差異はそれぞれのワクチンの反応にほとんど影響をおよぼさないと考えられているわけです。

2020年10月のロタウイルスワクチン定期接種化に際して、その他にも接種するワクチンの多い乳児期において確実な接種機会を確保する観点からも、接種間隔の規定変更に関する検討が行われました。その結果、注射する生ワクチン同士以外は、有効性や安全性の観点から接種間隔の規定変更について懸念される研究報告は見当たらず、制限が緩和されました6)

2.基本的な接種間隔

現在の基本的な接種間隔として、生ワクチン接種後にインフルエンザワクチンを接種する場合、間隔についての制限はありません。不活化ワクチン接種後にインフルエンザワクチンを接種する場合も、同様に制限なしです。また、インフルエンザワクチンの接種後、次に異なるワクチンを接種するまでの接種間隔にも、制限はありません(図a)。なお、インフルエンザワクチンを2回接種する場合は、適切な間隔を守ってください。

図. インフルエンザワクチンと他の予防接種との接種間隔

厚生労働省: ワクチンの接種間隔の規定変更に関するお知らせ.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/rota_index_00003.html と文献7)より作成

3.新型コロナワクチンとの接種間隔

新型コロナワクチンは、開発されて間もないということもあり例外的な取り扱いになり、他のワクチンとは13日以上の間隔をあけて接種することが定められています。すなわち、新型コロナワクチンを接種した後にインフルエンザワクチンを接種する場合は、13日以上あけます。インフルエンザワクチンを接種した後に新型コロナワクチンを接種する場合も、13日以上あけます(図b7)。なお、新型コロナワクチンの接種間隔は、製品により異なります7)。インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの接種スケジュールを立てる際には、十分ご注意ください。

4.同時接種について(新型コロナワクチンを除く)

新型コロナワクチン以外は、医師が必要と認めた場合、2種類以上の予防接種を同時に行うことができます。「医師が必要と認めた場合」の具体的な指針はありませんが、「安全な予防接種を維持し、被接種者の健康を守るためには、実施する医師の医学的に適切な判断に委ねられる」8)ならば、複数の疾患に対する免疫を急いでつけたい場合なども該当するでしょう。ただし、他のワクチンと「混合」して接種してはいけません。

同時接種の利点には、接種率の向上、複数の疾患に対する免疫の早期獲得、接種者や保護者の経済的・時間的負担軽減、医療者の時間的負担の軽減が挙げられます。一方で、わが国では、海外のように長年集積されたエビデンスはなく、最近まで同時接種が一般的でなかったことから懸念もあります3)。勝田らによると、接種医(188人)の大多数(91%)が同時接種を肯定する一方で、導入している医師は68%にとどまり、安全性や有効性などへの懸念を抱いている医師も多いと報告しています9)。牟田らは、小児科医(854人)の99%が同時接種を導入しているが、ワクチンの本数や組み合わせを制限している医師がいると述べています10)。

同時接種の有効性と安全性に関して、米国CDCは、広く用いられている生ワクチンや不活化ワクチンを同時接種した場合の抗体陽転率や副反応の発生率は、一部(限定的な研究データで免疫原性の低下が認められたもの、研究データがない組み合わせの同時接種など)を除いて単独接種と同等11)としています。国内でも、検討が少しずつ重ねられています。森田らは、乳幼児(n=4,740)における単独接種と同時接種の副反応発現を比較し、0、1歳において局所反応の発現には差はみられなかった。3歳では日本脳炎、PCV7、Hibの組み合わせで局所反応や発熱の発現が増加したが、副反応は軽微であり同時接種の妨げにはならないと述べています12)。庵原らは、乳幼児(1,219人)を対象に単独および2~4種類のワクチンを同時接種した際の安全性を検討し、ワクチンの数により発熱率や局所反応の出現率には有意な差を認めなかったが、PCVは単独でも同時でも発熱率が高かったと報告しています13)

今後、国内のエビデンスがより多く集積され、有効性や安全性が明らかにされることが必要です。

同時接種の実際については、同時接種するワクチンの組み合わせや可能なワクチンの本数について、「予防接種ガイドライン」14)で特に規定されていません。同時接種は医師が判断して実施するものですが、接種者や保護者には単独接種も可能であることを説明し、相談のうえ決定することが大事です。

(中野 貴司)

文献

1)予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種ガイドライン2020年度版. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2020.

2)予防接種ガイドライン等検討委員会: インフルエンザ・肺炎球菌感染症(B類疾病)予防接種ガイドライン2019年度版. (公財)予防接種リサーチ センター. 2019.

3)中野貴司: 小児科. 54(12): 1651-1660, 2013.

4)American Academy of Pediatrics: Red Book 2018-2021. 2018.

5)CDC: The Pink Book: Course textbook. 13th edition. 2015.

6)第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(ペーパーレス). 資料1. 2020年1月27日.

7)厚生労働省: 新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領.

8)竹中郁夫: 日本医事新報. 4542: 64-65, 2011.

9)勝田友博, 他: 日本小児科学会雑誌. 117(10): 1645-1651, 2013.

10)牟田広実, 他: 外来小児科. 17(3): 301-309, 2014.

11)CDC: MMWR Recomm Rep. 60(2): 6, 2011.

12)森田 潤, 他: 外来小児科. 16(4): 567-568, 2013.

13)庵原俊昭, 他: 日本小児科医会会報. 48: 121-123, 2014.

14)予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種ガイドライン2021年度版. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2021.


関連ページ

アステラス製薬株式会社の医療関係者向け情報サイトに​アクセスいただき、ありがとうございます。​

本サイト(Astellas Medical Net)は、日本国内の医療提供施設にご勤務されている医療従事者を
対象としています。該当されない方はご登録・ご利用いただけませんので、予めご了承ください。

アステラスの企業サイトをご利用の方はこちらからご覧ください。 

会員の方

会員登録されていない方

医療従事者の方は、会員限定コンテンツを除いたアステラスメディカルネットサイトの一部をご覧いただけます。
会員登録すると、製品に関する詳細な情報や領域ごとの最新情報など、会員限定のコンテンツが閲覧できます。

会員向けコンテンツをご利用の方

会員になると以下のコンテンツ、サイト機能をご利用いただけます。 

会員限定コンテンツの閲覧

ニュースや読み物、動画やWEBセミナーなど、
日々役立つ豊富な情報が閲覧可能になります。

情報収集サポート機能の利用

ブックマークやWEBセミナー予約など、手軽に、
効率的に情報を収集・共有いただける機能を
ご利用いただけます。