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東京造形大学彫刻専攻領域 非常勤講師 阿久津 裕彦
今回は、見た目より多機能な肘の骨格と筋を描きます。
肘は特色ある関節です。肘の曲げ伸ばしに加えて、手を翻す動きも肘からはじまります。手は手首というよりむしろ肘からはじまっているのです。肘は姿勢ごとに見え方の変化が大きい部位ですが、骨と筋の位置関係を意識することで理解が容易になります。
肘は、一般的には腕の折れ曲がる部分とだけ認識されています。骨をみると、肘上には1本の上腕骨が、肘下の前腕には2本の骨、尺骨と橈骨があります。前腕の2本の骨はそれぞれ異なる働きを担っています。尺骨は上腕骨としっかり連結して、肘の曲げ伸ばしだけを行います。一方の橈骨は手としっかり連結して(図1A)、手首の曲げ伸ばし(“おいでおいで”)と若干の横曲げ(“ばいばい”)を行います。
図1
橈骨はさらに、その長軸で尺骨の周りを回旋して手を翻します(図1B)。掌を伏せた回内位では、橈骨は尺骨の上をまたぐようにして交叉します。この回旋は、肘の曲げ伸ばしの影響を受けずに行えます。
肘を曲げると角張って現れる尺骨の肘頭には、肘を伸ばす筋がついています。このときの外見は、上腕骨の内外側の出っ張りと肘頭の3点がつくる三角形を捉えましょう(図2)。
図2
肘の周囲には、肘の曲げ伸ばしをする筋と、橈骨を回旋させる筋、そして手と指を動かす筋が集まっています。筋が集中するので、前腕の肘側は太くなります。この筋を肘の前後、屈側と伸側で分けてみましょう。
肘の屈側は、3つの筋の束が集まっています(図3A)。肘の上には上腕から来る屈筋(赤)、肘の内側には手指の屈筋(紫)、そして外側には手指の伸筋(水色)です。手指の伸筋の一部は、肘上から肘を通り過ぎて手首へ向かいます。これは肘の外側の輪郭をつくるので重要です。また、屈側からみた肘の内側には、上腕骨の出っ張り(内側上顆;図3の三角)が目立ち、肘内側の輪郭を際立たせています。
肘の伸側は、尺骨の肘頭とそこから手首へと続く溝が特徴です(図3B)。この溝を境界として筋の作用(屈曲・伸展)が変わります。また、伸側からみた肘では、上腕骨の外側上顆に気を配りましょう(図3B、Cの赤丸)。外側上顆は伸ばした肘ではくぼんでいますが、曲げた肘では出っ張るので特徴的です(図3C)。これは肘を伸ばした時はすぐ隣にある筋(腕橈骨筋)が、肘を曲げると遠ざかるためです。
図3
(2021年1月)
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