製剤・包装から見たリスクマネジメント ─アステラス製薬の取り組み─

第1回 医薬品における医療過誤防止とは?

1.なぜ、医療過誤防止に取り組むのでしょうか?

医薬品は一般の消費財とは異なり、人体に入って作用を発現し、病気の予防、診断、治療に使用される生命関連商品です。しかも外観からは、その品質を判断することは困難で、医師、看護師、薬剤師ら医療従事者そして患者さんも、その医薬品の品質を信頼して使うことを余儀なくされています。それゆえ、医薬品は、品質、有効性、安全性の3大要件が十分に確保されたうえで、その使用目的が達成されるためには、製品に伴う適切な表示を含んだ情報が必要不可欠になってきます。

アステラス製薬は、患者さんや医療従事者が薬剤を確認し易いように、製品名や薬効表示、剤型の工夫、包装・容器の工夫など、広い意味での医薬品製剤・包装の観点からのリスクマネジメントに取り組んでいます。

もちろん、医薬品製剤・包装の改善は、医療過誤防止ばかりではなく、病院や薬局での調剤のしやすさ、服薬指導のしやすさ、患者さんの服薬アドヒアランスの向上などにも配慮して、製剤・包装の改善を図っています。

取り組みの一例として、
ゴナックス皮下注用の溶解液取り違え防止のため、注意喚起を包装表示に強調
・服用性の向上により服薬アドヒアランスを高めるため、スーグラ50mgの小型化錠を開発
などがあります。

2.医療現場では、どのようなことが求められているのでしょうか?

アステラス製薬は、まず、錠剤、カプセルでの製品名表示に対する医療従事者のニーズを把握するために、1998年に聞き取り調査を実施しました。1)

◆調査年月日:1998年10月1日から。
◆調査対象機関・調査対象者:全国の医療機関および調剤薬局(43施設)、計308名(医師25名、病院薬剤師223名、調剤薬局薬剤師27名、看護師17名、大学病院薬学研修生16名)。

この調査の結果、「カプセル本体への製品名表示を要望するか」の設問に対して、「要望する」は84.4%と圧倒的多数を占め、製品名表示を求める声が大きいことが分かりました。その理由としては、「鑑別しやすい、監査しやすい」が68件、次いで、「PTPシートから取り出した後も製品名などが分かる」が26件、「製品名が一目で分かる。患者さんにでも分かる」が22件、「識別しやすいので調剤過誤が減る」が17件などがありました。職種別の要望の内訳は別表の通りで、看護師からの要望が最も多く94.1%に上っています。

カプセル剤本体への「製品名の表示方法」については、「横書きが良い」とする回答が64.8%、「リング(円周)状」が1.6%、「いずれでも良い」が33.6%となっています。また、「含量(力価)、会社マークは必要か」との設問に対しては、「両方必要」が50.9%、「含量(力価)は必要」が42.6%と意見が分かれました。このほか、「会社マークは必要」が3.6%、「両方不要」が2.9%との結果でした。

「錠剤本体への製品名表示を要望するか」の設問に対しては、81.4%が「要望する」と回答し大多数を占めました。その理由として、「鑑別しやすい、監査しやすい」が62件、「PTPシートから取り出した後も製品名などがわかる」が24件、「製品名がひと目でわかる。患者さんにでもわかる」が21件などと続いています。

「製品名の表示方法」についての適切な方法としては、「印刷を要望」が46.6%、「刻印(エンボス)」が9.2%、「いずれでも良い」が44.2%となっています。「含量(力価)、会社マークは必要か」との設問に対しては、「両方必要」が45.6%、「含量(力価)が必要」が48.2%、「会社マークが必要」が3.3%、「両方不要」が2.9%と回答しています。

参考文献

1)園田努:錠剤・カプセル剤本体への製品名表示についての検討,PHARM TECH JAPAN,16(1),37-46,(2000)

また、その他の要望や意見として主なものは以下の通りです。

錠剤については

*錠剤の刻印は見にくい、なるべく大きな印刷にしてほしい。
*錠剤にはなるべく割線を入れてほしい。
*錠剤のオモテ、ウラに製品名や識別コードなどがあると鑑別しやすい。
*錠剤を着色化してほしい。

カプセルについては

*ころがりにくいカプセル剤の開発を望む。
*カプセルへの製品名表示は画期的である。
*情報公開は世の中の流れである。是非とも錠剤・カプセル剤への製品表示を進めてほしい。
*製品名を識別コードの1つと考えれば、製品名のほうがわかりやすい。

PTPシートの表示事項については

*PTPシートの表示を統一化する。
*製造番号をPTPシートのポケット毎に表示してほしい。
*PTPシートの製品名表示の印刷は明瞭に、わかりやすく。

PTPシートの材質・形状などについては

*PTPシートのタテ、ヨコにスリットがあったほうが良い(ハサミを使わなくても分割できるように)。
*PTPシートから錠剤を取り出しやすくしてほしい(かたくて爪がはがれることがある)。
*PTPシートの角を丸くしてほしい。
*誤飲しても安全なPTPシート材質の開発を進めてほしい。

その他について

*包装変更や印刷表示の変更が多い。患者さんは少しの変更でも薬剤師に問い合わせるので、もう少し考えてほしい。
*少しの変更でも気になる患者さんも多い。どうしても変更する必要がある場合は、少しの変更を何回も繰り返すより、1度にまとめて変更してほしい。

アステラス製薬は、以上のような、医療従事者の意見・要望を踏まえ、医薬品包装・表示の改良・改善に取り組んでおります。

次回は、アステラス製薬が、医療過誤防止のために、注射剤やキット製品などの直接容器で取り組んでいる工夫について紹介します。

(2018年7月)


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