リンパ腫等の悪性腫瘍〈効能共通〉

リンパ腫等の悪性腫瘍〈効能共通〉

Ⅱ.重大な副作用:リンパ腫等の悪性腫瘍〈効能共通〉

  1. 概要
  2. 注意事項
  3. 発現状況

Key point

  • グラセプターの電子化された添付文書には、「11.1 重大な副作用」にリンパ腫等の悪性腫瘍の記載があります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「8. 重要な基本的注意」にリンパ腫等の悪性腫瘍に関する記載があります。過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、リンパ腫等の悪性腫瘍発生の可能性があるので、十分注意してください。
  • グラセプターの電子化された添付文書には、「9. 特定の背景を有する患者に関する注意 9.7小児等」にリンパ腫に関する記載があります。
  • グラセプターの電子化された添付文書には「15. その他の注意 15.1.1 臨床使用に基づく情報に悪性腫瘍に関する記載があります。

電子化された添付文書記載内容(抜粋)

8. 重要な基本的注意
〈効能共通〉
8.7
過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、リンパ腫等の悪性腫瘍発生の可能性があるので、十分注意すること。[10.2、11.1.13 参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.7 小児等
特に2歳未満の乳幼児例において、リンパ腫等の悪性腫瘍の発現の可能性が高い。[11.1.13 参照]腎移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植及び骨髄移植での小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
〈効能共通〉
11.1.13 リンパ腫等の悪性腫瘍
(0.1~5%未満)
Epstein-Barrウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫(初期症状:発熱、リンパ節腫大等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。特に抗リンパ球抗体の併用例において、発現の可能性が高い。また、過度の免疫抑制により、悪性腫瘍発現の可能性が高まることがある。[8.7、9.7 参照]

15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1
免疫抑制剤による治療を受けた患者では、悪性腫瘍(特にリンパ腫、皮膚癌等)の発生率が高いとする報告がある。

注意喚起の設定根拠

重大な副作用1)

本剤と同一成分を含むプログラフとの因果関係が否定できないEpstein–Barr ウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫が報告されている。特に、抗リンパ球抗体併用時の過免疫抑制時において発現の可能性が高くなると考えられる。また、過度の免疫抑制により悪性腫瘍発現の可能性が高まることがある。(「Ⅷ.5.重要な基本的注意とその理由」8.7 及び「Ⅷ.6.(7)小児等」の項参照)

重要な基本的注意1)

移植後の免疫抑制剤投与によりリンパ腫を含む悪性腫瘍の発現率が増加することは一般に知られており2)、プログラフについてもリンパ腫等の悪性腫瘍に関する文献報告がある3)-6)。これらの報告では、免疫抑制状態そのものや腫瘍を発生する可能性のあるウイルスが悪性腫瘍の発現に関わっていることが示唆されており、プログラフの悪性腫瘍の発現に対する直接的な関与よりはむしろ、過度の免疫抑制により悪性腫瘍発現の可能性が高まるものと考えられる。したがって、本剤の投与に際しても過度の免疫抑制により、感染に対する感受性の上昇及びリンパ腫等の悪性腫瘍発生が考えられることから、患者の状態に十分注意すること。(「Ⅷ.8.(1)重大な副作用と初期症状」の項参照)

特定の背景を有する患者に関する注意1)

本剤と同一成分を含むプログラフとの因果関係が否定できないEpstein–Barr ウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫が報告されている。特に、同ウイルス抗体の保有率が少ない2歳未満の乳幼児例の過免疫抑制時において発現の可能性が高くなると考えられる。低出生体重児、新生児、乳児、幼児及び小児に対する腎移植及び骨髄移植では、市販後調査で使用例が報告されたが、臨床試験は実施していない。心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植での臨床試験は実施していない。なお肝移植については、海外で行われた切り換え試験において、使用経験がある。7)

その他の注意1)

移植領域において免疫抑制剤投与によりリンパ腫を含む悪性腫瘍の発現率が増加することが一般的に知られていることから、その旨を記載した。

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム
  2. Penn I Drug Safety 2000;23(2):101-113
  3. David M et al. Geburtshilfe Frauenheilkd 1995;55(8):431-434
  4. Jain AB et al. Ann Meet Am Soc Transplant Physicians 15th, 1996;200
  5. Jain AB et al. Transplantation 1998;66(9):1193-1200
  6. 上本伸二他 小児がん 1997;34(2):223-227
  7. 社内報告書:肝移植患者・薬物動態 (2008年7月16日承認 CTD 2.7.6.15) (DIR080049)

発現機序

タクロリムスによる悪性腫瘍の発現機序は不明だが、免疫抑制状態そのものや腫瘍ウイルスが悪性腫瘍の発現に関わっていることが示唆されており、本剤が悪性腫瘍の発現に直接関連しているというよりは、過度の免疫抑制により悪性腫瘍発現の可能性が高まるものと考えられる‎。1)
リンパ腫の発現については、Epstein–Barr ウイルスが関与していると考えられている。‎2)

<出典>

  1. プログラフ 使用上の注意改訂のお知らせ(2003年11月). 社内資料.
  2. プログラフ 使用上の注意改訂のお知らせ(1998年9月). 社内資料.

注意が必要な患者

9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.7 小児等
特に2歳未満の乳幼児例において、リンパ腫等の悪性腫瘍の発現の可能性が高い。[11.1.13 参照]腎移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植及び骨髄移植での小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

発現頻度

電子化された添付文書

11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
〈効能共通〉
11.1.13 リンパ腫等の悪性腫瘍
(0.1~5%未満)
Epstein-Barrウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫(初期症状:発熱、リンパ節腫大等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。特に抗リンパ球抗体の併用例において、発現の可能性が高い。また、過度の免疫抑制により、悪性腫瘍発現の可能性が高まることがある。[8.7、9.7 参照]

グラセプター 承認時までの臨床試験及び市販後の調査1)

グラセプターの承認時までの臨床試験及び市販後の調査(再審査終了時、ただし腎移植は1年観察終了時)で認められたリンパ腫等の悪性腫瘍に関連する副作用の発現頻度を以下に示した。

電子
添文
用語
発現
症例数(%)
副作用等の種類
(MedDRA PT)
承認時までの
臨床試験
発現症例数(%)
市販後の調査
発現症例数(%)

腎移植

骨髄
移植

腎移植

肝移植

骨髄
移植

肺移植

膵移植

市販後
調査
合計
安全性解析対象
症例数

35

15

354

141

48

7

10

560

副作用等の
発現症例数(%)
12
(34.29)
13
(86.67)
125
(35.31)
22
(15.60)
4
(8.33)
1
(14.29)

0

152
(27.14)
副作用等の
発現件数

13

79

193

29

8

1

0

231

悪性
腫瘍
2(0.33)

エプスタイン・バーウイルス関連リンパ増殖性障害

-

-

-

1(0.71)

-

-

-

1(0.18)

リンパ腫

-

-

1(0.28)

-

-

-

-

1(0.18)

MedDRA PT:ICH 国際医薬用語集 基本語(Ver.14.1)

<出典>

  1. グラセプターカプセル0.5mg,1mg,5mgインタビューフォーム

製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書をご参照ください。

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