糖尿病及び糖尿病の悪化〈効能共通〉

糖尿病及び糖尿病の悪化〈効能共通〉

Ⅱ.重大な副作用:糖尿病及び糖尿病の悪化〈効能共通〉

  1. 概要
  2. 対処法
  3. 発現状況

Key point

  • グラセプターの電子化された添付文書には、「11.1 重大な副作用」に糖尿病及び糖尿病の悪化、高血糖の記載があります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「11.2 その他の副作用」に糖尿病に関する記載があります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「8. 重要な基本的注意」に膵機能障害に関する記載があります。頻回に臨床検査(血液検査、空腹時血糖、アミラーゼ、尿糖等)を行うなど患者の状態を十分に観察してください。特に投与初期にはその発現に十分注意してください。

電子化された添付文書記載内容(抜粋)

8. 重要な基本的注意
〈効能共通〉
8.3
高血糖、尿糖等の膵機能障害の発現頻度が高いので、頻回に臨床検査(血液検査、空腹時血糖、アミラーゼ、尿糖等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。特に投与初期にはその発現に十分注意すること。
[11.1.14、11.1.15 参照]

11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
〈効能共通〉
11.1.15 糖尿病及び糖尿病の悪化
(0.1~5%未満)高血糖(15%以上)[8.3 参照]
11.2 その他の副作用 尿糖(0.1~5%未満)

注意喚起の設定根拠

重大な副作用1)

本剤と同一成分を含むプログラフの投与による糖尿病、高血糖が報告されている。本剤の投与にあたっては、頻回に臨床検査(血液検査、空腹時血糖、アミラーゼ、尿糖等)を行うなど患者の状態を十分に観察する必要がある。異常が認められた場合には減量・休薬など適切な処置を行う。なお耐糖能異常は本剤でよく認められる副作用である。

重要な基本的注意1)

肝、骨髄及び腎移植患者におけるプログラフの臨床試験成績にて、高血糖、尿糖等の膵機能障害が高頻度に認められたことから(下表)、本剤においても投与時は頻回に血液検査、空腹時血糖、アミラーゼあるいは尿糖等の臨床検査を行うよう記載した。また、腎移植領域でのプログラフの臨床試験において、発現時期の集計が可能であった高血糖発現例69例中、56例(81.2%)が投与後3カ月未満での発現であったことから、投与初期は特に注意する必要がある。

プログラフの臨床試験における高血糖発現頻度

 

肝移植

骨髄移植

腎移植

高血糖(副作用)

-*

-*

79/309(25.6)

高血糖(臨床検査値の異常)

2/37(5.4)

49/173(28.3)

0/18**

*:臨床検査値異常として集計                                                          例数(%)
**:カプセルから顆粒への切り換え症例以外は副作用としての高血糖として集計

発現機序1)

タクロリムスによる耐糖能異常発症のメカニズムについては、主に膵β細胞のインスリンmRNA転写阻害に基づく膵β細胞からのインスリン産生抑制によるものと考えられている。2),3)

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム
  2. Tamura K et al. Transplant Proc 1995;27(1):357-361
  3. Ishida H et al. Toxicology 1997;123(3):167-175

対処法1)

参考に本剤と同一成分を含むプログラフ(カプセル・顆粒・注射液)の承認時までの臨床試験及び市販後の調査(移植領域)における糖尿病及び糖尿病の悪化に関連する副作用におけるプログラフの処置について掲載する。

項目

発現率(%)

程度

処置(プログラフ)

 

肝移植

骨髄
移植

腎移植

高度

中等度

軽度

不明

中止

休薬

減量

経路変更

継続

その他

不明

高血糖

79/309
(25.6)

4

11

3

61

10

0

17

0

50

0

2

※臨床検査値異常として集計

項目

発現率(%)

悪化の程度

処置(プログラフ)

 

肝移植

骨髄移植

腎移植

〔中央値
(min~max)〕

中止

休薬

減量

継続

不明

高血糖

2/37
(5.4)

49/173
(28.3)

0/18※※

285mg/dL
(115~670)

5

0

2

25

19

※※プログラフカプセルからプログラフ顆粒への切り換え症例以外は副作用として集計

<出典>

  1. グラセプター 再審査結果及び使用上の注意改訂のお知らせ(2016年2月). 社内資料.

発現頻度

電子化された添付文書

11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
〈効能共通〉
11.1.15 糖尿病及び糖尿病の悪化
(0.1~5%未満)、高血糖(15%以上)[8.3 参照]
11.2 その他の副作用 尿糖(0.1~5%未満)

グラセプター 承認時までの臨床試験及び市販後の調査1)

グラセプターの承認時までの臨床試験及び市販後の調査(再審査終了時、ただし腎移植は1年観察終了時)で認められた糖尿病及び糖尿病の悪化に関連する副作用の発現頻度を以下に示した。

電子
添文
用語
発現
症例数(%)
副作用等の種類
(MedDRA PT)
承認時までの
臨床試験
発現症例数(%)
市販後の調査
発現症例数(%)

腎移植

骨髄 移植

腎移植

肝移植

骨髄 移植

肺移植

膵移植

市販後
調査
合計
高血糖
3(0.49)

高血糖

-

-

2(0.56)

-

-

-

-

2(0.36)

 

血中
ブドウ糖
増加

-

1(6.67)

-

-

-

-

-

-

糖尿病
15(2.46)
耐糖能
障害

-

-

2(0.56)

-

-

-

-

2(0.36)

糖尿病

-

-

10(2.82)

1(0.71)

-

-

-

11(1.96)

尿中
ブドウ糖
陽性

-

2(13.33)

-

-

-

-

-

-

MedDRA PT:ICH 国際医薬用語集 基本語(Ver.14.1)

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム

発現時期1)

プログラフの腎移植領域臨床試験において、発現時期の集計が可能であった高血糖発現例69例中、56例(81.2%)が投与後3カ月未満での発現であったことから、投与初期は特に注意する必要がある。

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム

製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書をご参照ください。

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